46年の勘違い


話題:懐メロ

思いも寄らない時に思いも寄らない事実がつ突きつけられる事がある。

先日、懐メロの番組を観ていると「林檎殺人事件」のPVが流れ始めた。郷ひろみ&樹木希林の異色ユニットによる1978年のヒット曲だ。懐かしい。(懐メロ特集なので懐かしくて当然と言えば当然ではある)。それにしても久しぶりに聴く。画面下部に流れる歌詞のテロップを何とはなしに目で追ってゆく。

♪殺人事件に林檎が落ちていた。

(ああ、そうそう)

♪がぶりとかじった歯形がついていた。

(こういう歌い出しだったな)

♪捜査一課の腕利きたちも

(いや、二人とも若い)

♪鑑識課員も頭をひねってた。

(……えっ?)

ハッ!それまでの懐かしさが瞬時に吹き飛ぶ。テロップの中に思わぬ言葉を見たからである。

どの部分か?

♪鑑識課員も頭をひねってた。

ここである。記憶の中の歌詞と違う。私が覚えていたのはこうだ。

『♪アインシュタインも頭をひねってた』

カンシキカイン→アインシュタイン

微妙である。似ていると言えば似ている。似ていないと言えば似ていない。冷静に考えればその前の部分で「♪捜査一課の腕利きたちも」と言っているのだから、その後に来るのは普通に考えれば鑑識とか監察医とか沢口靖子だろう。アインシュタインの出る幕はない。

恥ずかしい間違い。

が、言い訳をさせて貰えれば、郷ひろみさんの声がかなり鼻にかかっているので歌詞の細かい部分が聞き取りにくいし、すぐ横で変な格好をした樹木希林さんが踊っており、そちらに気を取られてしまうのだ。更にその後の歌詞の「パイプくわえて探偵登場」。これがまたいけない。パイプの探偵と言われれば、シャーロック・ホームズを想像してしまうからだ。ホームズが出るならアインシュタインが出ても良いだろう。つまり、「アインシュタインみたいな天才さえも悩ませる怪事件」だという阿久悠先生(作詞者)の主張なんである。

それをシャーロック・ホームズが現場を一目見ただけで「男と女の愛のもつれ」が原因だと看破する。それも根拠はまるでなく単なるヤマ勘で断言してしまうのだから、これはもうさすがは阿久悠大先生だとシャッポを脱ぐしかない。

……と自分の勝手な勘違いを阿久悠と郷ひろみと樹木希林(以上、敬略)のせいにする。

それにしても驚くべきは、「その勘違いが46年間も訂正される機会を持たなかった」という点だ。オリンピックに換算すれば11連覇となる。まったく恐ろしい話だ。少なくともこの46年間カラオケで一度も林檎殺人事件を歌った事がないという事実は証明された。もし歌っていればモニターで歌詞の間違いに気づいたハズだからだ。

何はともあれ間違いが正されたのは良かった。もっとも、正されたからと言って得する事は何も無いのだが。逆に間違って覚えていて損した事も無いのでそこは引き分けだろう。

ちなみに、この「林檎殺人事件」はドラマ「ムー一族(むーいちぞく)」の挿入歌で、このユニットでは「お化けのロック」に続く2曲目となっている。気になる方は調べてみては如何だろうか。


〜おしまひ〜。


更にちなみに、郷ひろみさんの曲の中で一番のお気に入りは「ハリウッド・スキャンダル」である。そして、間違いが訂正された今も「アインシュタインの方が良いのではないか」と心の中で秘かに思っている。


かげらふ日記(虚構)28『真冬の肝だめし』


話題:妄想を語ろう



 小学校から腐れ縁の続く友田に“一生のお願い”と泣きつかれ、急遽、肝だめしに参加する事になった。

友田は超常現象専門のライターで、常にパワースポットや心霊スポット、UFOの目撃多発地帯を渡り歩いている。そこで仕入れた怪談話や不思議な出来事を講演しながら全国を渡り歩いているという変わり者、少し危ないやつなのだ。そのくせ人一倍怖がりだというから訳が判らない。今回も「なあ、一緒に行こうよ。一人だと心細くてさあ。頼むよ、一生のお願いだから」と何時もの如く泣きついてきたのであった。

2月に肝だめしって珍しくないか?普通は夏にやるものだろう、と訊ねると、いや、肝だめしは通年行事だよ、と友田は涼しい顔で言い切った。まあ、オカルト好きにはそうなのだろう。彼にとってラッキーだったのは、昨日今日の急な希望にも関わらず私の休暇願いが会社に受理された事だ。

私「急で申し訳ないのですが、明日1日お休みを頂けませんでしょうか?」

部長「また、いきなりだな。で、理由は?」

私「はあ、それがですね……実は友人と一緒に心霊スポットに行かなきゃならなくなりまして」

部長「ああ……心霊スポットなら仕方ないか。判った。届けを出しておく」

私「ありがとうございます」

部長「では、“忌引き”扱いで」

どう考えても心霊スポット巡りは忌引きではないが、下手な事を言ってへそを曲げられても困るので「はい、それでお願いします」と答えておいた。

かくして迎えた当日。最寄り駅から下り方面へ各停で2駅ほど先の、乗降客の殆どいない小さな駅で降り、そこから路線バスへと乗り換える。田園地帯を抜け、鬱蒼とした森の中へ。進むにつれ風景がどんどん怪しげになっていく。見れば、私と友田以外の数人の乗客も何処か皆生気がなく、否応なしに私の不安感は募っていった。もしかしたらこの辺りは曰く付きの土地なのかも知れない。誰も口をきかぬまま30分程揺られた頃だろうか、友田が「着いた」と言い、私たちはバスを降りた。どうやら他の乗客も全て同じ停留所で降りたようだ。

バスを降りた私たちが舗装された部分と未舗装の部分が入り雑じる細い道をとぼとぼ歩いて行くと、やがて森の中に古びた門柱が立っているのが見えた。「ここだ……」友田が緊張した声で言った。元は白かったであろう壁のあちこちにスプレー缶の落書き絵が見える。肝だめしに訪れた連中の悪ふざけだろう。薄汚れた門柱にはかすれて消えそうな字でこう書かれていた。

【醵鷂瑙病院】

読めない!全く読めない!なんて恐ろしい病院なのだ!心霊スポットの定番、廃病院に違いない。大正〜昭和初期辺りのカフェ建築っぽいレトロモダンな建物の規模は町の医院よりは大きく総合病院よりは小さい。その中間ぐらいか。落ち葉や枯れ木の地面を踏み締めながら玄関口へ。アールデコ調の入口扉は開け放たれていた。青ざめた顔の友田と緊張しながら建物の中へ足を踏み入れる。不法侵入を気にする私に「そこは問題ない」と友田は言ったが本当だろうか。不安な私を尻目に、友田は一直線に待ち合いロビーを突っ切り〈総合受付カウンター〉へ向かう。そしてカウンターの奥に向かってこう言った。

友田「すみませーん。マイナ保険証って使えますよね?」

すると、

「大丈夫、使えますよ。えーと、友田さん、今日は肝臓の検査でしたね」カウンターの下からひょっこり顔を出した熟年の女性が答える。ひょっこりはん!

友田「はい、宜しくお願いします」

うむ。友田が私の顔を見て頷いた。

うむ。肝だめしって…………肝臓の検査の事だったのか!

と言うか、ここ……廃病院じゃなかったのね。

塀の落書きは地域の若い芸術家たちによるポップアートで、人里離れた場所にあるのは混雑を避け、療養に適した綺麗な空気を求めた結果らしい。道理でバスの乗客たちの顔色が悪い訳だ。体調が悪い人しか来ないのだ此処には。

友田「知る人ぞ知る肝臓の名医が居てさ。名前は“井伊寛三”……いいかんぞう……良い肝臓!な、凄いだろ。いやいや、すまんなあ、付き合って貰って。ほら、明らかにオレ酒呑みすぎだからもう不安で不安で」

なるほど。普通に心細かったのか。思えば私が勝手に心霊スポットだと勘違いしただけで友田はそんな事は一言も言っていなかった。

ついでにお前も一緒に検査どうだ?の誘いを丁重に断り、友田の検査が終わるのを待ち、会計を済ませて病院を後にした。支払いはタッチパネル式の自動精算機。外観は廃病院だが設備は近代的だ。マイナ保険証にもちゃんと対応しているし。廃病院とか心霊スポットとか言ってごめんよー。

友田の検査結果は再来週判るらしい。無事だといいけど。結果が出るまで不安だろうから、帰りにコンビニで気休めにヘパリーゼを14本買ってプレゼントする。検査検査が出るまで毎日1本ずつ飲むといい。今さらではあるけれども。まあ、人ってそういうものでしょう。


〜おしまひ〜。


ハッピーニューイヤー!Mr.ローレンス!


話題:明けましておめでとうございます

 
ああ、早く夏にならないかなあ。1月の次が7月だったら良いのに……。

……あ、失礼しました。では、改めまして……

『明けましておめでとうございます』

はい。これくらいのタイミングで新年の挨拶をするのが薄気味悪くて良いですよね。そしたら、ついでに、

『メリークリスマス!─Mr.ローレンス!』

いえいえ、過去も未来も現在という時間の中に同時存在しているので何も問題はないのです。

……それにしても、年明けからとにかく眠くて仕方ないのです。聞けば逆に冬眠をしない熊が増えているのだとか。もしもエネルギー保存だか質量保存の法則が成り立つのであれば、世界における“眠気の量”は一定だという事になります。となると(ダック)、冬眠をせず眠気を感じなくなった熊の代わりに眠気を引き受ける存在が出てくる訳で、それが私なのではあるまいか?

***


【アルマ烏賊】……@イタリアに生息するお洒落なイカ。何故かアルマーニの服を着た人間以外には釣られ(獲られ)ないという謎の性質を持つ。見た目は草間彌生っぽいデザイン。

A耳を当てるとアルマゲドンのテーマ曲が聴こえるといわれる幻のイカ。大変美味だが食べると髪の毛がブルース・ウィリスと同じ状態になる。


***


熊の眠気が私に。なるほど、言われてみれば、コンビニ等でおにぎりを買う際、何故か真っ先に鮭に目がいってしまのも私に熊の物が憑依していると考えれば納得が行きます。

まったくまったく、本当に何が起こるか分からない世の中になって来たものだと、つくづく感じてしまいます。そんな予測困難な昨今ではありますが、ほぼ確実にそうなるだろうという予測出来る事も幾つかあって、その1つがAIの更なる進化と日常生活への進出でしょう。

そこで、今年からの当ブログのテーマと言うかコンセプトを『AIでは書けないようなお話を提供する』に設定しようと思います。まあ、書けないというより「阿呆らしくて書こうとしない」かも知れませんが。

つまりは──

今までと変わらず同じように行こうという事です。

そんな感じで今年も宜しくお願い申し上げます。


〜おしまひ〜。


──というこれも実は生成AIが書いたものだったりして……。





年末年始のご挨拶的な。


話題:一年を振り返ってみる


2023年も色々な事がありました。世界情勢や環境問題、社会面なネガティブなニュースが多かった気がしますが、明るい話題もありました。特にスポーツ。やはり語るべきは、何と言ってもWBCの熱狂ぶりでしょう。

迎えた決勝、アメリカ戦の試合前のロッカールームで大谷翔平がメンバーに向けて放ったあの言葉──

『あれはゴルフを愛する人への冒涜ですよ!!』

──歴史的名言として末永く語り継がれてゆく事でしょう。

……えっ?今のはビ〇グモーターの社長の謝罪会見の台詞?

すみません。勘違いしてました。正しくはこちらです──

『ドゥデュースも私も帰ってきました!』

──皆が震えましたよね。

……えっ?それは有馬記念の武豊の台詞?

そうしたら、こちらでしたっけ──

『おつかれ生です♪』

……えっ?阪神の優勝後のビール掛けの時の平田コーチの台詞?

うーーーむ。何だか色々な事があり過ぎて全部ごちゃ混ぜになってしまいました。まぁ、とにかく、小谷実可子さんが何かいい事を言ったのですよ─いや、小谷さんじゃなくて中谷美紀さん─じゃなくてホテルニューオータニの支配人─もとい、大谷翔平さんが何か『元気があれば何でも出来る』とか『板垣死すとも自由は死せず』とか『見た目は子ども、頭脳は大人』とか、そんなような事を言って日本中が盛り上がったという。

その決勝も手に汗握る大接戦で、先取点を取られて劣勢の中、大谷のツーベースを口火に吉田羊?吉田茂?いや吉田正尚の四球、代走に周東。満をじして登場の三冠王村上が外野の頭を超える大飛球、快足を飛ばしホームへ走る大谷、それを更なる快足で追い掛ける周東、二人帰って逆転か!と思ったところに外から一気にルメール騎乗のイクイノックスが二人を差し切ってゴールイン。ドバイDF、天皇賞・秋(天才ルメール騎手の神騎乗が炸裂)に続きジャパンカップをも制して世界ランキング一位の底力を見せつけた結果となりました。強い。強すぎる。

……えっと、何の話でしたっけ?

何だか色んな事があり過ぎてごちゃごちゃになって訳判らなくなってきました。まあ、そんな感じで優勝。栗山監督が選手にあんまり優勝を意識させないように敢えて優勝という言葉を使わず『アレ』
と言っていたのも話題になりましたよね。

……それは阪神?岡田監督?

まあまあ、WBCの優勝だけでなく他にも多くの偉業がありました。

例えばボクシング。4団体のベルト統一を賭けた世紀の一戦。迎えた第10ラウンド、野坂昭如、渾身の右ストレートが大島渚監督の顔面を捉えた。……いや、これは全然違う別の話でした。とにもかくにも、2つの階級で4団体のベルトを統一し、累計8冠となった井上尚弥選手。次は同じく8冠を持つ藤井聡太さんと16冠を賭けた夢の対決に挑むとか挑まないとか。

他にもフィギュアスケート、やり投げ、バスケ、ラグビー等々、様々なスポーツで素晴らしい活躍がありました。 

それらの熱きこころ(小林旭的な)と赤いトラクターを思い出しながら、ポジティブなエネルギーを持って新らしい年を迎えたいものです。



2023年も残すところ僅かとなりましたが、今年も何かと大変お世話になりました。2024年もまた宜しくお願い申し上げます。

〜おしまひ〜。

*『お世話になりました』と書くたびに井上順さんを思い出す人、この指とーまれ。



かげらふ日記(虚構)27『隙間を狙え』


話題:どうでもいい話


私は幾つか習い事をしているが、その中の一つに剣道がある。と言っても普通の剣道ではない。

爪楊枝剣道。

その名の通り、竹刀の代わりに爪楊枝を持つ剣道だ。それ以外は普通の剣道とほぼ同じで、ちゃんと面を被り胴を巻き小手を付け袴を履いて行う。

剣が爪楊枝なので打たれても全然痛くなく、怪我が少ないのが大きな魅力だ。剣も竹刀と違って軽いし小さいしで持ち運びも全く苦にならない。稽古後の食事の際には本来の用途である爪楊枝として使える……という具合に万事良いこと尽くめなのである。

とは言え、侮って貰っては困る。決して甘い競技ではないのだ。むしろ普通の剣道よりも厳しい部分も間違いなく持ち合わせている。何と言っても、“小手をはめた状態で爪楊枝を両手で持つ”、これが至難の技。手先の繊細な感覚と高い集中力が必要で、それを持続しなければ試合にならないのである。あまりの緊張に耐えられず神経をやられイップスを発症する者も多い。なかには「爪楊枝ではなくお箸では駄目なのでしょうか?」と泣きつく者もいる。試合時間の7割は落とした爪楊枝を探して拾い上げている時間だと思って貰って構わない。かような事実が示すように、とにかく心身の強さが共に必要となる。

何故そのような過酷な競技を続けているのか。

それはひとえに競技人口が少ないからである。競技人口が少なければ日本代表にも選ばれやすい。隙間を狙うのだ。残念ながら次のパリ五輪では採用されなかったが、その次か、次の次あたりの五輪ではこの【爪楊枝剣道】が正式種目として採用されるのではないか、と私は踏んでいる。

是非とも近々のオリンピックで、爪楊枝をはしっと構えた私の勇姿を楽しみにして頂きたいものである。

〜おしまひ〜。

*追記*

爪楊枝剣道が正式種目にならなかった場合の保険として、冬季五輪を見据えた【つららフェンシング】も習い始めました。




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