キティガール







「―――…銀ちゃんって、いつまで私のことガキ扱いするネ」



「……は?」



いつまでって……。
唇をいささか驚きに開けたまま銀時は言葉を噤んだ。
指先だけは、彼の胸元に頭を乗せた幼い恋人の髪を優しく梳き続けてやっている。
そのゆっくりと…動かす無骨な指の隙間を、キラキラと光る桜色の錦糸がこぼれては掬われ、こぼれては掬われ…と、繊細な摩擦をきざんでいる。いわゆる腕枕状態で銀時を見あげるなか、少女の放った単純な疑問に、されど様々な思考を交錯させる質問に、銀時はしばし沈黙せざるをえなかった。


いつまでも何も…、自分はコイツをガキ扱いしているとは思えないのだが…。


先ほどから銀時の視界を楽しませている神楽は、指一本動かせない裸体をさらけ出し、汗や愛液…はたまた二人の
混ざり合った体液に彩られたまま寝転がっている。トロンと蕩けきった瞳を銀時に向け、舌ったらずな吐息は彼の
腹筋あたりに投げかけて。
先ほど交わした約束に安心したのか、ぐったりと弛緩しきった身体を優しい後戯に任せながら、時おり、気持ち良さそうにとろとろと瞼を伏せては…薄く開いてを繰り返しながら、口元を綻ばせている。
そうかと思えば、触れられる髪にさえ感覚が張り巡らされているのかとこちらが疑うほどに、小さな足先をきゅぅぅとシーツにめり込ませ、深い皺を作成したりする。


しがないサラリーマンと女子中学生。しかも遠距離恋愛。幼馴染だが、大学を卒業して上京してからは、銀時はずっと東京で仕事をしている。一週間に一度、こうやって神楽に会うために地元に帰ってきているのだ。
仕事上、会う時間もあまり取れず、また会えたとしても、交際してからはデートらしいデートはしてやれた記憶もなかった。
彼女の年代なら普通、憧れてやまないだろう恋人との楽しいショッピングや、映画鑑賞も二の次で、ほとんどがホテル直行という欲望優先のはしたなさだ。
連れ込むまでには多少の罪悪感もあったりするのだが、いったん閉じ込めてしまえば、そこで存分に可愛がり、彼女を甘やかすフリして好き放題しているのはむしろ自分。執拗に味わい尽くし、満足するまで離さない。
食事にしてもホテルの給仕に運んでもらうという徹底振りだ。
外に出る時間を惜しんでまでベッドに拘束している。
それを……


沈黙を肯定と受け取ったのか、神楽が緩慢に頬を膨らませた。
期待をしていたわけじゃない。でもやっぱりちょっとは否定して欲しかったというのが彼女の本音だろう。
不満を象徴するかのように八の字に下がった眉で、銀時をなじる。


「そりゃぁ… 私はまだ銀ちゃんより子供かもしんないけど…、 でも、女でもあるのヨ?」


不機嫌に発した言葉。
きっとどういう意味かなんて深く考えてもいないんだ。


女なんて、そんなこと、こっちは充分にわかっている。
お前を子供扱いしたのなんていつのことだと思ってんだ…。


『俺が女にしたんじゃねーか』


ただ、声に出していいものかは一瞬悩んだ。










fin
何となくパラレルにしてみました…。




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03/27 17:45
[銀魂]




・・・・


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