私にも忘れられない人がいる。

彼、を私は

毎度のことのように、然も当たり前のように
沢山傷つけた
沢山悲しませた
沢山、

裏切った。


( 自 己 嫌       悪 )



耐え切れず、に
「もういらない」なんて吐き捨てた。
それであっけなく終わり。

彼の心を犠牲に。
私の後悔を残して。

もしかしたら彼はもう忘れているかもしれない。
私のことは覚えていても、私との間に(多分)あった恋心、その事実
其れは忘れてしまっているんじゃないか。

私はこんなに覚えているのに。
一日だって忘れずにいるのに。

仕方ないことだ。と
冷静な「私」は言う

でも

そんなの厭だ。と
傲慢な「私」は駄々を捏ねる。









しかしながら今の私には愛する、否、愛さなくては「いけない」、人がいるのだ。
過去に私が誰かの心を犠牲にしたのなら、今度は私が

自分の心を犠牲に、罪滅ぼしをしよう。


私の意志も、心も、無意味。













あの日、数年ぶりに会った君を見て確信した、

「 私は…            」 


それでも、いやだからこそ



忘れられなくとも、未だにその幻想を追おうと
私の意志は、気持ちは、心は、

沈めておくべきだ。深く、深く。

気付くべきではなく、許されることではないのだ。






もう誰かを裏切るのも傷つけるのも悲しませるのも


厭なんだ。












おわり。