君の手は小さい。
産まれた時は、もっと小さかったけど。
3歳になった今も、まだ小さい。
それは僕の一回りも、二回りも。
小さくて、柔らかくて、暖かい。
こんなに小さいのに、
僕の手を握り返す。
こんなに小さいのに、
握り返すその温もりは
何よりも暖かくて、優しくて。
僕に幸福を与えてくれる。
君は小さいけど、君の存在は大きくて。
僕を見上げるその視線が、
不思議と同じくらいの高さに感じるよ。
そんな君だけど、
いつかは僕の手よりも大きくなって、
僕の手を握る側になる日が来るんだろうね。
そんな頃、
君は、
僕の手を握り返してくれるかい?
もしかしたら、照れ臭くて、
振りほどかれてしまうかもしれないね。
どうか、君が僕の手を握ってくれなくなるくらい、大きくなるその日までは…
僕が君の手をぎゅっと握っていいかい?
夕日に包まれて、
延びる影と、
響く笑い声を聞きながら、
そんなことを考えて、
僕の世界がほんの少し…
じわりと滲んだ。
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