の陽気は人間の精神をた易く揺らがすと思う。
最近はまだまだ寒くて、冬と春の日が交互に入り乱れているから尚更よくわかる。

育てているバラが暖かさで休眠期から目覚め、驚くような勢いで芽を伸ばしているのが、なんだかずっと会えていなかった大切な人に会えたかのように嬉しい。
窓辺に行けばフランネルの毛足が日の光をしっとりと吸い込んでいて、とろけそうにやわらかく私を包んでくれる。

何をするにも何に触るにもいちいち感傷的になって、そのうち自分が何かやらかすんじゃないかと不安になってしまうね、うん。
別に他人様になにかするとかじゃなくて、ここで終わったら幸せなのかもなあ、なんて考えてしまうのだ。


ここまで書いて今が「如月の望月のころ」だということに初めて気がついた。
西行ですら心奪われる春なのに、私のような凡百が太刀打ちできるわけないか。

もっともっと、暖かくなれ。