Sep26::創作
 突発的ネタメモ的な

昨日見たTENETにニールという名前が出てきて、
昔書いてたのに同名のがいたもんだから、
彼と化け物を妄想してしまった。

話題:創作小説

「神話は全て混沌から産まれる」
と、テノールは語った。
片手で絞めたらあっさり折れてしまいそうな程に細い首に、しなやかに筋が浮き出て、突出した喉骨が震えた。
世界のありとあらゆる創世神話を、何の脈絡もなく語り出したテノールは耳に心地よく、つい瞼を閉じそうになる。包み込まれて眠りたい。そう思わせるような響き。
「俺と同じだ」
金色の瞳でニタリと嘲笑い、髪の先から爪の先まで真っ白な化け物は言った。
産まれてこの方切られたことなどなさそうな白髪は長く、背丈のある体を覆い隠してしまいそうだった。アルビノと言えばそう見えなくもない、肌理細やかな肌はシルクの艶を持っている。真っ白な中で唯一色付いた金色の瞳だけが妖しく光り、こちらをじっと見ていた。
埃を被った部屋の中に二人きり。化け物は安楽椅子にゆったりと腰掛け、背もたれに体を預けている。立ったままそれを見ている少年、ニールは、目の前の男に何と言ったらいいのかさえ、迷うことがなかった。
かつて、この化け物は言ったのだ。大昔の彫刻より整った顔で、唇を耳まで裂くように歪めて笑いながらーー俺は倦んでいるのだ、と。だからお前を捧げよ、と。
「まだ拘っているな」
目を逸らし、遠くを見る金色の瞳を、ニールは黙って見つめ続けた。化け物とは正反対の真っ黒な髪と、健康的で少年らしい肌色。造形が整った顔で主張する大きな目の下には、年齢にそぐわぬ憂いを帯びながら。
「お前が欲しいものはどこにもない」
いつだったか、化け物に泣きながら伝えた言葉を、この男はいつだって否定する。そんなものはない、この世のどこにもない。あると思いたいのが人間の性だろうが、断言する。それはお前らの見る幻想だ、夢だ、錯覚だ。と。
ぎしり、と椅子が軋みながら揺れた。化け物が立ち上がったのだ。この世ではないどこかを見つめて立ち尽くしたままの、少年へと向き直る。
「だからいい加減、俺のものになれ」
今度こそ本当に、男の薄い唇は耳まで裂けたかのように思えた。獣が唸るように目を細め、白くて細くて冷たい五指を、少年の俯きがちな顎へとかける。
金色と黒の瞳がかち合った。化け物は哀れみでも嘲りでも慈悲でもない、何とも言えない形に唇を歪めていた。
薄くてかさついた唇を、肉厚で血の色をした舌が割って。
熱い、と、次の瞬間、少年は思った。
太い蹴爪が覗く毛むくじゃらの脚が少年の肩を床に押さえ付け、サラブレッド程もある巨大な狼の鋭利な牙が、少年の薄い腹を食い破った。
真っ赤に染まる視界で、ただただ熱い、と思いながら、少年は狼の鼻先に腸をかき混ぜられる様を、何の表情もなく見ていた。
このまま全てが終わってしまえばいい、と願いながら。


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高校の時にL'Arc~en~Cielの花葬のMVから着想して、
そのままアルカナシリーズで書いてたやつ。

化け物は大狼ロキの子孫、
双子の狼スコルとハティの近親相姦で産まれた設定。
だったんだけど、
混沌から生まれ落ちてても問題ないな。
奴は死神であり生であり性であり混沌なので。
永劫に生きながら何度も死んで再生するのが趣味。
ちなみにヘレンという名前もある。

ニールは花葬MVのhyde氏が外見のモデル。
父親の性癖が極度のサドだったので、
それを愛妻に隠すために化け物を飼っていたんだけど、
愛妻は愛妻でそれを浮気と思い込んで息子と相姦。
全てに絶望して化け物と出会い、
化け物に食われて化け物になっちゃったって設定。

化け物は人狼的な怪物なので、
噛まれたニールも似たようなものに。
これといって2人にストーリーはないので、
森の中の屋敷にニールを住まわせて、
近くの街からやって来る人々を主軸に
アルカナシリーズ書いてたんだけどね。
途中で先行き見えなくなってやめちゃった。

首を落としても頭を割っても心臓を銀の杭で突いても、
ヘレンは生き返るので。
そもそも実体がない。
朝日でも焼け死なないのでほんとのほんとに化け物。
言うなれば神様に近い。
そんなのが1人間に興味持っちゃったから大変よね。

ちなみにジャンル的にはBLだったんだけど、
ヘレンの性的興奮はカニバリズムするときか
自分が死ぬまで追い詰められることにしかないので、
アハンウフン的なことはない。
一切しない。
そもそもそれじゃたたn…(自粛)

ニールは至って普通。
元はネクロフィリア入れてたんだけど、
今は恋愛感情そのものがないように書いてる。
慈しみや執着を覚えることはあるらしいのだけど、
実親との関係が破綻していたので、
男女になることはない。
ヘレンに食われる永劫の餌でしかない。
書いといて何だけど哀れ。

これはキャラクターありきで書き始めたから、
ちゃんとした話にまとまりそうにないのよなぁ。
2人とも性癖がアレなのでBLにもならないし。

カニバリズムに萌えるの私だけだよなぁ。
相手の肉体を胃に入れるって究極の愛だと思う。
私は食べたいと思ったことないけど。
私の性癖もそこはかとなく歪んでるので需要がない。
哀しみ。。


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