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微光

(微光)
鼻の奥がムズ痒い。どうしたものか。とりあえずマイセブを燻らせて俺はじっと部屋の隅を見つめる。ジッポの蓋を開けたり閉めたりしながらじっと、ただじっと。部屋の片隅の黒い染みがもぞもぞと動いて、こっちを見た。
「…何でこっち見んの?」
マイセブを灰皿に押し付けながら向こう側の俺が言った。折り重なった見知りの死体に腰掛けて足を組み紫煙を吐き続けている。ああ一番下の女性は俺の恋人じゃないか、ナイフに着いた血を拭う事なく向こう側の俺は無邪気に笑った。
どうやらこの部屋に俺は二人居るようだ。












































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