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「なあ月詠、」
「ん?」
「お前は、さ」
月明かりを眺め、一旦視線を落としてから呟く。
「寂しくねーのか」
「…何がじゃ」
視界の端で捉えた銀色は、月明かりを浴びて金色に近くなっていた。
「女を捨てたことが」
直ぐに返事が出来なかったのは、きっと
「お前は事あるごとに『わっちは女を捨てた』って言って片付けるけどよ、
そのくせ急に切なそうな目をしたり、泣きたそうな目をしたり…」
「…何が言いたい」
綺麗だ、と思っていた月明かりがぼやけたから。
「俺にはお前が十分女に見えるってこと」
まあるい月が歪むまで、あと少し。
眼下で揺れたハルジオン
(ゆらりと歪むそれは、)
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