「信、正気か。」

正気なワケ、あるかよ。自分が一番分かってらあ。でも、頭で分かってても心がひとッッッつも着いて行かねぇんだよ!

「せ…い、政ッ…!」

名前を幾度となく呼びながら性急に唇を合わせた。勢いを付け過ぎて前歯が当たり些か痛んだが、そんな事は気にもならなかった。

舌と舌を絡ませ、文字通り彼の舌を貪る。歯列を辿り、舌を吸い、思う侭に内部を荒らした。満足して唇を解放する時には俺は肩で息をして居た。

政はずっと眸を開けたまま、抵抗する事も反応する事も無く人形の様に唯々横たわって居た。大きな黒目に無様な俺が映って居る。

「…信。お前は俺を見て居るのか、それとも、」





お前が誰よりも憎いんだ、政。



誰よりも愛しい人の顔をした、
誰よりも愛しい人を殺した君の、



「ごめんな、政。」

「愛して、…る。」



首にゆっくりと手を掛けた。






-エムブロ-