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日記

3月中にアップするとか言っておきながら出来なくてすみません。
最初短編を書いていたら、構想大きくなりすぎて書ききれなくなり、短編でお茶を濁しにやってまいりました。
しかし、本当に久しぶりにDCのお話を書くにあたりみんな大好きだしDC大好きなんですが、私の頭がポンコツすぎて色々な事を忘れていてしまい「DC好き」という感情だけを残した残骸みたになっているので、色々とあの頃とは印象やキャラクターもぶっ飛んでたらすみません。
ご容赦ください。

さて、うっすらお気づきかもしれませんが、今回アップしたアラタの話は大きくなりすぎた話がベースにあります。こちらも少しずつでも形にできたらと思っておりますので、アップ出来たら褒めてやってください(笑)



以下拍手レスです
覚えのある方オープンプリーズです。
more...!

秒針

――――――
日は伸びたと言っても春の3連休前はまだ肌寒い。
街行く人もまだ春の装いよりも冬の延長線上に居て、まだ僕も冬支度のままだ。
しかし街の人達が少し浮ついて見えるのは1ヶ月前のチョコレートの返事がもらえるからなのか、それとも今日の日付を覚えていた僕の思い過ごしなのかもしれない。
思い過ごしと言えば、今朝会った人の事を思った。

「カナエ君って本当に弱くなったのかな?」

今朝方出勤途中にカナエ君と会った時の事を思い出したけど、僕の中のカナエ君とかけ離れている様には思えなくてやっぱり不思議に思った。
でも本人は実践から離れて、さらに歳も重ねて力は落ちたと言っていた。
「アラタには敵わないよ」とまで言っていた。
まさかそんな。

ドンッ

「えっ!?」

誰かがぶつかって来た。

「ごめんなさい」

謝る声はもう遠くへ行ってしまい尻尾の様に翻るポニーテールが視界の隅に残った。

「ユウト君だよね?」

随分と久しぶりに会った元J部隊の仲間は声だけ置いて姿はもう見えなくなってしまった。

「どうしたんだろ?」

そのつぶやきに答えてくれる人は居ない。

「あっ!」

咄嗟に持っていた紙袋の中身を確認した。
割れていない。
先ほどワインボトルを2本、買ったばかりだった。
幸いにも割れていなかった。
お店の人が緩衝材でしっかりと包んでくれていたお陰だろう。

「もー、ユウト君は危ないなぁ」

でも、ユウト君があんなにも慌てているのは珍しく思う。

「あ」

思い出した。
終業時間きっかり帰ったナオユキ君の事を。
待ち合わせしているのかもしれない。
見上げるとビルに掲げられた大きな時計が目に入った。
21時近かった。

「僕も少し急ごう」

街はもう見慣れたあの頃とは随分と変わってしまった。
区画整理事業も進み道すらも変わってしまっている。
そして僕たちがたくさん戦ったあのスラムの姿ももうない。
でもあのビルだけは変わらずにそこにあって。
僕の記憶が間違いじゃなかったと教えてくれるように。
思い出したら足が自然と早くなる。
会いたくなってしまう。
僕の大好きな人と大好きな場所へ。
急ごう。
早く会う為に。





190413
END
約束の時間の別視点です。
アラタもユウトだからぶつかるまで気付けなかったとい事で。
一般人ぐらいなら避けられそうだなと。

約束の時間

――――――
長い髪が汗で貼り付きうっとおしい。
どんなに稽古で汗をかいてもそんな事思った事も無かったのに、今、この瞬間は切ってしまいたくなるぐらい走る僕の体の邪魔をする。
ドンッ
誰かにぶつかった。

「ごめんなさい」

振り返らずに言葉だけ置いていく。
普段なら相手の目を見るだろうけど急いでいる今はそんな時間すら惜しい。
ごめんなさい。
俺は目的地へ向かう為、また足を前に出す。


3月も中旬になると、先月久しぶりにナオユキに会えたあの季節の寒さとは違い暖かさが肌にまとわりつく。
まるで俺の足を目的地へ向かわせる足を鈍らせる様に感じ、苛立ちを覚えずにはいられない。
先月会ったばかり。
もう1ヶ月も会えていない。
どちらの言葉が正解なのか、今すぐ会いたいという感情しかない俺には答えを出している余裕なんてない。
だって約束から3時間たってもまだ待っていると言ってくれたナオユキを待たせているんだから。


待ち合わせ場所のショーウィンドウの前にナオユキはポケットに手を入れ表情無くデジタルサイネージを眺めていた。
知らない人の様な表情に心臓が委縮したのが分かった。
待たせすぎて怒っているのかもしれない。

「ごめん、待たせすぎた」

「全然」

言葉は否定したが、振り向いた顔はよく知ったナオユキだったが表情はやはり硬く感じる。

「そんなこと無い。3時間も待たせた」

「俺が本当は近くまで行けば良かったんだけどすれ違うとダメかなとも思って」

「そんな事ないよ。でも、俺もすれ違ったらって思って連絡変にできなくて」

珍しくあまり動かないナオユキの表情に俺の不安は募る。

「先月は俺が待たせたし、おあいこだ」

「でも、お店で待っててもらえば良かった。寒かったよね」

ナオユキは俺を見上げて少し唸ると、そっと俺の両手を掴んで自分の頬にあてがった。
俺の熱がナオユキの冷えた頬を温めるのが分かった。

「寒くなかったというのは嘘じゃないけどユウトの熱、分けて貰えたから外で待ってるのも悪くない」

大好きな綺麗で元気な顔が笑った。



190413
END
ナオユキのバレンタインの話の1か月後だと思ってください。
いやぁ、どうにか話をアップしたいと思っていた残骸なのです。
寒さで表情が凍ってたという事で。

約束の日

――――――
つぐ息が耳に響く。
出す足が振る手が今より先へ進めようと全力を振り絞る。
毎年この日に会おうと決めていた。
離れなけれなければならないと知ったあの日からこの日に会おうと約束をしていた。
七夕じゃないけど、好きな人に思いを告げる日が会える日なんて幸せじゃない?ってユウトの提案だった。
俺は嬉しくてすぐに「うん!」と返事をした。
実際、ユウトが警視庁を去ってしまい実家の古武道場の跡を継いでからは1年に1度という表現が大げさじゃないぐらい会えていない。
それなのに。
仕事の終わり際に舞い込んできた案件が思いのほか時間がかかってしまい、約束の時間は18時だったのに今はもう22時。
メールは送った。
『大丈夫、待っている』
その言葉を疑っている訳では無い。
俺が彼を待たせているのが嫌なんだ。
2人で決めた日なのに、会える時間は限られているのに、彼が好きなのに。

お店のドアを開けた。
カランと勢いよくベルが鳴り、視線が俺と交わった。

「ごめん待たせた」

「ううん。待ってる時間が愛おしいと思ったよ」

あの頃と変わらないユウトの綺麗な顔が綻んだ。

「ユウト優しすぎる」

「仕事大変だったんでしょ?」

「急にたてこんじゃって。でも、キリが付いたところでトキオさんが送り出してくれて」

「トキオさん?」

「うん、今日俺たちが会う日って気付いてたらしくって」

「さすがトキオさんって感じだね」

「アラタには『お幸せに』って言われたけど…」

「みんなにバレてるんだ」

「気付いたらそうだった。なんでだろうな?」

「気付かない?」

「何を?」

「なんで二人に気付かれたか」

「え?」

ユウトは徐に店の外を指さす。
窓ガラスには店内が写りこみ俺たち二人も映っていた。

「ナオユキの顔」

「俺の顔?」

「ずっと俺に会いたい顔してる」



20190215
おわり
バレンタインは昨日でしたw
本編終了から10年〜13年後ぐらいを想定して書いています。
平均年齢30代前半かな?
そんな彼らを想像したら萌えませんか???
という事でごちゃごちゃ今、何かを書いている端っこでバレンタインという言葉を耳にして思わず書きたくなった今回の話です。
軽い手慣らしだと思っていただけたらです。

夢の先の日常

――――――
すぅっと深呼吸をすると肺に冷たい空気が流れ込んできた。
はぁっと吐き出すと息が白かった。

「寒いねタマキ君」

隣を歩く彼に声をかけた。

「この間まで暖かかったと思ったら急にだもんな」

問いかけに少し不満そうに口を尖らせる癖は何年たっても変わらなくて、そしてとても可愛くて。

「イチョウが一気に色づいたね」

「うん。今年も変わらず綺麗だ」

見上げたイチョウ並木が空一面を黄色に染め上げている。

あれからまた何年かが過ぎた。
タマキ君が教官として育てた特殊部隊の人間も少しずつ増えてき、俺は殆ど現場へ出る事は無くなった。
練習でも銃を握る回数が減ってきた。
このまま本当に銃なんて無い世界で生きられる気さえしてきている。
警視庁の監視が付いている身としてはそれが幻想に近い感覚だという事を分かっていても、それぐらい銃を握らない生活が染み付いてきている。
徐に鼻に手を充てると、タマキ君と出かける前にしてきた料理の仕込みの匂いが微かにした。

カサカサという音が先か風が先か、見上げた空に散った落ち葉を巻き上げた。
ふわっと木の葉が舞い上がる。
咄嗟にタマキ君を抱き寄せ、風から落ち葉からタマキ君を庇った。

「目にゴミ入らなかった?」

腕の中のタマキ君を見下ろすと、顔を真っ赤にし金魚の様に口をパクパクさせていた。

「おっ、お前、人前で」

「大丈夫、誰も見てない」

「嘘…」

「本当」

チュッと額に唇を落とし彼を腕から解放した。
真っ赤な金魚が今度は目を尖らせた。

「カナエっ!」

「タマキ君の声でみんな振り返った」

「えっ!?あっ?」

きょろきょろと周囲を見るとタマキ君は小さくなってしまった。

「大丈夫、気にしないで行こう」

そっとタマキ君の手を取り並木道を歩き出す。
引かれる手にタマキ君はついてきてくれる。

「寒くなって痛み出てきてない?」

「うーん。痛くはないけど違和感は拭えないかな」

知っている。
まだ右足を庇いながら歩く彼を。
ヘリコプターの中でアマネに刺された傷は何年たっても完治はしていない。
それを知っているから本当の痛みは彼にしか分からない事だから聞かないと安心ができない。

「それよりカナエ」

「なに?」

「カナエは俺の事ばかり気にし過ぎ」

「そうかな?」

「そうだよ。さっきも木の葉から守ってくれたり、この間は段差がある時に手を貸してくれただろ。それに今も…」

俺は少し驚き目を見開いた。

「ごめん。うざかった?」

「そうじゃなくて。俺の事ばかり気にしなくて良いんだ。自分の事も気にしろよ」

少し怒った口調で言ったと思ったら俺の手を引っ張った。

「えっ?」

「さっき切っただろ」

目の前に自分の手の甲を突き出された。
そこはミミズ腫れになっており、端には血が滲んでいた。
そういえばタマキ君を抱き寄せた時に服のファスナーに手が引っかかった。

「こんなのなんでもないよ」

「でも、俺が嫌なんだ。今の俺の気持ちはカナエが俺を気にする気持ちと同じだと思うんだけど、違うか?」

真剣な眼差しが俺を捉えている。

「同じ」

「そうだろ」

ニッコリ笑うとタマキ君はバックからハンカチを取り出し、食べ物の香りがするその手をそっと切れた手の甲にあてがってくれる。
あてがってくれたハンカチからは消炎の匂いがし妙に懐かしく感じ、同時にタマキ君への愛おしさも湧き上がってきて。

「タマキ君」

「うん?」

見上げた大きな黒い瞳には嬉しそうに笑う俺が映っていて。

「俺はタマキ君が大好き」

「カナエ?」

「タマキ君が何度も何度も今が幸せを教えてくれる。それが嬉しいんだ」

「うん、カナエが幸せだと俺も幸せだ」

そう言って優しく笑うタマキ君は出会った頃と比べると随分と大人びた表情をするようになったと思う。
俺たちが過ごしてきた時間の長さを感じる。
出会った頃からもう二ケタの時を過ごしている。

「寒くなってきたね」

カサカサとまた枯葉が音を奏でる。

「そうだな、帰ったらココア飲みたいな」

「じゃぁ、牛乳買って帰ろう。昨日終わっちゃったんだ」

「この先にあるスーパーで良いか?」

「うん」

当たり前のように太陽の下を歩けるようになるには沢山の時間が必要だった。
だからこの何もない日常がとてもとても幸せで。

「毎日が楽しいな。お前が居て俺がその隣に居る」

「以心伝心ってあるのかな?」

「え?」

「俺も今同じ事考えていた」

「本当か?」

「本当」

微笑む俺にタマキ君が頬を赤く染めた。

「はっ、早くスーパー行こう」

「うん」

先を行こうとするタマキ君の手を掴むとしっかりと握り返してくれた。
この細やかな日常が明日も続きますようにとタマキ君の先に見える教会に願わずにはいられなかった。




181218
END
久し振りに書くのに誰が良いかなぁと思いながらカナタマで書かせていただきました。
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