2019かげらふ日記(虚構)#03「朝礼の校長先生の事」。


話題:妄想

『朝礼の校長先生の事』

〇〇月××日【火曜日】

(晴れ 時々 誰かの抜け毛)

古いカセットテープをCDにダビングし、残しておこうと思い立つ。選別の為に改めて片っ端からテープを聴いていると、小学校の時の朝礼の校長先生の話し声が入っているものがあった。そう言えば、冗談で朝礼の様子を録音した事があったっけ。

内容があるような無いような話を声の大きさと元気さでカバーする独特の話術に懐かしく耳を傾けていてハッとした。話の途中、校長先生は「ヘイセイ」言ったのち、慌てて「ショウワ」と言い直していたのである。テープを止めて再度聞き直したが間違いない。明らかに[へいせい]と自信を持って発音している。声がデカいのでよく判る。

どういう事だろう。この時は「平成」という元号は存在していない筈なのだが。

注意して他の部分を聴き直す。すると明らかにおかしな言葉が幾つか飛び出していた。「スマホ」「Win-Win」「小惑星リュウグウ」「ワイルドだろぅ〜」。当時は気づかなかったが、いずれも昭和の中頃には不自然なワードだ。他にも「新東京へちまタワー」「ポルッペンホルッペン」「尾てい骨ブーム」「首都群馬」「えびす総理大臣」など聞いた事がなかったり意味の解らない言葉も幾つかあった。

今にして思えば、あの校長にはどこか浮世離れしたような所があった。物影で腕時計の文字盤に向かってコソコソ話しかけたり、かぶっていたヅラの横の小さな突起(ボタンか?)を押し、一瞬で髪型を変えるのを目撃した人もいる。

もしかすると、あの校長先生は数十年、いや数百年後の世界から来た未来人だったのかも知れない。


〜おしまひ〜。

2019かげらふ日記(虚構)#02「シャツのボタン」

話題:妄想を語ろう



◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『シャツのボタンの事』

〇〇月××日【木曜日】

(雨 時々 ドモホルンリンクル)

おNEWのシャツ(超ボタンダウン)を着て初のお出掛け。電車に乗っている時、シャツの前ボタンをかけ違えているのに気づいて慌てて直す。超ボタンダウンだけあって前閉じのボタンだけでも24個あるので嵌め直すのも一苦労。ちなみに両腕も背中も両脇もボタンで留める仕様(総ボタン数240個)なので着替えるのにとても時間が掛かるのだ。でも、それだけの価値があると思う。何せ、ボタンの一つ一つに歴代のアメリカ合衆国大統領や大統領補佐官、FBI長官、ニューヨーク州知事の顔が彫刻されているのだ。これはカッコいい。これがカッコよく無かったらこの世にカッコよい物など一つもないだろう。

電車から降りて、打ち合わせ等で使ういつもの喫茶店へ。ここで、またもや、シャツの前ボタンをかけ違えている事に気づく。さっき直したはずなのに再び1個ズレになっている。狐につままれたような気持ちで今度こそ間違えないよう掛け直す。

が、その後も、ふと気づくといつの間にかボタンがズレて留まっている。紐やロープ、コードというのは放っておくと自ら勝手にからまりだす性質がある(紐=生物説)が、もしかするとシャツのボタンにも同じような性質が備わっているのかも知れない。ボタンダウンのシャツ=生物説。近いうちに論文としてまとめ、学界に提出するとしよう。そんな事を思いながら、かけ違えたボタンを見つめていると、ボタンの中のジョンFケネディ大統領顔がニヤリと笑ったような気がした。


〜おしまひ〜。

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