子供っぽくて面倒。でもそんな所が好きなの。
私はね、自分でも惚れ惚れするくらい自尊心が強く諦めが悪い。話し合いが好きで、喧嘩すると相手を言葉で捩じ伏せたくなったりする。嫌な奴だと思うよまったく。判然としない事が嫌いで、覇気のない人も好きになれない。
彼はマイペースでのんびり屋、話ベタでとにかく子供っぽい。何回でも同じ話をするし、要領も悪い。優柔不断で、そのくせ私が決めた事にいちいちケチ付ける。一人じゃなかなか前に進めないし、向上心も薄い。年の割に考え方が甘過ぎるというか、そのせいか見た目も若い。頭の中が純粋過ぎて、笑っちゃう位に。
でもね、そんな彼が大好きで仕方ないんだ。
私は頼られないと自分の存在意義が見出だせなくって、世話をやくのはそのせいなんだと思う。『あ〜も〜仕方ないなあ』なんて言いながら毎日頑張ってる自分が好きなんだきっと。
だからね、私には彼が必要で、彼が自分で何でも出来ちゃう出来すぎ君だったらこんなに好きになってなかった。
足りない事が美徳。知らない事が魅力。未熟である事が何よりの糧だ。
私にとって彼はアイデンティティなの。
大人になんてならなくていい、でもずっと私を必要としてね。飽きるくらいに世話をやいて愛していくから。
よく二人でドライブしたよね。
朝5時に仕事を終え、店の駐車場へ向かうと彼が車の中で眠ってる。そんないつもの光景がどうしようもなく、嬉しくて、愛しいと思ったんだ。
彼の車は黒のワゴンRだった。積まれたウーハーは大きすぎたし、スピーカーは八個も付いてた。狭い助手席には小さなテーブルがあって、後ろの窓には手作りのギャルソンのステッカーが貼ってあった。おまけに足元のライトは助手席だけ点かなかった。
そんな愛すべき彼の宇宙ではいつだって彼の大好きな音楽がかかってて、私は普段絶対聞かないレゲエやヒップホップなんかをいつしか耳で覚えてたよ。
エレファントマンが陽気に歌う。私たちの笑い声が車内に響き、暑すぎる外気を遮断していつまでも車を走らせたっけ。
本当はドライブ嫌いだったんだ。でもね、あなたとならそれも悪くないって思えたんだ。
毎日好きが増えていく。あなたの温もりを感じて、大嫌いだった夏が好きになりました。
最初は一目惚れだった。
お母さんに飲食店でバイトしないかって誘われたあの時、私は極道紛いのバカな連中とつるんでて、酷く荒んだ生活を送ってたっけ。一人暮らしを始めたばかりで、今まで頑張ってた牛乳屋の営業も逃げるみたいに辞めたんだっけ。
借金ばっかり作って男に逃げられて、レズビアンとふらふら遊んでる様な、そんなどうしようもない私にも、やっと起死回生のチャンスが巡ってきたんだ。
その頃には母の紹介で入ったお店も、半年程勤めていて、お給料もそこそこ貰える様になってた。彼はそこに居て、私は横目で輪郭をなぞる事が精一杯で。
彼は私を見てにこにこ笑うだけで、何にもなかったけど、それでも欲しいなって思ったのは多分本気で好きになってたからなんだって今になってそう思う。
一目惚れだったんだ、最初は。顔だけで別にろくに会話なんてした事なかったけど、ただ目が凄く好きだった。笑う口許が色っぽいなんて思ってた。ごつごつした手とか、血管の浮いた腕とか。耳に空いたブラックホールみたいなでっかい穴も、胸元まである長い髪を後手に結ぶ姿も、全部セクシーで、全部欲しいなって思った。
雨の日に見た彼はボロボロの原付に乗ってて、蛍光色の目がチカチカする様なレインコートを着てたけど、それでもカッコイイと思ったっけ。
今日からここはブログじゃなくなって、主人へのラブレターコーナーになりました。今までご贔屓頂いた皆様、ブログはタイトルの“。”からどうぞ(⌒〜⌒)
ただ今までの日記を全部消しちゃうのは勿体無い気がしたので一応残してます。
宜しくお願いします。