時刻は午後17時。橙色に染まる教室で、
私はたけしくんを机の上に押し倒していた。
あれ?
どうしてこうなった?のでしょう…。
「ひろし!!!!お前を親友と見て頼みがある!!!!」
休み時間のことでした。
パァン!!と大きな音を立て、たけしくんは手を合わせる。
「俺に勉強を教えてくれ!!次のテストで悪い点とると、母ちゃんに何言われるかわからないんだ!!」
たけしくんは必死な様子で私にテスト勉強を教えて欲しいと頼んできましたが、放課後は公園へ昆虫探しに行く予定なのですが…
「なぁ!ひろし!!お願いだ!!」
「…!?」
たけしくんがぎゅっと私の手を握る。断ろうとしたのですが、その必死な姿と、強く握る掌の暖かさに、断ってはいけない気がして、私は「仕方がないですね。」と、眼鏡に人差し指と中指を添え、頷いた。
「ホントか!?サンキュー!!!!」
長い下まつ毛と、少し垂れているのが特徴的な瞳がキラキラと輝いている。
感情が素直に面に出る彼の反応は、見ていて楽しかった。
「ひろしも大変ねぇー。」
「悪いけど、今日は用があるから、オレは先に帰るぞ。」
「じゃぁ、私は卓郎と帰る!!」
私とたけしくんとのやり取りを、近くで見ていた卓郎くんと美香さん。
たけしくんを小馬鹿にしているところもあり、呆れた面持ちで見ていた美香さんですが、卓郎くんが口を開けば、たちまちその顔は嬉しそうに変わる。
美香さんは相変わらず、卓郎くん一筋ですね。
いつものやりとり、いつもの時間が緩やかに過ぎて行く。
そして放課後。
テストが近くなってきたこともあり、みなさん足早に下校していく中、私は約束通り、たけしくんに勉強を教えていた。
気がつけば教室にはたけしくんと二人きりになっていた。
唸り声を上げながら、私が出した計算式を懸命に解いてる姿に、私は口元を緩めた。
「うぅ〜…脳味噌野郎の問題がわからなすぎて、俺の脳味噌が爆発しそう…」
「たけしくんが勉強苦手なのは知っていましたが、まさかここまでとゎ…」
「悪かったな!!。゚(゚^Д^゚)゚。」
「いいですか?この問題は、この数式を当てはめて…これをこうして、こうするんです。」
「おぉーー!!!さすが脳味噌野郎!今の説明なら、俺でも理解できたぜ!!」
教科書に書いてある数式を指で差しながら、できるだけわかりやすく解き方を説明しつつ、数式を解いて見せると、たけしくんが両手を天に突き伸ばして大きな声を張り上げる。
「……フフ」
たけしくんの嬉しそうな姿を見て、思わず笑みを溢してしまう。
そんな私を、たけしくんが大きな瞳でじっと見つめてくる。
「どうしました?私の顔に何かついてますか?」
「いや、ひろしもそんな風に笑うんだなってさ。俺さ、お前のことさ、正直最初はイケスかねぇ野郎だなって、思ってたよ。ジェイルハウスで、お前に助けられて、お前と行動して、いろんなお前の姿を見てく内に、今までお前のことを知らなかっただけだったんだなって思ったよ。あの時は、ホントに助かった。感謝してるぜ!」
突然の言葉に、私も驚きを隠せなかった。すると、当然自分の言葉が恥ずかしくなったのか、たけしくんは椅子から立ち上がり、鼻の下を人差し指で擦りながら、頬を染めた
窓から差し込む夕日がその姿を照らし出し、私の目にはたけしくんのその姿がとても愛おしく映った。
「ひろし?」
普通ではない胸の鼓動の高鳴りと、抑えきれない衝動に駆られるまま、私は彼に近づき、その小柄な身体を抱き締めた。
「ひろ…し?おい、何して…」
見ると、先程よりも真っ赤な顔をして、私の顔を見上げるたけしくんは、とても動揺してはいたが、密着した身体から伝わってきた彼の鼓動は、私と同じく、とてもドキドキと早く音を立てていたし、何より彼は私の腕から逃れようとはしなかったので、私はどこかで期待をしていた。私がたけしくんに感じているこの感情と、同じものがたけしくんの中にあるんじゃないかと、そして私はこの時もう気付いていた。私がたけしくんに対してだけ感じるこの特別な感情の答えを。
「たけしくん、すみません。私は君のことが好きみたいです。」
「す…き?……えぇ!?だって!!俺、男だし!!ってか、なんで俺…なんだよ?」
あたふたとする可愛らしい姿に、私はもう我慢の限界でした。
「すみません。」
そう一言だけ呟き、あわてふためいて開きっぱなしになってる口に、私の唇を重ねた。
「…んんっ…///」
突然の出来事に、小さく声を漏らし、私の背中に手を回す。ぎゅっと力強く服を握り締めているが、やはり突き離そうとはしない。
やがて息が苦しくなったのか、塞がれた口を小さく開く、私はその隙間に舌を滑り込ませ、たけしくんの舌に絡める。
「んんっ!?……んん!!ふっ///」
口内を犯され、腰の力が抜けたのか、私の服を握っているたけしくんの手から、力が抜ける。
私はそのままたけしくんを机の上に、押し倒し、塞いでた唇をそっと解放する。
唾液をだらしなく溢した唇からは、ハァハァと甘い吐息を漏らし、瞳には涙を浮かべているその姿は、とても扇情的だった。
欲を言ってしまえば、このままたけしくんを自分の物にしたかった。繋がってしまいたかったのですが、いつものように冷静になり、考えてみたら、ここは学校。みんな下校したとはいえ、時刻はもう17時。そろそろ先生が教室を見回りに来るかもしれない。
それはまずい。
私は息を整えているたけしくんに、手を伸ばした。
「たけしくん、突然すみませんでした。ですが、私は君をこういう目でみています。なぜ君なのか、それは私にもわかりませんが、気が付いたら私は君を好きになってました。」
「…////。さんきゅ。」
たけしくんは恥ずかしさで私とは目を合わせなかったが、真っ赤な顔をしながら、小さく呟き、私の手を握り、立ち上がった。
「勉強は、これ以上は無理でしょうし、今は私と一緒にいるのも気まずいでしょう?そろそろ帰りましょうか。」
「おう…。」
教科書やノート、押し倒した拍子に動いてしまった机などを片付け、私たちは教室を後にした。
その後は、一言もお互い喋らず、下駄箱で靴に履き替え、その沈黙が続くまま、二人は縦列に並んで歩いた。
そして、校門を後にしたところで、私は口を開く。
「たけしくん、今日はホントにすみませんでした。ですが、ホントはあのまま、私は君とセックスしたかった。」
「…な!!ひろしお前!!なにいって!!」
それまで黙ってた、たけしくんも驚いて声をあげる。
「なぜ、君は私のことを突き放さなかったのです?何故、私のキスを受け入れたのですか?」
「そ…そんなん…知らねぇよ。」
たけしくんは罰が悪そうに、俯いてごにょごにょと小さな声で濁す。
「少し、考えてみてくださいね。」
最後に一言告げ、私はたけしくんと別れ、自分の家に向かい、歩き出した。
ですが…
あの反応………。クスッ。
「脈ありかもしれませんね。」
それは、甘い甘い?
放課後の出来事。
いやぁ、文才なくてすみません(´・ω・`; )
いつか同人誌として描きたいなぁ〜と、思いつつ描けないので、もう小説っぽくしました。
続編もあるかも?
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