2012-7-31 04:28
人魚にまつわる話二話
えくすぺりあ
の
ビーチフラッグの
あのCM!
ターゲットおかしくないかね
見ててにやけちゃうんだけど
ゲイと腐女子に大人気なCMなんじゃないかと思いました。
さて、人魚にまつわる話
二話です
さくっと追記へ
BLはファンタジー!
まごうことなきファンタジー
人魚にまつわる話
第2話!
注意
女性が出てきます
死んでます
それらをふまえてどうぞ
──────────
気配が、散在する。艶やかな緑と、水。潮の手触りを感じ、屋内であることを疑った。目の前に広がるは、純然たる海の集合体。
見えるのはかしこに散らばる透明な箱ども。すべてに、並々とあふれんばかりの海があった。慣れ親しんだわが国の海。風、砂、香り。流れまでがそれらにあった。不自然な自然。
時を忘れた壁やら柱やらには、緑がはびこる。藻、だ。あるいはそれに準ずるたぐいの物だろう。命の糧が育まれ、連鎖の底を担うのか。
──……なんだ、ここは。
声にすれば、不安が形を成すようで恐ろしく、私はただ観察を続けた。100年の時を、50年の主無き時を、私に示そうともしない館。曾祖母の家。
今日(こんにち)の目的は、曾祖母の捜索だった。
およそ50年前。彼女は突然、独りを選んだ。共に暮らしていた夫を家から追い出し、すでに親離れをしていたこどもも、二度と家には招かなかった。もちろん他人などもってのほかで、彼女はある程度の食料を携え、引きこもったのだ。
研究に没頭するのか、はたまた人間嫌いになったのか。憶測は飛び交えど、真相を知る術のない衆人たちはただ彼女が重い扉を開ける日を待つしかなかった。
しかし、彼女の手によって家が解放されることも、彼女自身を見ることすらもかなわなかった。
再びここが開かれたのは、それから10年も後のこと。夫が死に、こどもらが体を震わせて開いたのがそうだった。
以後、曾祖母の捜索は時折ではあるが行われていた。しかし、発見には届かず今に至る。
生きている、などとは思わなかった。50年だ。当時、曾祖母は60を過ぎていたと聞く。年齢だけを鑑みても、生きていようがない。引きこもる際に持ち込んだ食料は、せいぜい三日程度の量だったと言うし、家を出ていく姿も目撃されていない(どうやら夫が監視を国に依頼したらしい)。
つまり、曾祖母はこの家のどこかで亡くなっているはずだ。一族の誰もがそう考え、そして成果を上げず、家を語ることもしなかった。私自身、幼き日に一度訪れたものの、この家をあまり知らない。
分別を知り、不可思議を楽しむことができなくなって初めて、私がなぜ無知であるかを悟った。
自然という不自然を目の当たりにし、恐怖している。おそらくは今までにここを訪ねた人間のほとんどが、そうだったのだ。あまりに恐ろしく、口にすることすら憚りを覚えるため、私はなにも知り得なかった。
「……言ってはならない、とは思うのだが」
「なんでしょう」
潮を吸い、言葉を紡ぐ。先日の海上演習を思い出す。濃濃とした酸素がのどに張り付いて、緊張を大きくした。
「曾祖母は──…生きているのではないだろうか」
二人の動揺が時の正確を思い出させた。強い心拍は、私自身だろうか。
「探すぞ」
「はっ」
どのような展開も、覚悟せねばならない。悲喜の色も準備をし、海の気配を裂いて進む。
家は大きい。まだ日は高い。短い返事と駆けだした騒がしい足音。
始めてしまえば、あとは終わるのみだ。他に構う必要も、他に惑わされる必然もない。海の直中となったこの家にあるはずの、命を見つける。
たとえその命がつきているかいないかなどは、いらぬ。
時は過ぎ、私たちはある部屋に集まった。おそらく、曾祖母の私室だったのだろう。海に近しい物は少なく、居住空間らしいたたずまいだった。
──だが、妙にほかの部屋より香りが強い印象だ。潮と砂の香り。
私たちは部屋という部屋、間という間、すべてを虱潰しにした。言わずもがな、やはりナニモノも見つからなかった。
私は大きな一人用の椅子に座り、二人は向かいにあった寝台に腰を落ち着けた。
「一度戻りましょう。日も落ちます」
「そうだな」
「報告はなさいますか」
「いや、今日ここへ来たことは誰にも告げていない」
「……あなたというお人は」
かちり。腰に据えていた小袋の中で、二つの鍵が声を上げた。きちり、かしり。力と角度を変え、いくつか音を生む。
目の前の二人にも届かない小さな音。私は会話の中でそれを聞いていた。
「では、あなたは本日、なにをなさるご予定でしたか」
「たしか、叔父と観戦に」
「……仲がよろしいですね」
「口裏を合わせてくれるよい叔父だ」
ちり、かちり、かし、かし。
指先で袋をもてあそび、鍵を遊ぶ。金属の強く細い音が連続し、そして私は、その音をとらえた。
とらえるつもりなどなかった。存在にすら気付かなかったのだから当たり前だ。
かち、かし
こぽり
かちり、かし
「──……なんだ」
「どうかしましたか?」
「聞こえた」
「なにがでしょう?」
「わからない。わからないが、わかる。水だ」
「水?この部屋にはほかの部屋のような物はありませんが…」
「ああ。どういうことだ」
確かに聞こえた。金属ではない、太く丸みを帯びた音。流動の中に浮かぶ、泡だ。泡が生まれる音。
この部屋にみずみずしい物は見あたらない。ではどこだ。
部下に息を潜ませ、目を閉じる。聴覚をたぎらせ、方向をたどる。
──…こぽ
「下、ですね」
「よくやった。掘るぞ」
「明日以降にされては?」
「断る。明日は視察だ、いくら私といえど抜けられない」
「ですが…」
「私に逆らうか」
「い、いえ」
底から響く音色。私も部下も聞こえた先は同じだった。
一族が探していた。曾祖母の最期を、顛末を。それを得られるならば、なにをもいとわない。
部下の曇った顔を横目に、しかれていた床板をはがす。痛々しい木々の折れる様を耳に刻んで作業を進めた。
後に折らずともはがせる仕掛けがあることを見つけ、私は歓喜に打ち震えた。
現れた鉄扉。
鍵などはない。地下へ繋がる入り口だろう。
ぐっと強くなる潮のにおい
降りた先にあったのは、
──────────
人魚登場せず!!
まだひいばあちゃんの話長くなったな!!もう!!
まぁ次回は絶対出るから
ひとつ確信したのは
この話、ぜったい長くなる
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