泣けないときは

名前を呼んで







あなたはまだ知らないだけ

胸の中 つつまれる

あの幸福とあたたかさ

そして

ほんの一握りの

哀しさを








不思議だね

いま

在るものがすべてなのに

さわろうとすると

消えていく

形を変えて何度でも

うしなって






変わることを

怖れてはいないけど




でもね

失いたくないものだって

たくさん

たくさん

あったよ


それはもう

夜空に浮かぶ

星の数ぐらいに








それでも人は

過去を生きることが

できないから


ひたすら今に

身をまかせながら




そしていつか私は

忘れるでしょう


飽和しきった苦しみや

嘆きを

向こう側に

置いてって





きっと

幸せだった輪郭だけを

覚えてる








だから


だからね

泣きたいときは

私を呼んで


いつだって

何度だって

私はそばにいるから