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「ねぇ神楽」
彼女は泣きじゃくる。
「神楽ってば」
彼女は泣きじゃくる。
涙を止めてあげるにはどうしたら良いのだろう。
言葉をかけても無反応、抱きしめたって爪を立ててしまう。
実に情けない兄である。
血の染み付いたこの手で妹に触るのは、どうも抵抗がある。
何も出来ないくせに、汚したくはない。
戦うのも、人を殺めるのも、好き。
こんな事を言ったら一般人は厭がるが。
自分をこうさせた血が、妹にも眠っている。それは曲げられない事実で。
いつそれが覚醒するかは分からない。
彼女が何を幸せとするかも分からない。
何も分からない、でも。
「ごめんね」
爪を立てぬように抱きしめた。
彼女の涙は止まった。
未来、彼女が「幸せ」と言えるように。
それを自分で探せるように。
それまでは、どうか傍に。
一片の光
(願うことはできる)
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