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どうか、どうか、幸せに

私は幸せにできないから、どうか。
願わせてください。



【どうか、どうか、幸せに】



ずっと、大切な人がいる。
小さな頃から好きで、今でも。

一緒にいたかった。
でも、見ている世界が違いすぎて、
彼を支えることなんてできなかった。

ただそばで話を聞いて、
寄り添うだけで私は満たされた。

本当に、それだけでよかった。
だから、

ずっと一緒にいることはできなかった。

彼に何も返せなかった。
私ばっかり幸せで、むしろ私の存在は彼を傷つけた。
私は彼を幸せにできないから。
だから、願います。

どうか、彼が望む人と、一緒にいられますように。
私がたくさんの幸せを受けた分、
彼にもたくさんの幸せが降り注ぎますように。

ずっと、忘れたことはない。
とうか、どうか、幸せに。

思い出す

久しぶりに、故郷に帰った。



【思い出す】



何年ぶりだろうか。
様々な部分が変わり、それでもどこか懐かしい土地。
懐かしさと少しの寂しさを覚えつつ、私は目の前の風景を静かに見つめた。

あぁ、帰ってきたんだ……

そうしながら思い出すのは、やはり青春時代。
あの小さかった頃、仲の良かった友人は元気にしているのだろうか。

……もう、ここにはいないのだろうか。

私も、ここにはもういない。
自分だけだとは、思っていない。

それでも。

会えたら。

私はとっさに首を振る。
頭に浮かんだ「彼」を振り払うように。

……だから、嫌だったんだ。
止めていた想いが膨らんでいく。

会いたくない。
――――――――会いたい。
見たくもない。
――――――――触れたい。

通る人の中に「あの人」がいたら良いのにと目が追うのに、
会ってしまったら最後だと、奥底で警鐘が鳴る。

あぁ、分かってる。
だから、

帰ってきたくなかった。
――――――――帰ってきたかった。

誰か、止めて。

明日が来るか分からないから

ねぇ、また会いたいって思ったの。



【明日が来るか分からないから】



なぜ会おうって言ったんだ?

お酒を飲んでその問いに、私は疑問符を浮かべる。
どういうこと?と聞くと、彼は言いづらそうに言った。

だって君には彼氏がいるじゃないか。

なのに……
そこで口を濁す彼に、でもそれで私は分かってしまった。
彼氏がいるのに、ほかの男と二人で会ってもいいのかと。
確かにそう思うよねと、思いつつ私はつぶやいた。

大切な人と会うことも、できなくなるなら彼氏なんかいらない。

彼はそれに目を見開いた。

私はたくさん悩んで、そのたびに貴方に助けてもらった。
なのに、私は貴方を助けることも、癒すこともできないの?

私はそっと、目を閉じた。

もちろん貴方が私と一緒にいることで、
つらい思いをしたり、
寂しい思いをするのなら、
私は離れます。

でも、少しでも貴方が私といることで、
少しでも安心や、救いになるのなら。

そんな、真っ直ぐ過ぎる気持ちは、言えないけれど。

もし私に明日が来なかったとき、会わなかったことを後悔だけはしたくないの。

そっと目を開いて、彼を見つめて、私はそれだけを伝えた。


利用?
してる?されてる?

そんなの、関係ないよ。


前を見て。
未来は無限にも広がっている。



【∞】



小さなきっかけで、世界は変わるんだよ。
例えば人やものとの出会い。
受けた言葉や映像。
ストーリーを見た人は「こんなことで?」と、思うかもしれない。

でもね。

そんなささいなことで、人は、未来は変われるんだ。

ほら、君は好意を持たれたら、少なからず嬉しいだろう?
ほら、君はほめられたら、少なからず自信を持つだろう?

もう、ここで君の未来は君の中で、少し変化しているんだ。

忘れないで。

可能性を潰すのも、生かすのも、君次第。
でも、常に人は進んでいるんだ。

自分の才能を見て、励ましてくれたり、好きだと言ってくれたり。

この、人が見つけ好意を持ってくれた才能は、
君の中で必ず光になる。

告白


好き。

それは、本当に、真っ直ぐで。



【告白】



どうして、今さら。

正直、困惑した。
だって彼女は親しいとは言え友達で。
それにしか過ぎないはずで。
一度たりとも、彼女を恋愛対象と見たことはなかった。
それが伝わったのか、彼女は苦笑いを浮かべた。

だって貴方、言わなきゃ気付いてもくれないじゃない。

そりゃあそうだ。
言われるまで思ってもみなかったのだから。

なぜ、今。

茫然としたまま問うと、彼女は気持ち、眉を潜めて言った。

気付いてほしかったから。

叶わなくていい。
この緩やかな関係が壊れてもいい。

貴方の隣にいられる安心感よりも、
想いを知られない苦しさに、堪えられなかったのだと。

静かに告白する彼女。
自分は彼女の何を見ていたのだろうと思う。

伝えられて、よかった。

そう、呟く彼女はそっと微笑んだ。

なぜ、笑えるのだろう。

そのまま問えば、彼女は笑みを濃くした。

貴方は優しいから。

だから私を傷付けることは絶対しない。
そんなの分からないじゃないかと返すと、彼女は首を振った。

今、貴方は答えを出さない。

違う?
そう問われて俺は頷く。
これはそう容易に解決できるような問題じゃない。少なくとも俺にとっては。

すると彼女は小さく笑った。

答えを出す前に貴方を必ず落とすわ。

そう言って満面の笑みを浮かべる彼女に、

一瞬でも勝てないかもと思ってしまった俺がいた。
 
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プロフィール
紗夜香さんのプロフィール
性 別 女性
年 齢 37
地 域 三重県
血液型 B型
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