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R.B.M番外 「本気の事実」

高層ビルを、エレベーターに乗ってどんどん上へ昇ってゆく。あまりの速度に、耳がおかしくなる。

緊張で、何階で止まったか覚えちゃいないが、扉が開くとそっとギンジさんに背中を押され、誘導された。

てか…

なんでこんなことになってんだろ…?


ギンジさんの部屋だぞ?部屋に行くんだぞ!?

 

…って、男の部屋に行くってだけでこんなに緊張してる俺も、冷静に考えたらおかしなもんだけど。

 

「さ、着いたぜ。お手をどうぞ」


部屋に到着すると、ギンジさんはまるで女にするみたいに俺の手を引いてエスコートしようとしてくる。

「え、あ、はい…あの…」


突然手を握られて動揺が隠せずに、顔がみるみる真っ赤になっていくのが自分でも分かる。

ちゅーか、こんなんまるで女扱いじゃねーか!
おちょくってんのかな、この人…!

 

……ま、まあ、悪い気はしてないんだけど。


俺はエスコートを甘んじて受けて、部屋に入った。


そして。


そこで俺を待ち受けてたのは…

 

「うわっ…!」


思わず声に出しちまうほどに、すごい部屋だった。

部屋は信じられないほど広いわ、家具は高そうなもんばっかだわ、テレビはインチ数がよく分からんほどでかいわで、俺の頭はちょっとの間動きを止めていた。

「適当に座って待ってなよ。何か飲むモン持ってくるわ」


て、適当にって言われても…!


とりあえずリビングにあるめちゃ柔らかい革のソファーに腰掛けた。

こ、これに座っちゃってよかったのかな…。


「お待たせ。酒と水しか置いてないからさ〜。これでいい?多分飲めると思うよ」


そう言ってギンジさんが持ってきたものは、2つの長いグラス(名前があるんだろーけどよく分からない)と、ピンク色の液体の入ったボトルだった。

…そ、それって、明らかに…


「え!?それ、お酒じゃ…」

「大丈夫だって!パリって、ジュースみたいなやつだから。飲みやすいしおいしいって。」


「そ、そういう問題じゃないです!俺、未成年だし…!」

「な〜に、誰も見ちゃいねーって。な?」


そう言ってギンジさんは蓋を開けると、慣れた手付きでグラスに注いでいく。


…あ〜、どうしよう…。
でも、何故かこの人には逆らえないんだよな…。


俺は意を決して、差し出されたグラスを受け取った。

「ははは。おまえ、ほんっとーにクソが付くくらいマジメ君だな〜。ま、そこがいいんだけどな。俺の手で俺に染まってくってのも、中々いいな〜。」


ギンジさんはにこにこそう言いながら、グラスを口にした。


…何だよ、『俺に染まる』って…


「お、俺はそんな風にはなりませんから!」

俺は、ギンジさんの言葉に反発するように注がれたシャンパン(?)を一気に飲み干した。


あ、これ…甘くて美味い。なんだ、酒って初めて飲んだけど楽勝じゃん。


「うおっ…!やるね〜!

…大丈夫?あんま、無理すんなよ?」


「何言ってんすか、この程度……あ…?」


あれ?

あれれ?

頭がふわーってしてきた…?


「そんなに一気に飲んじゃダメっしょ。あ〜、ごめんごめん。そんなに弱いと思ってなかったから…」


頭がふらついて、体が揺れてるのが分かる。

あー、情けね…。

ギンジさんは俺の横に腰かけると、肩を支えて凭れかけさせてくれた。


ギンジさんって…優しいな…。


あ、いい匂いがする…。

何か、ルークの話聞いてたからあいつの思考回路が移ったかな…?


「なあ、アッシュはどう思う?あいつらのこと」


「え…?あいつら…?」

「ガイとルークの事。俺の勘じゃ両思いだと思うんだけどな〜。ルークはガイのこと何て言ってるん?」


「ルークは…やっと自分の気持ちに気付いたっていうか…あー、そっかー、両思いなんだ…じゃあオッケーじゃん…」


頭がフラフラする中、嬉しい事実を知れて自然と顔がにやっとした。

そっか、そうだったのか。
良かったな、ルーク…。

 

 

 

 

 


………ん?


あれ?


…え?


………ええぇ!!


な、何て!?


い、今何て言った!?


驚きの発言に一気に酔いが覚めて、ガバッとギンジさんのほうを見た。


「え!?り、両思いって…え!?」


「やっぱりな〜。ルークもガイの事が好きだったんだな!怪しいと思ってたんだけど、これで確定だな!」

「ルークもって…」

ちゅーか、酒に酔って迂濶な発言をしてしまった。
すまん、ルーク…。


「だって〜、端から見てれば分かりやすいだろ、あの二人!絶対そうだと思ってたんだよな〜。」

「え!?じゃあ、ガイさんもルークの事…!?」


「多分、な。中々認めねーけど、四六時中ルークの話題ばっかだし、扱いが違うし見る目付きも普通じゃねーし。」


「そ、そうなんですか…。」


怪我の巧妙か、危うんでいたルークの未来が明るいものだと分かり、ホッとした。

よかったな、ルーク。
…と、胸を撫で下ろしたのも束の間。

またしても…衝撃の言葉が耳に飛び込んできた。


「アッシュはほんと、マジメだし弟想いで優しいな。ほんと、俺が惚れただけあるわ〜」


ギンジさんはそう言って、肩を抱く力をグッと込めると、俺に頬擦りしてきた。

 


……え?


ちょっと待て。


ナンだこの状況…?


え?
い、今『惚れた』とか聞こえてきた気がするんですけど…

え?誰が、誰に?


「俺の見込みに間違いはなかったな、やっぱ。一緒に居れば居るほど惹かれてくんだよ、お前に。」

 

…ちょっと待て。


…待て待て!全然頭が追い付かない!


今、この部屋には俺と…


この、目の前にいて俺を抱き締めてるイケメンだけで。

てか、何で俺男に抱き締められてんの?
もう、何がなんだかわからねーし…!


困惑する頭を抱えながら、更なる言葉が耳元で囁かれた。

それって…それって、だって…!

そういう風にしか捉えられないよ…!

 

「俺も、お前に惚れてんだ。…俺と付き合ってよ。アッシュ…。」


真剣な顔で目を見ながら言われて。


…本気なんだ…この人……!


自分に降りかかった事態に、ただ呆然とすることしか出来なかった。

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Passion、Positive。情熱を語り明かしたい自己中の現れです。
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くろのゆうきさんのプロフィール
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誕生日 12月21日
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