スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

5日も過ぎて今更だけど


バッテリーは夫婦だとか言うが、大河は頭を悩ませるのであった。夫婦喧嘩は犬も食わない。部内にそういったいざこざを持ち込まないで欲しい。彼女がいる身でさえ気を使っているのだから。

「ったく、なんだよテメェ」
「なんでもないよ」
「はぁ?」

今朝の朝練習から、榛名はどこか喧嘩腰で秋丸につっかかっていた。秋丸の方もなぜか、顔を背けながらそんな榛名をぞんざいにつっぱねる。原因と思われるものに特に心当たりは無い。だからと言ってこのままなのも非常に面倒だ。二人だけの二年生は幼なじみのバッテリーであるが、どちらも問題児だった。
加具山は部活中も心配そうに二人を見やっていた。榛名への話題を秋丸にもふってやったりもした。しかし二人は曖昧に濁すだけであった。大河は加具山を哀れにも思う。
日が落ちて、今日も帰路につく。一日中反発しあっていたと言うのに秋丸は律儀に榛名が着替え終わるのを待っていたし、榛名も当たり前のように横に並んで駅を出た。加具山は大河に心配そうに訪ねた。

「今日、なんか榛名達変じゃなかったか?」
「あー、そうだな」
「ケンカでもしたのかなぁ」
「カグヤン、あんま気にする事ないぞ」
「え?なんで?」
「明日には元に戻ってるだろうから」


榛名と秋丸は駅から自転車を漕いで、自宅のマンションの駐輪場の、いつもの場所に自転車を停めた。榛名はちらと秋丸を見やるが、秋丸は普段通りエントランスに歩いて行った。

「おい」
「…」

秋丸に声をかけても、暗証番号を打ってそのまま進んでいってしまう。榛名は負けたような気がするのが嫌だった。しかし秋丸の態度は頑なだ。普段は人の良い顔をしているが、秋丸は基本的に末っ子気質であった。しょうがねぇなぁ。榛名は腹を決める。

「なぁ」

エレベーターが降りて来るのをまっている背中に投げかける。

「チョコくれよ」

ようやく秋丸は榛名の顔を見るのだった。拗ねたような顔のまま鞄の中を探り始めた秋丸の顔は、耳の方まで赤らんでいた。



本日はバレンタインである。










はい。
バレンタインSSでした。
え、今更?

チョコ用意したはいいけど恥ずかしくてなかなか渡せない秋丸さんと、今年も貰えるだろうとは思ってるけどなかなか渡してくれない秋丸にいらいらする榛名と、何も知らずに心配する加具山先輩と、ピンと来ていてうんざりしてる大河先輩でした。
ちなみに榛名も秋丸も、ある程度女子からチョコはもらってる設定。



前の記事へ 次の記事へ