「いつまであの人の我が儘に付き合わされるんですか!?」
氷川 誠は苛立っていた。
― 事の起こりはこうだ。
アメリカから巨大企業のCEOが来日するが、そのCEO直々の指名で氷川が身辺警護を任された。しかもG3-Xも準備しておいてくれ…との要望だった。
「仕方ないわ…彼の我が儘は有名だし、私達は警察官よ。いくら相手が失礼な性格をしていても警護対象には変わらないわ」
そう返す小澤澄子も不愉快そうな顔を隠そうとしなかった。2人ともSOUL解体からしばらくぶりに会ったのと「あの」人物に会えると言うことで最初は喜んだものだが、実際に会ってみれば閉口するほどの人物だったのだ。
「本当に申し訳ないと思うわ…」
彼の人物の秘書…ポッツ女史が謝ってくれているが、2人ともそろそろ我慢の限界だ。
「おーい…イカワくん!」
「氷川です!御用ですかッ!?」
「あぁスマンスマン…本当に日本人のファミリーネームは難しいな」
(分かって言ってるんじゃないか?)
「それで何か…」
「買い物を頼めるかな?私は研究で忙しいし、何かと身に覚えのある恨みを買っているんでな。平和な日本でもその手の輩がいないとは限らないからな」
「買い物って…警護はどうするんですか!?」
さらっと言い放つ男−トニー・スタークに問う氷川に対しての答えは
「あぁ、問題無い。自分で守れるからな」
自分で守れる?
自分で守れるだと?
「何ですか、自分でだなんて!!それじゃあ僕たちに何故警護を頼んだんですか!?」
爆発した。