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うぐいすに憂く<追記>

※ねつ造紳士の人妻本田略奪愛短文
これこれこれの続き!

結局断れなかった日本の家に俺は最近毎日のようにイギリスの浮気調査と称して通い詰めている。

人のいい、というかある意味鈍感な日本は俺の思惑どおりで、俺は早く、早く収穫の時が来ぬかと胸踊らせて今日も日本へ降り立つ。

焦りは禁物である。ようやく板に付いてきた、紳士的な振る舞いと貼り付けた優しい笑顔。日本はこれらに弱いらしく、いつも困ったような、弱々しい瞳で俺を見るのだ。

そんな瞳を見る度に俺の皮一枚下にいる獣が舌なめずりをする。本当は直ぐに狩ってもいい。細い庇護欲を駆り立てるクリーム色の肌を暴いて貪って、喰らい尽くして快楽漬けにしてしまうのも悪くない、悪くないのだ。

しかし、どうしても欲しいものが出来てしまった。

「今日はイギリスの様子はどうだった?日本。何か不審なところはなかったか?」

「いえ、特に変わったことは…」

日に日に目に見えて元気を失う小さな黒い瞳を覗きこむ。はらり、はらりと萎れゆく花のごとくそれは美しくも儚く、そして切なげである。イギリスの愛する薔薇は咲けばこそ美しいが散りゆく様は見るに耐えない。鮮やかな紅がぐずりと腐れて朽ち果てる。

そういう意味では日本は薔薇ではない。イギリスの愛して止まない薔薇ではないのだ。

「どうやらイギリスの奴ご機嫌取りに本国の彼女に大きな薔薇の花束を贈ったようだ」

「そう…ですか」

「あちらの彼女もどうやら相当疑い深くなってるみたいでな。どうせただのご機嫌取りだってさ。でっけぇ花束抱えてよく言うよな。調査させられてる俺らの身にもなって欲しいもんだ。どう思う、日本?」

「どう、と言われましても」

日本が昨日の世界会議でイギリスから薔薇の花を一輪、受け取っていたのを知っていて日本を追い詰める。

本国の女性への花束は大きなものだったと吹き込むのを忘れない。

刷り込むように、イギリスと日本の関係は本物でなく、単なるイギリスの出来心、浮気であると思いこませる。

イギリスへ猜疑心を持ち出した黒い大きな瞳が、昨日イギリスから薔薇を受け取った瞬間確かに甘くとろけたのを見た。あの瞳が、欲しいのだ。濡れたように光るあの漆黒。イギリスには与えられて、自分には麟片も与えられないあの瞳。


「なあ、本当に大丈夫か、お前?」

「え?」

「なんかフラフラしてんじゃねぇか…体調悪いのか?」

「大丈夫ですよ、ありがとうございます」

「なんかあったら直ぐに俺を呼べよ?日本って心配で見てられないんだ」

「お優しいのですね、スコットランドさんは」

力無く微笑む日本の姿は今にも消え入りそうで儚い。きっとイギリスのことを考えて、思い悩み眠れない日が続くのだろう。初めて目にした時のつややかな頬の肉が少し落ちていて勿体無いと思った。

「女関係であっちこっち忙しいイギリスとは違う。俺は恋人も居ないし気兼ねすることないぞ?」

もっと、もっと猜疑心を日本へ。真っ直ぐにイギリスと向き合うことが出来ない程、日本が一人じゃ手に負えなくなる程深くに。

判断力も外聞も理性も日本を制御出来ない程傷付けねばならない。

枝分かれの道を全部潰してしまえば、道は一本に絞られるであるように、俺に縋りつくしかなくなるであろう。

「…本当に、お優しいです、ね」

「何、泣きそうな顔してんだ、バカ」

その台詞を吐くと、日本の顔が歪んだ。それこそ涙が膜をはり、泣きそうな顔だった。

急いては事を仕損じる。

俺にとって予想外であった。

いつの間にか消え入りそうな小さな日本を腕に囲って強く抱きしめていた。理性を重んじる俺にとっては信じられないが、まさしく本能的に日本をかき抱いたとしか言いようがなかった。

しかし、何よりも信じられなかったのは、淡い象牙色の項に鼻を寄せてもその体を開いてしまわなかったことだった。

きっかけは肉欲のはずだ。

やんわりと甘い芳香漂う、その項を、首筋を、鎖骨を目の当たりにして確かに中心は熱を持ったのに俺は必死に日本を宥めていたのだ。

そこにあるのは自分で傷付けた日本を自分で癒やすという矛盾と倒錯的な満足感だった。

早く、俺の物になればいいのに。
すんすんと鼻を小さく鳴らしていた日本の手が力無く俺の肩甲骨に添えられるのを感じてどうしようもなく嬉しくなった。


<続>

イギリス空気すぐる(^p^)www略奪のつもりがすっかり菊しゃんにメロンメロンなスコ兄さん萌!!
2010/10/31 00:40 Sun
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