12/09/08 23:20 (:みる・きく)
黄金は太陽の欠片



明日で仙台市博物館の“インカ帝国展”の会期が終了しますね。
慌ただしさにかまけて書き損ねていましたが、私は先月の中旬に行って参りました。

15世紀から16世紀にかけて、現在のペルーを中心に栄えたアンデス文明最後の帝国、インカ。
文字のみならず、鉄器も車輪も持たなかった文明が、巨大な石造建築や天文学的な知識を持っているのは驚きますよね。

そして南米文明はまだ研究の途中という印象がありますが、だからこそ子供の頃から興味が尽きません!
今回は新たに明かされた事実と深まる謎が交差する、考古学の面白さが詰まった特別展でした♪

特に素晴らしかったのは、考古学、人類学、歴史学の各分野から最新研究を紹介していたことです。
以前にもインカや他のアンデス文明の特別展は見たことがありますが、既知のことであっても異なる視点から見ると理解が深まりますね。

考古学の展示で印象的だったのは、美しいコチニール・レッドに染められた織物。
太陽神と王のために選ばれた、アクリャと呼ばれる乙女たちが作ったと考えられているそうです。
生贄に供えられた小さな人形たちも、信仰心の篤いインカの人々が、心を込めて命を差し出したことを忍ばせました。

人類学の展示では人骨やDNAの解析によって、インカの民族や統治についてを調査した結果が紹介されています。
正直に言いますと…あまりにもミイラが生々しくて、他の印象が吹き飛びました…。(笑)
でも古代ローマのように他部族を懐柔させる統治や、集団移転などの合理的な政策が、巨大帝国の基礎になっていたことには感心しきりでした。

個人的には歴史学の展示が、最も感動したかも知れません。
これまで帝国の文化はスペインの征服者たちによって、徹底的に破壊されたのだと思っていました。
それが近年の歴史研究によると、一部のインカの末裔は征服後も結束し、密やかに文化を守り伝えていたらしいのです。
国は滅び、人々は虐げられても、その民族の誇りは決して消えない――久し振りに人間の格好良さ、尊さを感じて胸が熱くなりました…!
西洋のレースに縁取られたインカの伝統的な装束、とっても可愛いコラボレーションですよ。(笑)

そして今年はマチュピチュ発見から100周年、7月24日を以て101周年だったと言うことで、最後はマチュピチュを3D映像で再現したミニシアター!
聖なる鳥コンドルの視点から空中都市を見下ろす気分になれる、なかなかの迫力でしたよ♪
たまきひろしさんのナレーションにも癒されます。(笑)

インカの独特の世界観の中では、神と王も、生と死も、人々にとって身近なものだったでしょうね。
人間も自然の一部であることを改めて思い出させてくれる、素朴ながらも強烈な力に溢れた文明だと思いました。

話題:美術館・博物館



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