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貴方から始まった一瞬の片想い。6


話題:先生が好き



待ちわびていた先生からの電話。諦めかけていた先生からの、電話。柄にもなくドキドキしながら勇気を出して電話にでた。



『あ…もしもし』


『ん?もしもーし?』



たった2、3秒の沈黙だったのだけど、なんだか気持ちが焦ってしまいもう一度確かめる様に受話器の向こうへ言葉を発した。



「もしもし今大丈夫かぁ?」


『うん。大丈夫だよー』


「なんや期待してたのにワンコールで出てくれへんやんかぁ(笑)」


『だって先生電話くれるの遅いんやもん!もう来ないと思って寝るとこだったよー』


「ほんまか!?俺飯食って風呂入ってとりあえず色々済ませてから真っ先にお前に電話したんやで」


初めて先生から呼ばれた¨お前¨の言葉、誰よりも先に電話をかけてくれたと言う先生から告げられた事実、たったそれだけの事で全てが満たされた気がした。


数時間前まで電話が来なくて落ち込んでいたのに、先生から電話がかかってきてほんの数秒で嬉しくて楽しくて仕方がなかった。


私の中に存在する喜怒哀楽が先生を中心に周りだしたこの時から、私は先生の事が好きなんだと自分の中で確信した。


自分の気持ちに気づいてからは何かと素直になれなくて、照れ隠しをしようと先生からの言葉を受け流してばかりだった。



『いや…遅いよ…!だってもう11時半だよ』



「ん〜まあ遅いと言えば遅いんやろけどそこまで遅ないよ!まぁでも碧海はよい子やから寝る時間やんな(笑)」



『うわ〜子供扱いとかひどーい(笑)』



「んー?酷い?俺がかぁ〜?何を言うてんの、俺は優しい優しい紳士です。」



『その訪ね方からして優しくないし紳士じゃないー」



「訪ね方?笑かすなぁ(笑)いやいや紳士やって。なぁ言うてみ?○○先生は優しくて男前で紳士ですって。」



『…っ、いや、言わんし!』



「ははっ冗談やって。そんな恥ずかしがらんでもええやんか。本当の事やし(笑)」


『あんまりそんな事ばっかり言ってたら先生の事ナルシストって呼ぶからね〜!』


「そうゆう事ならこっちも碧海は○○先生と電話してる時に顔赤くして恥ずかしがる可愛い奴ですって言いふらすからな〜」



『ん?え、ちょっとなんそれ!』



「図星かー(笑)まぁ本当にかっこいい人にかっこいいって言うのは恥ずかしいもんな。ええよ気にせんで(笑)」


『もー。さっきから先生なん言いよん!(笑)てか、明日も朝一で技能やったよね?』



他愛もない会話にいちいちドキドキして、緊張はするけど凄く楽しい電話だったからもっとたくさん先生とくだらない話をしていたかったのに、素直になれない私は話題を変えて明日の話を持ちかけた。



『あーそうや!明日変更になったんやった!俺先生やのに色々忘れてただ楽しく電話してたわ(笑)』



それなのに先生はこんな事を言って私を期待させるから、ずるい。

貴方から始まった一瞬の片想い。5


先生が好きかも。



先生との技能教習を終え私は家へと帰宅していた。いつも通りにテレビを見て、いつも通りにご飯を食べた。だけどなんだか気持ちが落ち着かなくて、鳴らない携帯電話と終始にらめっこをしていた。



「…電話…来ないじゃん。」




教習時間中に電話の話しになったあの時、実は先生とこんな会話もしていた。


「電話嫌いなん?」



『ん〜嫌いな訳ではないけど、あんまり電話はしないかなぁ。』



「あーほんまかぁ。でも嫌いな訳ではないんやな?」



『え、そぉだけど…?』



「嫌いな訳でも苦手な訳でもあらへんなら俺の電話には出てや!他の人の電話には出えへんでいいから(笑)」



『なにそれー(笑)』



「いや違うで!予定変更になったり色々あるから電話出てくれへんと困るからな!」



『そっか〜。そうだよね!でも大丈夫だよ!ちゃんと電話でるから(笑)』



「よし、約束やで?今日電話するからな(笑)」


『いいよー!ワンコールで出ちゃるもん!』


「それは楽しみや(笑)」




こんな会話をして帰宅した私は、いつ鳴るかも分からない携帯電話に惑わされていた。だけどいつまで経っても携帯は鳴らなくて、電話越しに先生の声を聞く事も出来なかった。


鳴らない携帯に落ち込んで知らずのうちにガッカリしていた私は、自分が先生からの電話を楽しみに待っていた事を知った。



時計の針は11時を周り、さすがにこんな時間帯に¨先生¨から電話はかかって来ないだろうと諦めて二階へ上がった時、タイミングがいいのか悪いのか私の携帯は小さく震えた。



そっと画面を除いてみると、そこにはずっと待ちわびていた先生の名前が表示されていた。



「あ、もしもし…」









貴方から始まった一瞬の片想い。4


いきなり投げ掛けられた質問とその質問内容になんだか訳が分からず戸惑っていた私。


「いや(笑)なんでそんなびっくりしてるん!やましい事でもしてたんか(笑)」


『いや、してないよ!(笑)昨日の夜やろ?別に何もしてなかったけど…なんで?』


「いや昨日な、電話してんけど出えへんかったから。」


『あー!あれ先生だったんだ!』


「なんでせっかくラブコールしたのに出らへんのやー(笑)」


『えっ…ごめんなさい(笑)
(ラブコールってなんだよ!)』


「まぁ登録しといてな!」


『は〜い』



私の通っていた自動車学校は担当制だったため先生とは出会ったその日に電話番号を交換していた。とは言っても連絡を取り合うために番号を教えてください、そう言われたから私が先生に番号を教えただけで私は先生の番号をその時はまだしらなかった。


だからなのかなんなのか、出会ったその日の夜に先生は私に電話をかけたらしい。基本めんどくさがりな私はその電話に出る事はなかったけど、あの時電話に出ていたら先生はどんな話をしていたのだろうか。


キャンセルをする時や予定を入れるために交換された電話番号だったけど、今思い返してみると私と先生の場合はキャンセルや予定合わせのために電話を利用したのはほんの一割程度だったよね。


だけど通話はたくさんしてた。
どの生徒よりも、きっと。



「それにしても姉妹そっくりやな!」


『えー似てないよ!』


「まあ確かに顔はそこまで似てへんな〜とは思うけど系統は全く一緒やんな(笑)」


『系統?なんそれ?』



「あれや、天然や!天然な所はほんまそっくりや(笑)」


『えっ…私天然じゃなくない?』


「まあ、自分が天然じゃないと思うならそうなんやないか?(笑)」


『せんせーなんか酷くない?(笑)そんな笑いながら言われたらむかつくやん(笑)てか、ほんとに(笑)天然じゃないし!』


「笑ってへんよ!寧ろ碧海の方が笑ってるやん!ちゃんと喋れてへんし(笑)」


『違うよ笑ってない!(笑)先生が笑うき笑っただけ!』


「日本語めちゃくちゃやんか!(爆)」




なんだかちょっとした事が楽しくて可笑しくて、車内はずっと盛り上がっていた。


この時から既に、私は先生に惹かれていたのかもしれない。終わりが近づくとなんだか急に寂しくなって、終わってしまえば次の教習が楽しみで待ちきれなくなっていたから。






話題:電話

貴方から始まった一瞬の片想い。3

片想い?



その次の日、初めての技能教習の時間。当たり前の様にY先生に教えて貰えると思っていた私の予想は外れ、乗車してきたのは気さくなおばちゃん先生だった。

慣れない運転に戸惑いながらも初めての技能は雑談を交えながら楽しく過ぎていった。どうしてY先生じゃないのかな?なんて思いは少しあったけど、それは担当が先生で今日の予定を入れたのも先生だったから、今此処に居ない先生を思って不思議に思っただけでガッカリしたとかそうゆう感情ではなかった。


無事に初めての教習も終わり二回目の教習は誰が乗るのかなぁ、なんて思いながら車の中で待機していると、


コンコン、と教習車のドアを誰かに叩かれたので振り返るとそこにはY先生がいた。


「おはよう!てかなんで最初からこっち乗ってるん(笑)助手席乗ってや〜、教習始めるで!」


『先生おはよ!え、なんで?私運転できんの?』


「まずは俺がお手本見せて、色々説明してからやで、運転できるのは!ほらほらはよ退いてや〜(笑)」


ドアは開けたものの運転席のシートに座ったまま先生と話しをしていた私は腕を引っ張られ立ち上がらされた。


助手席に乗ってからはいろんな説明やちょっとした車に関してのお勉強。車の幅はどれくらいあるでしょう、とか死角は一体どれくらいあるのか、なんて初歩的な質問ばかりだったのだけど私はどうやら珍解答を連続していたみたいで、



『ほんまか!初めてやその解答(笑)でもまぁ女の子は男に比べて距離感とか苦手な子多いしな』


なんて最初は優しくフォローの言葉をくれていたのに、最後の方はお互い笑いあって間違ったらデコピンなー!なんて言われながらも仲良く会話をしてました。そしていよいよ教習も始まり、緊張しながらも楽しく運転しているといきなり先生が口を開いた。



『なぁ、昨日の夜なにしてた?』



「へ?」



訳のわからない質問に気の抜けた返事をしたのは言うまでもない。

この世界では呼吸をする事が義務付けられている。


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