道に迷い、進むべき道は暗い暗い森に閉ざされて、その先に待ってる景色も真っ暗だってことが100%わかってるとして、
それでも踏ん張って歩いていけばもしかしたら自分の目が慣れてきて暗く感じなくなったり、暗い道が好きになれたりするのかな。

自分が甘いのかな。

そんなことを考えて歩いてる時に限って、目の前にあてもなくよたよた歩いてるきったないホームレスがいたんだ。
ゴミみたいな荷物持って、かろうじてかぶってるだけの服は破れてボロボロで。
視界に入れたくなかったから物凄い避けて追い越した時、自分もこうなるかもしれないって思った。
っていうか生きてるだけでこの人は偉いって思った。
決して蔑んでるんじゃなくて、こんな風に生きてるのはある意味究極にシンプルなんだよ。

物理的に考えて。
私はウォークマンで大好きな曲を聴きながら、ブランドもののバッグを持って別に無くても困らない柄物のカーディガンを着てる。
食べ過ぎてだらしなく太ったから、週末にジムに行って加圧トレーニングしながら旅行の話なんかで盛り上がって。
40分間走って汗だくになったから汚れたタオルを早く洗濯したいなとか思いながら喉が渇いたからペットボトルを買う。
帰り道にはファンデーションを塗りたくって、「ケーキ買おうかな、太るからやめとくか。」なんて考えながら
さっきつけすぎた香水の香りに「CHANELもいいけどやっぱアバクロ臭も好きだなー」と妙に感激する。
ひとつひとつがとるに足らないことで、また必要なことでもない。
それなのに私は何か一つ欠けただけでこの世の終わりだと感じるんだ。

よく考えるよ。
一つを失いたくなくて足掻いたら全てを失うかもしれない恐怖。