とび魚のバタフライ







何てやわらかい海!
飛び出したら銀のシャワー
はじけてきらり ほどけたひかり

ブルー ブルー ブルー ブルー
高く 跳ぶ

もっと高く跳ねたら
見たことない景色がある
どこまでいける わたしの翼

深く 潜る きっと新しい水

飛び込んでも怖くないわ
あっちにゆらり こっちにひらり
















「銀ちゃん、わたしネ、銀ちゃんに首ったけヨ!」






「………」


「聞いてる?」


「………」


「聞いてる?」


「………」


「ねぇ 聞いてる?」








「………ぁ゙ー…」


「ほんとに?」


「………あ゙ー」


「じゃあ、今なんて言ったか言ってみろヨ、クソ天パ!」







(………──お前さ…、急にデレからツンになるよね……)




両頬を小さな掌で押さえられムニムニ揉まれて。
とうとう───銀時はあくびをしながら目をこする破目になった。


「銀ちゃんが相手してくれないからヨ。もっとテンション上げろや」
「じゅーぶん相手してやってんじゃねーか…。こぉんな時間からよー…」


ったく、今何時だと思ってるわけ?
安眠妨害も甚だしい朝の四時よ?
結局かまってやってんじゃん。つーか何。気まぐれに夜這いですか? 布団の上まで乗っかってきやがって。…それでも怒んないじゃん俺。笑ってやってるし。屈託なく。


どこまで甘いんだっつーの。


「ふと目が覚めて思ったのヨ」
「……なに、変な夢でも見たわけ?」
「うーうん、そーいうのじゃないの」
「……んだよ、突然ぴらめいたってか」
「そ。覚醒したアル! 私ひとつえらくなったネ!」


それは良かった良かった。
ん。じゃ、おやすみ。


「だから忘れる前に一番に銀ちゃんに伝えなきゃって!」
「……」


まったくもってこっちはいい迷惑なんですけど。
つーかもう早くして。眠いんだよチクショー。


「こーいうのは伝えなきゃ溜まる一方だしナ」
「…だから何」
「ウン。 あのネ…… 溺れそうなのヨ


そこだけ吐息で伝えられて…。


「…………」
「ここが水槽の中だったら、もう確実ネ」
「…………」
「銀ちゃん?」


結局、また笑うしかなくて、銀時は笑った。


───この仔にとって自分は遥かに上手く泳いでいるように見えるんだろうし、確かにそうであったかもしれない。


でもそれは、神楽に出逢うまでの話だ。
割に合わないのはむしろこっちで。
口にできないほうが遥かに重症なんて…絶対言えやしない。


無言の同意を得て口づけを交わした。










fin


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01/26 17:20
[銀魂]




・・・・


-エムブロ-