「木更津と柳沢か…」
「赤澤ならここにはいないぞ」
入ってきたのは、ルドルフの木更津と柳沢だった。
赤澤を探していたであろう彼らは、手塚の言葉を聞いて、少しショックをうけたようだった。
「だから言っただーね!赤澤が書斎に来るはずがないだーね」
「いたらいいね、って言っただけだろ?誰もいるとは言ってないし」
結構探し回っていたのか、そういっている木更津は呆れていて、柳沢はそんな木更津に文句を言っていたが、軽く受け流されていた。
赤澤の放浪癖は有名で、先ほどまでいたと思えばいなかったりすることがよくある。
それで見つかれば問題はないのだが、7割の確率で見つからないため、ルドルフの人間が総動員で探す他ないことが多いのだ。
「…あ、そういえば20分位前に、赤澤が金田と地下5階の講堂に入ってくのをみたよ」
「「それをさきにいえよ(だーね)!」」
南が思い出したかのようにいうと、2人揃って彼に対して突っ込み、木更津はため息を漏らし、柳沢は今までの苦労は何だったのかと脱力していた。
「講堂か…。金田の特訓にでも付き合ってるってとこかな」
「たぶんそうだーね。金田は赤澤になついてるだーね」
講堂はこの建物に2部屋あり、新人教育や練習、メンバー達の暇つぶしに使われたりする部屋で、何故かは知らないが、多少爆弾を使っても壊れないという頑丈なつくりになっている。
基本的に各チームがまとめて使っているが、その合間を縫って個人で使うものも少なくは無い。
「赤澤が一番最初に連れてきたのが金田だったからな」
「それも結構前に。だから赤澤も彼を信頼してるんだと思うよ」
そう。
金田はまだ4チームにしか分けられていなかったときに、赤澤が保護した人物である。
当時、赤澤はルイナに来て1年もたっておらず、ルイナの生活に慣れ始めたところだったが、彼を放っておけなかったのか、赤澤が何の躊躇もなく連れてきたのが金田だった。
金田も最初から赤澤を信頼していたわけではなかったが、日が経つにつれて彼らの絆が深まっていったということは、それを間近でみていた南が一番知っている。
「伝言なら伝えとくけど?」
「別にいいよ。観月がまたガミガミやっかんでるだけだし」
単純に赤澤のせいで観月の機嫌が悪いらしく、今この建物に残っているルドルフのメンバーを総動員して彼を探させているようだった。
南たちも、観月が本当はいい奴だと知っているのだが、性格が食えないのと、人を使う癖があるため、好んで彼に絡む者は少ない
そんな彼をつれてきたのも、また赤澤なのである。
「まぁ、今日は裕太もノムタクもいないから珍しく観月も探し回ってるだーね」
「観月が来たらテキトーに誤魔化しといて」
書斎の整理がんばってね。
そういい残して、木更津と柳沢は書斎を後にした。
「…結局、手伝う気はさらさら無かったみたいだな」
「あぁ…。このペースだと2時間で終わればいいほうだな…」
再度書斎を見回し、心の中でため息をつくと、2人は再びせかせかと手を動かし始めた。
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み、短いな…ι
とりあえず、日常編終了です。
次から戦いが始まります。