人の心は隠れた宝







君たちを見ていると愛は心の中で眠っているようだ










神楽は俺の人生のすべてではないが
人生のすべてを満たしてくれる



こんな経験は銀時の人生ではじめてのことだった。
神楽の純真な魂は、意図的であれ無意識であれ、ときに銀時に希望を与えてくれて、神楽と同じように無垢な境地になることができるとき、卑屈、裏切り、非道のない美しい世界への憧れを呼び覚ませてくれる。
だから銀時は神楽を必要とし、大切にするべきことをちゃんと解っているのだ。


銀時にとって神楽はパラダイスへの架け橋だった。
夏の早朝の散歩、春のあけぼの、新雪、秋の陽だまりの中でのうたた寝など、些細なことにも感謝するようになった。
一回り以上年下であっても、思春期の少女であっても、神楽は黙って傍にいるだけで、逆境に直面しても腐らず前向きでいることを銀時にいつも教えてくれた。
自由で喜びにあふれた日々を、一瞬一瞬を大切に、自分の気持ちに恥じずに生きるよう教えてくれた。
その愛の深さ、銀時の生活の中に笑いをもたらしてくれたこと、相手が神楽だからがゆえに。
神楽に教えられたことはほとんど、幸福とひだまりと無欲と愛、何にも増してゆるぎない信頼についてだった。



なんでもない午後、神楽と一緒にいると、銀時はまるでエデンの園に戻ったような気分になる。
そこはなにもしなくても退屈なことはなく、平和そのものなのだ。










fin

彼女は自分のことよりもずっと深く彼のことを愛してくれる唯一のいきものだ。


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08/14 00:15
[銀魂]




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-エムブロ-