話題:体温

彼は平熱が高い

赤ちゃんみたいだねって笑ったら、そうだねって自然に笑い返した

抱き締められた温もりは、記憶の飛んだノーミソじゃなくて、わたしの体に刻み込まれてる

男の人を迎え入れて、「あったかい」って感じたのは初めてだった

普段露出している部分なのだから、胎内温度よりは低くて当然なのに

もちろん、わたしの体温が異常に低いわけじゃない



忘れられない温もりは
他の男の愛撫に体が 拒絶反応を起こす

ちょっとした指使い
力加減

全部が、彼と違う

なにもかもが違う

他の男に抱かれながら、彼の名前を心の中で何度も何度も叫んだ

口に出してしまわないように注意しながら


だけど…

「そういう風に言う人には賭けないほうがいいよ」

って言われると、やっぱり心が揺らぐ

たった一度会っただけの相手に、わたしは何を求めているのか

求めすぎているのか

たとえ苦痛なセックスを強いられようとも

今の夫婦生活を今までどおり続けるしかないのか…


体が疼く…

今日は随分長い時間、中を掻き回されて…

中途半端に刺激され、マッハで発射

不完全燃焼もいいところだ


これで
昔のように全く感じないならまだいい

だけど
わたしは知ってしまった

体が覚えてしまった

泣き叫ぶほどの快感を


弄ばれる相手が彼じゃないことが辛くて、涙が出た

知らない間に泣いていた


どうして泣いてるの?


訊かれて、平然と答えた

気持ちいいと涙でるんだよ
しらなかった?


それは本当だけど
今日の涙はそうじゃない


どうせ
区別なんかつくわけない

旦那は、狂ったように泣き叫んで暴れるわたしを知らないんだから


乱暴にかき回されたお腹が痛い


だけど旦那は上機嫌で息子も楽しそうに親子団欒している

息子が笑うなら
これでいい


そう思う



だけど彼の暖かさが忘れられない

抱きついたときの、おっきな体が
背中に回りきらない腕で必死に抱き寄せしがみついた温もりが

痛い…