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「……ふ、ふざけんな、っ!このぼくが、好きだって、言って、やった、のに!この、このっ!」 「いだっ!いだだだ!」 さっきまでしおらしかった彼は、一変してぎゃんぎゃん喚きながら枕で思い切りおれの顔を殴り始めた。おれは身を退いて何度目かの攻撃でそれを交わしたけれど、避けられたことが気に食わなかったのか、彼は途端に眉を顰めると身を捩って顔に枕を強く押し付け徐に鼻をかんだ。 「ちょっ…!それ、おれの枕なんだけ「おまえにとってぼくなんか、単なるセフレの一人なんだって、よーく分かったよ!」 「……へ?」 枕越しに聞こえた素っ頓狂な台詞に、思わず聞き返す。おれは兵太夫を恋人と思ったことはあっても、セフレだなんて思ったことは一度もなかった。寧ろそれは兵太夫の方じゃないか。 「え、あの。おれ、兵太夫のことセフレだなんて思ってないんだけ…ど?」 「うそばっかり!じゃあさっきの反応は何だよ!最近ずっと伝七と一緒にいることも知ってるんだからな!左吉だって知ってる!」 兵太夫は枕を力いっぱいに放り投げて(おれの大事な大事な枕の扱いが酷すぎることは一先ず置いておく)、半身を起こして未だ彼に跨ったままのおれに強く食いかかってきた。鼻先が触れ合いそうな近さで、不謹慎にもおれの胸の鼓動は高く鳴る。 「…や、確かに伝七とは最近よく逢ってたけど、」 「ほら!言い訳なんか聞かないからな!どーせ…」 「れ、恋愛相談されてて。」 「………は?」 |