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僕らは今更、白い鳥じゃない。身を寄せ合う蝙蝠でいい。








この関係を例えるなら、何と言うのだろうか。









ジャックと真朱。


お互いの強さを認めて強さを求め、互いに競い合う。謂わば好敵手。
何かがあれば協力して、どんな事でも乗り越える。
それでいて、孤独な感じがする。


「俺は常に真朱の前を行く。あいつは、独りで前を行く様は似合わん」

「いつもジャックには先を越されてる気がするけど…私はアイツが前にいるならそれでいいんだ」





クロウと真朱。


俺達の中で最初にマーカーをつけたのが二人だった。二人はそれを誇らし気に見せつけていた。
男も女も関係なく、烙印(つ)けられるそれを勲章と言った。
謂わば悪友。



「オレは真朱を女だって思った事はねーな。女だろうが関係ねぇ。アイツはオレ達の仲間だ」

「クロウとはいつも悪さしてる気がする。でも、仲間だからこそ一緒に悪さできる気がするんだよね」








鬼柳と真朱。

何かと暴走する真朱を、鬼柳が止めていた。その逆も然り。謂わば共立。
互いに理解しているからこそ、ストレートに想いをぶつけ合う。



「真朱とは何かとケンカしてばっかりだけどなぁ…なんつーか、俺が止めなきゃっていう気がするんだよな」

「京介は、兄貴っていう感じがする。いつもケンカするけど、それは解って言ってる事だしね」












俺と、真朱。




他の三人とは違う、遠すぎず、近すぎず…例えようのないこの関係。
共に居た時間がジャック達よりも長いからなのか、それは定かではないが。
それでも、俺と真朱は近くに居た。





「遊星…は、何て言っていいのか解らない。
物心ついた時から一緒にいたし、何かしら同じ事をしてたからね。
…でも。傍にいるだけで、何か安心する」





好敵手とも悪友とも、共立とも言い難いこの距離。

背中合わせのこの距離は、自分の抱く真朱への想いに気づいてからもどかしくなった。




真朱と向き合えるジャック。
真朱と笑い合えるクロウ。
真朱と支え合える鬼柳。






俺は、そんな三人が酷く羨ましいと思った。
今では、名前を呼ぶ事ですらもどかしい。





この微妙な関係に終止符が打たれる日は来るのだろうか。
この醜い感情を、知られずに過ごせるのだろうか。






こんな俺は、白い鳥じゃない。







蝙蝠にすらなれない俺に、何が出来ると言うのだろうか。




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