速攻に書きたい
2014.8.25.Mon 02:06
[長文]



「……んん」静かな空気にぐず、ぐぶ、の様な汚い音が響く。その後に小さく唸る声、涙で潤う目を乱暴に手で擦ってはうーとかまた唸る声。紙の捲る音、紙に書かれた文字にゆっくり目を通し、また紙を捲り。カップラーメンのワンタンを食べたくなりつつ、少し眠気を感じる。……眠い気持ちも少しある、が。

「……ふ、ぁ眠ぃ……」うとうと、こっくりこっくりを繰り返す。敬語じゃなくて薬を飲まないこいつも珍しい。ソファーにだらだらと凭れ伸びる少女。テーブルの上には中身が無いコーヒーカップ二つと小さな箱、みたいなもの。ずっと瞼を閉じたまま欠伸と独り言を繰り返している気がする。足を無気力に揺らしている……って、何でこんなにもこいつを見詰めてんだよ……。小説小説、にしても欠伸が結構うるさい気がする。「……寝ろよ」「やー……れふ……」即答で、いや、沈黙を含むのなら即答ではないけど即答で返ってきた断り。かんっぜんに言動が幼児化になっている。まあ話し始めた時ぐらいからそうだけど、なんだか変な感じがする。目が溶けた様になってて、なんというか花が飛んでそうな雰囲気。もう終盤なのに全然ページが進まない。栞を挟めばいい、だなんて論外過ぎて話にならない。

「無理してると薬がむ」「御園さんになんか薬を語る資格はありませぇんっ!」……え、なんか普通に戻った。流石薬中……。瞼を閉じたまま振るうような、投げ掛けるような言葉をぶん投げられた。いや、薬を語る資格ってなんだよ……薬剤師にでもなれって言うのか? まあ確かに薬を語る資格は絶対無いだろうし、こいつと同類になろうだなんて思わない。考えただけで嫌。早く寝たいのにこいつに起こされてる感満々だな。

どうしたら寝るんだ、こいつは。フライパンでも殴ろうか……、ああでももしかしたら寝れなくなるかもだし、遠慮しとく。涙をだばだば溢れさせてる姿を見ると流石に気が引ける……。眠い、眠い、と繰り返し眠りそうになる、早く寝たらいいのに。頭をがしがしと右手で掻いてため息を吐いた。「もう寝ろよ……」「ぅう……や、れす」まるで諦めようともしない、こいつは一体何を戦い、何を勝つんだ。どうでもいいはずなんだけど。……涎、垂れてるし……はっ、と声をあげて目を覚ます。だから寝ろよ。







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