▼「遺書」
13/11/04 06:03
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現在の室温は15℃程、
走り出した環状線の音が
朝を知らせてくれる。
余計なお世話だ。

吐く息が白くなりはしないが
カーディガン1枚では
寒い寒いと毛布に潜り
目を開けていると
世界がビリジアンに染まって
自分だけの世界になる。
静かにすう すう…と
息だけして
目蓋を閉じれば
その自分が他人と居るという
事実さえ消せる
それほど静かで小さな世界。

誰にも共有したくない
誰にも知りえない
私だけの考え、思い、自我の城。


…そして口ずさみ
目を覚ますのだ。
環状線の音に
死ぬまではその安楽が
続かないという事実を
突きつけられながら。


ららら、ららら。

カーテンの隙間から
薄暗い明かりが漏れている。
たった5分程度の安楽死。



さようなら。




「遺書」








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