知っていて、君は尊い。



【焦がれる】



俺にないものをたくさん持った君に、
触れれば汚してしまう気がして、
怖くて近寄ることもできないのに。

どうしても惹かれて、
触れたくてしかたない衝動にかられ、
無意識に俺は手を伸ばしていた。

そんな俺に構わず近づいて、
その手をいとも簡単に取る君に、
はっと我に返って手を引こうとするも、
君はその手を放してくれない。

放すことを、
許してくれないのだ。

その手は、とても、温かかった。