彼は、着いてまもなく義理の息子を昼食に招待した。
ふたりでそれなりに話のできる店に行き、前菜が出たところで、いきなり本題を切りだした。
今回もそうそう言葉を無駄にはしなかった。


「坂田くん、俺たちはもういい大人だろ?」


彼の大事な…大事な大事な大事なっ愛娘と、この腐れ教師が、いざ結婚してすでに七年もたっていた。
若気の過ちの代償としてはあまりに高価すぎる。
孫もたくさん出来たし、そろそろ引き取ってやってもいい頃合だ。


「まぁ、お互いに事情はわかってるわけだし……そろそろ片をつける潮時じゃねーか? そうは思わない?」

「僕のお嬢さんへの愛は永久不滅です」


銀八がメロドラマじみた台詞をいけしゃあしゃあと口にしたので、彼はもう少しで癇癪を破裂させそうになった。


「ああ、そうだろうともよ。 それだけにっ、これは俺たちにとってすごく辛い状態だと思うんだよ」
「申し訳ないですが、お義父さんだけの問題じゃないですか、それ」
「いやいやいや、坂田くんの問題でもあるからね!」
「まったく問題という問題もないんですけど…。 あえていうならウチの問題児どもくらいですかね?」
「いやいやいやッ、いくら憎ったらしい父親似の顔ばっかだとしてもだっ、俺には可愛い孫たちだからね!!」
「そうですか、ありがとうございます」
「いや…つーかもっ…っ〜〜〜〜そろそろいいじゃんんんんんっ!!神楽ちゃん返してェェェェ!?」


高級中華の料理屋で、諦めることを知らないこのバカ親がとうとう奇声をあげる。
毎回毎回毎回… 日本に来るたび人を呼びだす義父に、銀八はうんざりしながらも付き合ってやる自分の愛情に苦しんだ。
結婚が18歳、そして現在25歳。 まだまだ若すぎる娘との想い出が短かっただけに、それを奪った相手に対してえんえんと怨み骨髄……というわけだ。
事情も事情だったが、結婚が許されたこと事態が奇跡にも近かったし、立場上、頭が上がらないこともあり、ほぼ酷い扱いを受けてきたが.....。
いつまで、経っても、『離婚前提の結婚生活』 が条件だと言い張ってくれるのは昔の言いがかりだと思いたい。
子供を産んだらちゃんお父さんのところに戻ってくるんだよ? とかそんなことを言っていた気もするが、いまだに冗談ではないのか───?
完成度の低いコントに毎回付き合わされる身としては、そろそろ作戦を変え、このバカ親を裏切られた祖父の立場にしておく必要がありそうだった。


「何度も言うようですが、お義父さん。 僕のお嬢さんへの愛は永久不滅です」


娘を異常なくらい溺愛するこの義父を、これからも相手するには。
これぐらい言い続けても苦じゃないところまで───義理の息子に悩みはなかった。











fin



ぶっちゃけ仲悪いといい (笑)
幕末銀さんみたいに罵詈雑言の言い合いはしないけど、チクチクやってるといい (笑)




02/03 18:12
[銀魂]




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