創作メモ



「賢者の石」

主に大量殺戮や戦争が起こった場所で発生する高エネルギー体。
遺体から発生する負の念が形状を成したものである。ごく稀に大量殺戮者の体内でも精製される事がある。


「賢者の石」は石と名が付くが固形の無機質な物体ではなく、初期は空中を漂うウイルスの様なものである。
そのウイルスの様な物体は負の念、苦しみや悲しみから逃れる為に遺体から血を吸い上げる。此処で「賢者の石」は液状の物体となる。
液状のまま遺体と遺体の間を這っている内に密度が高くなり、自重に負けて行動が出来なくなる。「賢者の石」も一生物であり、常に酸素や養分を必要とする。「賢者の石」に呼吸器はない為血の中の酸素を循環させていると考えられる。

身動きの取れなくなった「賢者の石」は最終的に生き物に寄生する。
「賢者の石」の場合は近くに動く物体があると其処に寄生する。寄生される際には激痛が伴い、運が悪い場合死に至る。
戦争に参加していた軍人が時折「賢者の石」に殺される事もある。
が、上手く「賢者の石」を体内に取り込む事が出来ると魔力や妖力が増幅し、果てには知識無しに錬金術が使えるようになる。「賢者の石」の密度にもよるが、大概は不老不死の法を手に入れる事が出来、世界の理より離反する事が出来るらしい。

もしも此処で養分を手に入れられなかった「賢者の石」は酸化し、赤茶色の固形物になる。此れを「石擬き」と呼ぶ。
「石擬き」は擬きと言えどある程度の力を持つ。不老不死は無理だが、若々しい肉体への回帰や、「賢者の石」同様に魔力、妖力増幅。錬金術の使用が可能となる。そして体内に取り込む訳ではないので誰でも扱う事が可能。
最近になっても戦争が治まらないのは比較的扱い易い「石擬き」を手に入れようとする為らしい。



因みに、「賢者の石」を持つ者として代表的な『アシャス・クロウジア』と『サーシャ・クロウジア』は創世期時代に大量殺戮を行った為、「賢者の石」を手に入れたらしい。
因みに、彼等が二つに分かれたのはこの時であり、元々一つの物体であったと自ら語る。腕が無いのもそのせいかと問えばそうだと答えるも、実は「賢者の石」を使えば幾らでも再生可能。
何故かと問えば、此れくらいのハンデが無いとつまらない、との事である。創世期時代から不老不死として生きる彼等にとっては、死の淵と言うものが面白可笑しいものらしい。

次に、アシャス達を追う『バウンサー』と言う獣人が居る。因みに本名ではない。
彼は元軍人で、創世期時代にクロウジア兄弟討伐を指揮した指揮官である。
だが、バウンサーの軍はほぼ壊滅に追い込まれ、クロウジア兄弟の動向を伺っている時に「賢者の石」に寄生される。
此処で兄弟を逃がしたら仲間に顔向けが出来ない、と言う強い意志の元、「賢者の石」を取り込み単身クロウジア兄弟を追う身に。
彼は現在でもクロウジア兄弟を居っている。



最近になって「賢者の石」の精製が難しくなって来ているのは魔龍『ウィノクソウル・ウォーカー』の存在が影にある。
この魔龍は人々の負の念を感知し、世界の裏側から現われると言う。が、世界の裏側は「存在しない」為、負の念より精製される生物と考えられる。
「賢者の石」の石を彷彿とさせる赤い瞳と、人々を食らいつつ闇を這う其の姿は「賢者の石」の進化形態か、と実しやかに囁かれる。