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R.B.M番外 くもりぞら

すみません、短冊よりも時間軸が前になります。
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それからも何度かギンジさんに色々な場所へ連れていってもらった。
もちろん、いつもギンジさんの奢りだった。
申し訳ないとは思うものの、気前よく出してくれるし俺は払わなくていいっていうし、何より例えば飯やなんかは高級そうなところばっかで俺に支払い能力はない。
でも、俺的にそんなギンジさんべったりに甘えてるのが嫌で、申し訳なくて、この状況をどうしようかと思い悩んだ結果、何か贈り物をしようという結論にたどり着いた。

 いや、確かに付き合ってるわけでもないのにプレゼントなんて誤解されるかもしれないけど、俺にはこれしか思い浮かばなかった。だがギンジさんは(多分)金持ちだから、欲しいものなんてもう全部持ってるんだろう。ちょっと恥ずかしいけど、悩んだ挙げ句ガイさんに相談することにした。
ルークの授業が終わったのを見計らってガイさんを引き止めた。

「プレゼント?ギンジに?」

「はい…何か欲しいものとか言ってたら教えてほしいんですけど…」


あーーーーなんだこれ。めっちゃテレるし…。

ただのプレゼントじゃねーか!そうは思ってもガイさんの前で赤面が隠せない。やべー、死ぬ。

顔を伏せていたらガイさんがしばらく無言でいたから、ちらっと上を向いてガイさんの反応をまった。
俺よりも随分目線が高い。正直首が辛い。どんだけ身長あるんだこの人…。
ギンジさんもそうだけど、イケメンってやつはなんでこう全てを持ってるんだ。
…うらやましいぜ。

目線が合うと、ガイさんはにっこり微笑みかけてくれた。…と思ったら、とんでもない言葉が出てきた。

「そんなのアッシュ君自身に決まってるだろ?」

「なっ…なんですかそれ!俺、真剣に聞いてるんですよ〜?」

またもや顔が熱くなっていくのが分かる。
あー、めっちゃハズかし。

「だったらギンジ本人に聞いてみなよ。その気持ち自体が嬉しいと思うよ。」

「はあ…」

そりゃ、そうかもしれないけど。俺の求めてる答えじゃないんだよな…。
ま、結局自分で考えろって事か。

ガイさんをルークと見送った後、俺は早速ギンジさんに電話した。
夜の10時。いつもこの時間に電話したことはないけど、大丈夫かな?

何度かのコール音の後に、ギンジさんが電話に出た。

「ん?どうした、アッシュ。さては俺が恋しくなったな〜?」

「え…えっと…」

ギンジさん、明らかにいつものテンションと違う。台詞は変わらないものの、何と言うか…酒でも飲んでるんだろうか。

とか思ってたら、電話から女の声でギンジさんを呼ぶ声がした。回りもザワついててなんだか煩い場所にいるようだ。

「ちょっと待っててな?」

そういうと階段を上る音が聞こえて、やっと受話器の向こうが静かになった。

「煩くてゴメンな。で、どうした?甘えたくなったか〜?」

「え、いや…いつもご馳走になったりしてるから、何かおかえししようと思って何がいいかガイさんに聞いたら直接聞いた方がいいって言われて。」

「ははは!そーか!ガイのやつ、流石俺のこと良く分かってるな〜!」

いつもの軽快なノリでそう言うと、ギンジさんはまた赤面を誘う一言で俺を口説く。

「そりゃ、おまえ自身だよ。……まあ、それは最終目標だけどな。その気持ちだけで嬉しいよ。ありがとうな。」


その後、何分か会話したあと電話を切った。


切った後、何だか変な…心の奥のほうが焼けるような感覚にみまわれた。
俺が気になったのは、電話の向こうの女の声。

別に、ただ飲み会してるだけかもしんねーのに、ただならぬ不安が心を蝕んでいくのが分かる。
俺はギンジさんと付き合ってるわけじゃない。でも。

あの人、俺の事好き…なんだよな?冗談なんかでこんなに良くしてくれたり、何より男に好きだとか言わねーよな?
一体何なんだ、この変なもやもやは。

これは…

 

そう、明らかに嫉妬だ。


この日を堺に、俺の中の感情が確実に変わっていった。

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