実は私自身本当にあったことか確かでは無いのですが。
今から数年前に卒論を書いていた頃、私は工学部の学生だったのですが実験すら終わっておらず、連日実験に明け暮れていました。
卒論の締め切りが迫り、実験の合間に卒論をかき、また実験をしてはそれを書き足していくという、今から考えればぎりぎりの事をしていたと思います。私の研究室では、ついに私だけ卒論ができていない状況で、かなり焦りがありました。
締め切りの前日になってやっと大筋を書き上げましたが、最後に確認実験が残りました。明日提出ですので、卒論を清書しながら行いました。実験は待ち時間が多く(反応に数時間とか)トータルで一晩かかります。泊まり込みで実験をおこない、その合間に清書を仕上げ、そのまま明日提出するつもりでした。
学科内でも最終日まで卒論ができあがっていなかったのは私だけのようで、学科棟は私一人だけになりました。
さすがに一人だけになると心細くなりましたが、廊下の明かりも隣の研究室の明かりもつけて行いました。(関係無いことですが企業にはいって、今更ながらですが実験を一人で行う事の危険性には後輩にも注意してもらいたいと思います)
3時だったと覚えています。確認実験が終了して、論旨に誤りの無いことが確認できました。清書していた卒論も大きな変更も無いことで、そのまま若干の書き入れをして終了です。そのとき研究室の入り口に見知らぬ私と同輩ぐらいの男性がこちらを見ていることに気づきました。
学科内の人間なら全員知っていましたが、まったく知らない男性でしたが、他の学科の人間が誰か知り合いにでも遊びに来たのかなと思いました。目が合うと「たいへんだね。」と言ったと思います。実はその後どうなったのか記憶にないのです。どうやら私は確認実験を行った後、机で寝てしまったらしく、その前後のことがはっきりしていません。ただ彼が青い縦にストライプのシャツを着ていたことは覚えています。