はあ…どうしたって言うんだ。
昨日のルークの、別れ際に見せた悲しい顔が頭から離れないでいた。
ずっと元気がなさそうだったし…どうしたんだろう…
ああ〜もう、姉さんも何だってこんな時に来るんだよ〜!予定通りGWに合わせてくれればこんな事にならなかったのに!
しばらくルークに会えないのに、あんな別れ方をしたことを今心の底から後悔してる。
何度も携帯を取っては、アドレスを引っ張り出してまた閉じて。
そんな事を昨日の夜から、もう何回繰り返したか…。
悪いけど、姉さんどころじゃないんだよな…
いや、姉さんに罪はないんだけど。
そんなモヤモヤした一晩が過ぎて行った。
翌日。
まだサークルがあるから、姉さんを連れていく事にした。何もせずに家で待ってるよりはいいかと思って。
最初に出迎えたのはギンジだった。
「よ〜、ガイ。あれ?あれれ〜?誰よ〜この超イケてる美人は!!??」
「ガイの姉のマリィです。ガイがいつもお世話になってます」
ギンジ本来のタラシ気発動。
姉さんを舐めるように見まわすギンジを牽制して、トレーニングを開始した。
体を動かさなきゃ、やってらんない。
頭にこびりついて離れない。もう5時近くだ。今ごろ家かな?バイト入れたかな?
…まだ、落ち込んでるのかな…?
一通りトレーニングが終わって、サーベルを取って素振りでもしようと思ってたところだった。
体育館の扉が勢いよく開いたと思ったら…
知った顔が目に飛び込んできた。
見間違いようもない、輝く紅い髪。もう一人、知らない女の子もいる。
そして、その後ろに居るのは…。
「…ルーク!!??アッシュ君も…!どうしたんだ?こんなところまで!!??」
一体何が起こっているのかさっぱり分からなかった。
ただ、はっきりしているのは、今目の前にルークが居るってことだけ。
「ガイさん!お話があります!!」
アッシュ君がすごい剣幕で俺に近づいてくると、流石にその異常さに気がついた姉さんとギンジもこっちを振り返った。
結局、3人は何をしに来たのか分からなかったけど…。
ルークに言いたかった一言が言えただけで、俺は満足だった。
突然、ごめんなって。
ルークも、それに笑顔で答えてくれた。
よかった、もう大丈夫みたいだ。
お詫びにと、姉さんが帰る日の4日に飯も誘った。
この時は、とにかくルークが俺に笑顔を向けてくれただけで、満足だった。それが、異常な感情だとも気付かずに。
サークルの時間も終わり、それまで見学してた3人を見送って帰ろうとすると、ギンジが俺を引きとめてきた。
仕方ないから姉さんにアパートの鍵を渡し、先に帰ってもらうことにしてギンジお気に入りの近くの茶店(サテン)に入る事にした。
話の内容には、何度も耳を疑った。
…何と、ギンジは…
アッシュ君を見て、一目ぼれしたって言うんだ。
おいおい…マジかよ。
いや、冗談だよな?
何度確認しても本人は真剣そのものだった。
ギンジはアッシュ君に近づきたい一心で、4日のルークとの飯にアッシュ君も誘って、俺も行くと言い出した。
何考えてるんだ、ほんと…。
男が男を好きになるなんて。
意味わかんねーよ。
変だよな?こんなの…。
しかも、よりによってルークのお兄さんだぞ、アッシュ君は!!??
そこが一番引っ掛かるんだけどな…。
まあギンジも、思い違いしてるだけかもしれないし。
とりあえず見守る事にした。
どうか、思い違いであってくれよ…。