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「世界は●●」エレリ

エレリでセクロス匂わす程度に入ってます。折り畳みたかったけど、長すぎて折り畳みできなかった!!
全力で謝罪します



────────


巨人の殲滅と、人類の勝利。籠の中から鳥が飛び立つかのように、人類は壁の外へと、自由の名の下に、生きる尊厳を手に入れた
それは人が人として生まれた時から持ち得たものであり、やっとそれが手の内に返ってきた
人々は歓喜し、涙し、抱き合い、喜んだ






「兵長」

前を歩く小柄な男の質の良い黒いジャケットに手を伸ばし、肩に乗った木の葉を摘み上げた
緑の木の葉を彼の肩から落として、軽く数回払う。そうしたら小柄な男が目だけで振り返り瞬きをしてから目線を前に戻した
エレンはそれが無言の礼だと長い月日を傍で見てきたから分かる。ふふ、と口許を緩めて
彼のつむじを見下ろした

“ ああ、”

調査兵団リヴァイ兵士長。人類最強の男。それが彼の名だ。エレンが憧れて憧れ抜いた彼は巨人の殲滅に一番貢献した英雄だった。勿論エレンも巨人になれる力を利用し彼の隣に並んで戦ったが、強さで言わば生身の彼は巨人に成らずして成した成果であり、人を逸脱していた。そこがまたエレンを夢中にさせた
小柄な身体は強靭であり、繊細な動きで無駄が無い。強さに増して惹かれるのは、粗暴な中に隠された不器用な優しさだ
エレンを化け物と呼ぶ。呼ぶけれど、化け物の意味をちゃんと理解して、抱き締めてくれるように紡いだのは彼だけだった
どうしてそれが出来たかなんて愚問で、エレンもリヴァイ兵士長を理解して化け物だと思う、それが理由だ
何かしら違えど、化け物というどこかで繋がった。暴走した場合、彼に殺されるのに、彼の傍に居る事が一番穏やかな心中でいれた
これを恋や愛で説明する気はエレンには無かった。もっと別物なのかもしれない。言葉には表せない、複雑な、この身に流れる血管の様な

前を歩くリヴァイが足を止めたのでエレンも一歩後ろで止まる
小さなかたちのいい頭蓋骨がこちらを振り返り、赤く小作りな唇が動いた

「エレン」
「はい」
「街だ」
「ほんとだ、久しぶりですね」
「まだ時間はあるが、宿でもとるか」
「久しぶりのベッドですね」
「ああ、いい宿があるといい。熱い湯も浴びてぇな」

巨人の殲滅後、喜びに涙して直ぐに団長のエルヴィンと兵士長のリヴァイは動いた。エルヴィンからエレンは直ぐに壁の外へと逃げるよう命令を受けた。英雄の巨人として騒がれた後には最後の巨人としてエレンは処刑されるだろうとエルヴィンは予想した。それにエレンも凛々しい眉を動かさずに頷いた。ただ、それならばそれで処刑されても仕方ないと思う程に、巨人に隠された真実とエレンは深い関わり合いを持っていたから、エレンは逃げる案を蹴ろうとした
口を開いたその時、一緒にいたリヴァイに蹴られる。歯が飛んで、審議所でのあのシーンを思い出し懐かしくなった
エレンの歯は直ぐに生えて、衝撃でぶっ飛んだ身体を起こせばリヴァイに軽蔑されるような冷たい目をされ
クソガキが、壁の外には自由があるんだろうが。
返された心臓まで蹴られて出て仕舞ったんじゃないかと手探りするぐらい衝撃を受けた。そうだ、壁の外は自由だ。人も動物も巨人も関係ない。生きたいように生きる、どこまででも続く空を道標に歩く自由がある
エレンはエルヴィンに向かい強く敬礼をして、泣きながら壁の外へと出る決意をした
それから素早く荷物を纏め、一緒に行くと言うミカサを強く説得し、アルミンへ外の世界で会おうと約束をして、壁を出る
まだ朝日が上がったばかりの時間。エレンは籠の中へ向かい、敬礼をしてから馬に跨った、ところで声を掛けられた

「遅ぇ、クソが長引いたか」

え?と振り返る暇なく、黒馬がエレンの白馬の隣に並んだ。フードを被った顔の見えない相手は小柄さと言動、なにより雰囲気からして間違いなく人類最強の兵士長であるリヴァイだった

「クソが詰まった顔しやがって、行くぞ」

駆け出した黒馬が嘶く。わけも分からずエレンはリヴァイ兵長?!と叫びながら黒馬の後を駆けた
駆けながらリヴァイがエレンに着いて行く事を伝え、理由も聞いて、エレンは涙を流した
だって、化け物であって、強い巨人であったとしてもエレンはまだ十六になったばかりだったから

「淋し、かったです」

一人で、生きていくなんて、出来そうになかったし、なにより、想い人であるリヴァイが傍にいてくれるなんて

結局、エルヴィンには渋い顔をされて、ハンジは爆笑していたらしいが、押し通したとリヴァイは鼻を鳴らした。兵士長として今から壁の中を統一する力になって欲しいとエルヴィンはリヴァイを説得したらしい。しかしリヴァイからすれば、巨人が居ないならば自分の居場所も力も必要ないと。頭を使うならばエルヴィンやハンジ、次の世代のアルミンにジャン達がいる。国を統一し繁栄させ、人類を担っていくのは並み大抵の努力ではないだろうが、リヴァイの仕事は終わった。人類最強は必要ないと
エレンはそれを馬に揺られ、涙をぼろぼろ零しながら聞いた
エレンが化け物として、最後の巨人と呼ぶのならば、化け物である人類最強の兵士長はそれを見逃すわけにはいかない。巨人が在る場所に自分も在る可きだと、無表情で言ってのけたリヴァイにエレンはもう顔が上げられなかった

“ 好きです、愛しています、
ああ、違う”

大声で泣きながらわけのわからない音を叫んだ。邪魔をする壁も建物もなく、澄んだ空気を震わせて、どこまでも、どこまでもエレンの声は遠く響く

それから森や林、野原で過ごして半年は経っただろうか。人類の進歩は瞬きをする間だった。壁の外に小さいながらも街や集落を作り出し、森や林を開拓し、凄まじい勢いで進化を求めた
自給自足でやり過ごしていた二人を追い抜かして進化は進んだ


「小さな街ですね」
「まだ出来たばかりだろ」
「あ、宿屋あります!」

街はまだまだ小さく、腰を落ち着けて住むという住人は少なそうだ。建設や開拓に関わる人間ばかりのようで、男が多く見られる。憲兵団らしきジャケットを着た者がいないところをみると、民間が開拓した名も無い街と知れた
宿屋に入り、部屋を取る。エレンがあ、と口にしかけて、すかさずリヴァイが宿屋の旦那に一部屋でいいと告げる
宿屋の旦那が怪しげな目を向けたからエレンは目線を彷徨わせたが、リヴァイが懐から金貨を出し、旦那に握らせれば、何も無かったかのように接客され鍵を渡された
部屋の番号を聞いてから外に馬がいる事を旦那に伝え、部屋への階段を登る
作られたばかりの宿は新しい木の香りと、土の臭いがしてエレンの胸をざわつかせる
エレンが先に部屋に入り、目を瞬いた

「兵長、ベッド一個ですよ」
「ああ?あー、まあな、仕方ねぇな」
「オ、オレはいいですが、っか、何なんだよあの宿屋!」
「金握らせた俺が悪いか」
「へ?」
「構うな、床で寝ろなんて言わねぇよ」
「言うつもりだったんですか?!」
「うるせぇ」

襟足を掻いたリヴァイがどかりと荷物を床に下ろしたのでエレンも続く
ベッドは一人用より大きいみたいだが、男二人で同じベッドで寝る部屋に案内するなんて、エレンは信じられねぇと眉間に皺を寄せる。リヴァイがはいはいとあしらうようにして荷物から布を出したり服をだしたりとせっせと動き始めた
エレンが部屋の奥にある風呂を覗けば、尻尾を振りながらリヴァイの元に戻る

「兵長!湯船がありますよ、湯船!湯ためれます!」
「ほぅ、悪くねぇな」
「風呂入ります?」
「メシの前に軽く一度入るか」
「じゃあ湯ためますね」
「ああ」

新しい宿屋なだけあって、ベッドも風呂場も綺麗だ。エレンは軽く水で浴槽を流してから蛇口を捻ると熱い湯が出てきた。これもこの半年の成果だ。宿屋なんかでは熱い湯の風呂に入れるように予め湯を沸かしてあり、蛇口を捻れば熱い湯が出てくる。今まで宿屋に風呂なんて高級でついていなかったのに、壁外が拓けたと同時に宿屋も進化した
その進化に一番喜んだのは間違いなくリヴァイだとエレンは含み笑いをして、湯加減をみてからリヴァイを呼ぶ

「入れますよ、兵長」
「おう」

服を脱いで畳み、リヴァイが軽やかにエレンの前を全裸で通り過ぎて、浴槽に手をやる。頷いてから身体を布で拭い洗いながら清めていく

“ 数時間前にも湖で水浴びしたのに、あ、湯だとやっぱ違ぇ、色っぽいな”

この街に辿り着く前に綺麗な湖を見つけた時、リヴァイは水浴びをしていた。隙あらば身体を清めたい様子で、森や林に入ってもまず最初に小川や湖を探すようになっている
水と違って湯だとリヴァイの肌はほんのり色づき、白い肌が徐々に朱色へと変化した
唾を呑み込み、エレンは目線を逸らす事なくリヴァイの裸体を見る、見つめる
細い顎から折れそうな頚、綺麗に刈られた髪から美しい貝殻耳、そこから曲線を描いて項を通り、背中へと伝い、引き締まった尻へと雫が幾筋も、舐める様に落ちてゆく

「うるせぇぞ、エレン」
「オレは何も、」
「視線がうるせぇテメェは」
「だっ、兵長」

何なんだよと、濡れた髪を掻き上げて艶やかな目がじとりとエレンを睨みながらリヴァイはエレンの方へ向いた
全裸の為に二つの胸の突起も、髪と同じ色をした腹の下の茂みも、その下もエレンに丸見えとなり、目線がそこに留まる

「おい、ヤらねぇぞ」
「そ、う、わ、わかってます!!」
「溜まってねぇ」
「わかってます!」

そうか、とリヴァイは湯船に足をつけ、ゆっくりとその身を沈めた。エレンはそれでもその場でリヴァイを見続ける
恋や愛なのか、そんなものでは足りないが、エレンはリヴァイに欲情する。それは壁の中に居た時から分かっていたが、隠していた。壁の外で二人暮らす様になり、若いエレンは隠す事ができなくなった。だからと、恋した、愛したなどと伝えず、互いに二人しかいないから、性欲が溜まれば二人で協力するという形だ。だからエレンがリヴァイに挿入し腰を振る日があれば、リヴァイがエレンに挿入する時もある。ただ、大体エレンが挿入側の方が多い。確実に。それを和らげてリヴァイに言えば、腰を振るのは若い奴に譲ると無表情で言われてぐうの音も出なかった
リヴァイはエレンでは欲情しないだろうとエレンはわかっている。きっとリヴァイにあるのは子供に対する加護欲だ。自分からは欲情しない。だからお前に任せると言ってとれた。しかしエレンは違う。恋も愛も越えた、もどかしい気持ちとれっきとした欲情だ。薄汚い目線をリヴァイの裸体に向け、視線で舐める。最初は簡単に裸となるリヴァイへ背を向けたり、その場から退散したりしていたが、川や湖は隠れる場所も多い。こっそり盗み見ていた。それに気付かない人類最強ではなく、見るなら堂々と見ろと言われて、ならば見せて下さいと堂々と見つめるようになった
リヴァイは溜まってないと言い切った。何故なら、昨日の夕方、夕暮れの陽の中でエレンはリヴァイを押し倒した。草原の草が新芽で絨毯のように柔らかくて助かった
何に欲情したか、きっかけは何かなんて覚えていない。エレンはリヴァイの爪、髪の毛でさえ勃起出来るのだから

「兵長、触って、いいですか?」
「………、」

普段冷たい事が多いリヴァイの手が熱い。身体が熱くなるのは情事の時と熱い湯に入った時だ。筋肉のついた腕から肩に手を滑らせてうっとりする。こんな人が自分と共に世界を生きているなんて。しかも、こんないろんな意味で美しい人が、自分を選んでくれたなんて。嗚咽しそうな熱が胸につかえて張り裂けそうだ

「キス、したい、です」
「あ?盛るなら娼婦に行けよ。街に来たんだ。おっさん相手にする必要ねぇよ」
「今、したいです、ねぇ」
「………、あー、」

こてん、と頭を擡げてリヴァイがエレンの後ろ首を強引に引っ張る。ぐっと唇同士が合わさって、キスの形と成った。エレンは見開いた目を綴じて、薄く空いた相手の唇の合わせに舌を挿し入れた

世界に二人だけしかいないというのは、気が狂うのかもしれないと思っていた。旅立って直ぐは、共に来てくれたリヴァイに心から感謝し感涙し、いつ何時もこの人に従い、共に在ろうと誓った。が、数日すればもしかするとリヴァイと口論したり、殴り合ったりしてしまい、相手に絶望する事があるのかもしれないと疑った。だって、互い人間だ。朝から晩まで二十四時間毎日毎日毎日リヴァイとたった二人なのだ。エレンはリヴァイを想っているが、リヴァイは違う。リヴァイの方がエレンに愛想つかして壁の中に帰ると言い出すかもしれない
そう疑ったのもほんの一瞬で、直ぐにそれは掻き消された

「っ、ンンン、」

ドン、と肩を叩かれて我に返る。目を開ければ白い一糸纏わぬ、濡れた肌の喉がごくりと鳴って唾液を飲み込んだ
送り込んだ舌をゆっくり抜いて上唇、下唇と丁寧に舐めてから顎に滑らせる。欲目無しにこの人は魅力的だとエレンは素肌の肩を撫でた

「盛ンな。エレン」

下顎に濡れたあたたかな人差し指を添えられて擽られる。下顎を撫でられ、キスで熱の溜まった下半身にダイレクトな衝撃が走った
煽られているのか、制しているのか分からず、その場に跪く。膝下のスラックスが湯で濡れたが気にせず、湯船の縁に頬をつけて湯に浸かるリヴァイを見上げた
手を伸ばしてエレンの髪を梳いてくれる。悔しいような、嬉しいような気分で口を尖らせれば、無表情だった彼の口角が上がった

「かわいいな」

あんたの方が色々とかわいいよ、と言葉には出来ずに飲み込んで仕舞う。見上げた目を細めて撫でる手に擦り寄った
ここ最近で気付いた事は多い。人類最強の強靭な彼からそういう類いの言葉が出るようになったのは壁外に出てからだ
悪くない。という言葉が今まで彼の褒め言葉のようなものだったが、壁外で共に生きて、朝焼けの美しさや優しい草原の広がる大地、きらきらと光る水面、どこまでも広がり、どこまでも自由なその世界を見て感じて人類最強の彼は 綺麗だ。 と声に出して呟いた。美しい、綺麗だ、と。彼の口からそういった感想が聞ける事が出来てエレンは胸が熱くなった。自由だと再認識した
そしてエレンに対して かわいい と口走るようになった。初めて言われた時は自分に対してではないと思って首を傾げていたが、どうやら自分へ向けてらしいと知り、唇を尖らせた。子供扱いされているのが丸分かりだったから。唇を尖らせて反論すれば、厄介な事にリヴァイ兵士長は目尻まで下げて笑うのだ
その表情を目の当たりにしてからかわいいと自分に向かって言うリヴァイに反論しない様にしている。目尻まで下げて笑うリヴァイ兵士長なんて心臓が大爆発を起こしてきゅうきゅうと締め付けられて息も出来なくなって瀕死になる。とんでもない。とんでもない人と生きているんだとエレンは頭を抱えて転がり苦しんだ



街の夜は思ったよりも賑やかだった。風呂が終わり部屋でのんびりした後、外へ晩飯を食べに出てエレンはきょとんとした。人が増え、活気があるように見える。男ばかりだと思っていたが、女もいたようで、甲高い笑い声も聞こえる。女がいるというだけで、何だか華やかさを感じる。リヴァイの後ろを歩きながらキョロキョロして明かりの灯った店を見て回る。昼間開いていなかった店も開いていて、飯屋も飲み屋も多い

「やだあ、かっこいい!」
「お兄さん、寄ってってよ、サービスするから」
「うっそ、すっごい男前」

キョロキョロしていたら前を歩くリヴァイに立ちはだかるようにして4人の草臥れたドレスを纏う女が現れた

「邪魔なんだが」
「やだ!声も素敵!ちょっとアタシ口紅し忘れたのに!」
「へい、」
「エレン」

兵長と呼びかけてリヴァイに制され黙る。人前で兵長と呼ぶなと言われていたからだ。女が後ろにいたエレンにも気付き、可愛い!と叫びちょっとした見世物状態となった。エレンはリヴァイのつむじを見下ろしながらそろそろ引いてくれ無いと機嫌が悪くなって厄介だと慌てていれば、不意にリヴァイがエレンの方を振り返る

「エレンよ、世話になるか?」
「は?」
「盛ってたろ、さっき。世話になるか?」
「はあ??!」
「何?坊や寄っていく?サービスするわよ!こんな可愛いコ初めて見たわ〜」
「どんなのが好み?何でもしてあげるわよ」
「いい思いさせてあげるから。ね?お姉さん達に任せて」
「〜〜〜〜!!!」

バッ!!っとリヴァイの二の腕を掴み、叫ぶように結構です!!と言い捨てて、立ちはだかる女達を強引に掻き分け足を進める
もう壁内では無いにしろ上司には違いないリヴァイの腕を力強く引き、適度な距離を進んでから手放す

「あ?」
「あんたね、もう!」
「ヤリてぇんじゃねぇのか」
「誰でもいいわけないでしょうが!さっさと飯食って寝ましょうよ」
「…変な奴だな。せっかく」
「わかりました、わかりましたから」
「エレンの癖しやがって」

なんなんだよ、と唇を尖らせたので悶絶しかける。なんだこの大人は。かわいいなくそ!と悪態をつきたくなるのを飲み込む。落ち着いて我にかえれば、それはそうだ。だって自分は彼を想っているが、彼は自分を部下の餓鬼としか思っていない。身体を許してくれているのも彼にとって何でもない事なのかもしれない
それでも、エレンはリヴァイを想い止まないし、リヴァイに着いて行くと決めている
好きだ、愛してるなんて言葉でこの関係を壊すつもりは微塵もない

「兵長」
「……肉食わしてやるから拗ねんな」
「食い物で誤魔化されませんからね」
「面倒臭ぇガキだな」

ふ、と笑われ、からかわれているのが分かる。エレンで暇潰しを覚えたリヴァイにエレンは肩を震わせた

出会いは鮮明に覚えている。向かい合ったのはその後だったが、エレンがリヴァイを目にしたのは調査兵団の壁外調査前だった。耳にしていた人類最強という言葉。どんな人だろうと目を輝かせた。ミカサやアルミンと人類最強の男、リヴァイ兵士長について沢山話した。大男で髭が生えているとか、筋肉が凄まじく、木なんか片手で倒せるとか、聞いた話しや噂からエレンの中で勇者のような、英雄像は日増しに出来上がっていった
たまたま、とある日に壁外へ出る調査兵団を見る事ができ、大男を一番に探したが、どの兵士も冴えなかった。大男はいたが、エレンに何も与えない。この壁外調査には参加してないのかもしれないと思った時、艶やかな毛並みの上品な黒馬に跨る小柄な男に目がいった
あ!と声を出す前に、リヴァイ兵士長はあれだと口から零れた。隣にいたアルミンがそんな馬鹿なと口にしたが、間違いないとエレンはアルミンに言う。だって、威風堂々のその姿は他の兵士と違う。そしてなにより目が違う。怯えも弱さも迷いも驕りもない。純度の高いその目がただ、強く壁外の空を見ていた
同じだと、無意識にガッツポーズを取った。人類最強のリヴァイ兵士長は壁外を見ている。さすが調査兵団だと、血潮がわなないた
ミカサが心配して見る中、エレンは興奮で武者震いを感じる
巨人を、あの、あのリヴァイ兵士長の後に続いて駆逐する
エレンが訓令兵になって間もない頃の出会いだった

「人類最強って、オレ、大男だと思ってたんですよ」
「いい度胸だなテメェ」
「まあまあ、聞いてください」

適当に店へ入り、久しぶりだしとリヴァイが酒を頼んだ。エレンは歳的に酒は飲まないが、たまに不良兵士長に付き合わされる。それでも量は飲めないのだが、味は嫌いではない。食べ物を口に運びながらちびりと喉に通すと熱くなる。大男と聞いてリヴァイのきれいな眉が片方上がり、拳で戯れに肩を殴られた。痛くないのに痛いと口にしてからその手を取る
まだ餓鬼のエレンよりも小さく細く乾燥している。掌はブレードを握りすぎた為にどう表現すればいいのかわからないぐらいに変化していた
その手を取って、まあまあ聞いてくださいよと笑いながらリヴァイと座る距離を縮める

「でも、初めてへーちょを見たとき、あ、このヒトだってわかりましたよ」
「ほー、そりゃあすげぇな」
「そうでしょ。だって、あんた、壁外の空を見てましたもん」
「……覚えちゃねぇよ」
「あ、このヒト同じだって」
「…、飲ませ過ぎたか」
「あんただけ、内の空でも壁でも門でもなく、前でも後ろでもなく、壁外の、外の空を見てた、でしょ?へーちょ」
「あー。宿まで自力で歩けよ」
「へーちょー」
「呼ぶなっつったろ」

エレンの座る椅子を軽く蹴った癖に、エレンが握る手は解かない。エレンは口角を上げ、その代わり眉を下げた
酒にのまれるのは楽だとつい最近それも知った。酔っていたんです。と言えば流されるものも多い。リヴァイが勧めるなら、必ず酒に手を出すようになったのはその為だ。普段は言えない事が言える気がして。世話になったハンネスがよく酒に力を借りて等とほざいていたが、この歳にしてそれを分かってしまうなんて
リヴァイの手を強く握り、冷たくて気持ちいいなと目を細めた。そのままリヴァイを見て、ふにゃりと笑えば驚いた顔をした珍しい彼と出会う

エレンは手に入れた。巨人を駆逐仕切った自由の世界を。世界を自由にする翼を。そして、世界をつくる相手を
手には入れた
ただ、それだけ。


「っ、ふ、クッソ」
「は、はっ、へいちょっ」

逃げないでと細い腰を強く自分の方へと引き寄せる。飯を食べ終えて含んだ酒にふわりふわりと足を浮かせて宿まで戻る。借りた部屋に入って直ぐに我慢出来ず、リヴァイの唇にかぶりついた
顔を逃がすリヴァイの唇を追いかけてぶつける。薄くて形がいいのにやわらかいなんて卑怯だ。小さな身体をすっぽりと抱きすくめて、下唇に舌を這わせた
犬みたいな息遣いをしながら待つ。了承を得ないのに事に至れる程は死に急いでない。リヴァイはヤらないと先程風呂に入った時に言い切った。だから今は許してくれないか、丹念に縋るように唇を合わせる

「ン、テメっ、女にいけって」
「やです。へいちょ」
「は、あ?」
「舌、出して?」
「……、っ、」

あー、とかうー、とか唸りながらリヴァイが観念したのか小さく舌を出した。食いつきたいのを我慢し、その赤い舌に自分の舌先を触れ合わせる。濡れた舌同士がぬるぬると絡めると頭に血が上る
粘膜と粘膜の触れ合いは口でしか出来ない。身体の中と中の絡め合いなんて卑猥でしかない。キスなんて誰が考えたんだろうとぼんやり熱に浮かされて考えてしまう
考えれば中心を挿入するより興奮する。相手が、リヴァイだから
出していた舌を強く押し、リヴァイの咥内へ押し入る。擦り合わせて吸って舐めて、愛撫する

「兵長」
「……クソ犬」

唇を離してうつくしい目を見つめれば、濡れた目が見上げてくる。蕩けたそれが了承と得てエレンは腕を引いてリヴァイをベッドに仰向けに押し付け、上に跨る

「わ、ふかふか」
「ハ、なかなか悪くねぇな」
「いいですか?」
「…何だ」
「オレが、」

挿れる方で、とは言えず、意図的にスラックスのうえからそっと指を彼の尻に這わせる。撫でるように動かして伺えば、きつく睨まれた

「面倒臭ぇな」
「えっ寝てるだけでいいんで、あの!」

気を変えないでください!と叫びかけるとリヴァイが身体を浮かせ、上にのし掛かったエレンの首筋に吸い付いた

「ガキが、やるならさっさとしろ」

世界は広かった。
壁の外に出て見た空の広さは例え様がない
世界は広くて広くて、一人ぼっちで佇めば、生きていけない
だって、広いから
世界に一人だけなんて生きていけない。
だって、人間は知っている
知っているから、無かった事にはできない

「ン、は、はっ」
「あ、兵長、へ、兵長」
「っ、もっ、奥、これんだろ」
「つあ、いい、んですか?」
「めんど、くせぇな、テメェは」
「壊さないよう、気をつけてるだ、けです」
「遅ぇよ、クソガキ」

リヴァイはたった一人しかいない。たった一人しかいないリヴァイは、エレンのたった一人の世界だ。熱い肉棒を挿し入れて揺さぶって突き上げて擦り込んで掻き回して他にもう何も出来ない程に中を暴く
黒い彼の髪が散らばって、喉が晒され、歯を食いしばり仰け反った
左右に頭を振りながら、大きく開いた脚の間にエレンを招き入れて浮いた爪先に力を籠めて身体を痙攣させた
リヴァイが絶頂を迎えたと分かり、エレンも中に吐き出す。注いでる最中リヴァイが喉を鳴らして身体を震わせたのが泣き出しそうに愛しくて愛しくて愛しくて、それと同じ位に無茶苦茶にしたくて、吐精しながら震える腰を掴んでそっと更に奥へと挿し入れた

「あっっ!」
「っ?!」

気付かれないと思った微々たる動きだったのに、聞いた事もない嬌声にエレンは固まる。喉を曝け出したまま、リヴァイも固まっていて、無言を貫いていた

「リヴァイ、さん」
「う、るせぇ」
「もっと欲しいです」
「ふざ、んな」

出し終わっても抜かないまま、顔を戻したリヴァイに覆いかぶさり目を見つめる
やばいとエレンは慌てた。リヴァイの顔が赤い上に目が溶けている。先程の動きが、たったあれだけの動きがこんなにこの人を溶かすのかと思うだけでやめられない。これはもう、暴かずにはいられない
凶悪で凶暴、残酷なのに泣き出しそうに愛おしい。それを人はなんと呼ぶのだろうか
エレンがリヴァイを想う感情はそれだ
優しくしたい、恋しいし愛おしい、撫で回して口に含んで甘やかして真綿で包み込みたい
それなのに、その真綿で手足を縛って、首を締めて噛み付いて泣かせたい
全部、全部が欲しいし、受け取っても欲しい

「リヴァイさん」
「中に出しやがって」
「風呂、入れますから」
「ああ」

挿入したそれを抜き、その動きにまで反応した彼の白い身体を撫でてから、風呂場へと足を向ける。湯船に湯を溜めながら蛇口から出る湯を眺めた
蛇口から出る湯が人の感情ならば、受け入れる湯船は大きさに限りがある。この湯が一杯に溜まれば、湯は溢れて零れる
零れた湯はどこに向かうのだろうか
エレンは湯船の半分より多いぐらいまで湯を溜めてから、ベッドに力なく寝るリヴァイの元へと戻る

「兵長、湯の準備できました」
「おう」
「兵長?」
「眠ぃ」
「ふふ、オレに任せます?」
「……気持ち悪ぃ笑い方すんな」
「やった、身体、洗いますね。髪も」

何が嬉しいのか分からないという顔をしたリヴァイの身体を起こして風呂場へ向かう。面倒臭そうにしながらもこのままでは眠れないのでリヴァイがエレンに身体を預けた
中のものを掻き出して身体を洗い、髪を洗ってから彼の身体を湯船につける

「気持ちいいですかー?」
「おー」
「寝ないでくださいね」
「おー」
「兵長?」
「おー」
「もー。いいですよぉー、寝ても。飼い犬に襲われても知りませんから」
「お前な、若いんだからおっさん相手にしてんな」
「言わせたいんですか?」
「あ?」
「オレの世界はリヴァイさんだけです」
「…………」
「さ、リヴァイさん、寝ましょ。明日も泊まります?街出ます?」

湯船に浸かったままのリヴァイが何も言わないのでエレンは首を傾げる。特に目的地はないし急いでもいないが、死ぬまでには海や砂の雪原に出会いたい。広い広い世界の美しい風景や物をリヴァイと一緒に見たい
エレンがクエスチョンマークを飛ばしながらリヴァイを見つめ続け、返事を待っていると、頭から湯を引っ掛けられて驚いて瞬きをした

「な」
「お前も入っちまえ」
「兵長!もう!」
「おら」

強く腕を引かれて湯船に勢いよく引きずり込まれる。温かい湯に浸かり、先に入っていたリヴァイに抱き込まれるようになってしまった

「泊まるか」
「へ?」
「もう一日」
「いいんですか?」
「いいも悪いも、俺とお前だけじゃねぇか」
「!、はい。じゃあ昼まで寝ましょ」

抱き込まれてリヴァイの素肌の胸に頬を擦り付けた。頭を撫でられてエレンの瞼もいよいよ重くなる。リヴァイの心音と息遣いだけしか聞こえなくなって、エレンの目から涙が零れ落ちた

「泣くな、エレン」
「ひゃい」

なんだって、この人類最強の兵士長はこんなにも、こんなにも凄まじいのか。隣に並べるなんて事は一生かかっても無理だ。だって彼は人間らしい人間であり、残酷に優しくて凶暴なまでに美しい
ただの化け物な自分にどうこうできる存在じゃない
なのに、どうして
リヴァイの世界も、エレンなのだろうか

友人でも、恋人でも、家族でもないのに


「エレン」


溢れ出した湯が、音もなく
世界に堕ちてゆく










海堂誕生日おめでとうと!

サイトに短時間で打った海堂誕生日文章をアプしましたー
同棲のリョ海なので裏です
内容は全然エロくないんですが、シリーズなんでね

で、それと同時にマジックもかわいいよねって思ったのでまた懲りずに短時間で打ちましたが、なんか違う
かわいいのがかきたかったのに全くかわいくないどうしたらいいの、海堂センパイ
かわいくない…
すみません
久しぶりにリョと海文章かいたな。絵はもうちょっと先になりそうです


海堂センパイ誕生日おめでとう!!

─=≡Σ((( つ̀ώ)つ

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お久しぶりです

お久しぶりです、ご無沙汰しておりました望でございます。
去年の秋から体調が悪くなり始めて、今は仕事を休み療養に来ております(; ´_ゝ`)

PCがないのでアナログしかできないんですか、アナログならば支部が使えないので、サイトに打ち込めるっちゅー話しや(謙也風に
そんな事もないだろうなと思いながら

ついにどっぷりと進撃にハマってしまったので、リョ海リョに加えてエレリもサイトに増やそうと企んでおります
ケータイサイトなんて今時ナンセンスなのかなあとわかりながらも、PCないし
間違いなく絵はUPが難しいんですが
だってエムペさん50KBまでしかUPできないんだもの!
iPhoneで撮って50KBまでってもうゴミ屑のようだ!みたいになりますよね
あれー、おかしいなあ
ツイッターで上げるの一番手っ取り早いか(`・ω・´)
海堂の誕生日もあるわけなんですが、絵が描ける状態ではないので、文章にしようかなと思うのに、ずっと思ってたんですが、昔にアップした誕生日文章が私の中でリョと海ベスト誕生日文章過ぎてもはや超えるものが考えられない_| ̄|○
あの、リョマとテニスし放題の券をプレゼントされる誕生日話し。私の中でこれを超える誕生日話しが思いつかなくて
だって、誕生日にリョマのテニスを100年分手に入れるなんて、海堂が一番欲しかった物じゃないですか!
自分で書いておきながら何言ってんだこいつと思われると思いますが!
婚約指輪渡したらいいですか?!
海堂の指に指輪ないからマジックで輪を書くリョマの話しでいいですか?!
リョマの誕生日もPCの中に漫画描いてたんですが、体調不良に負けまして
エレリちゃんの誕生日も全スルーしてます
もうゴミ屑のようだ、私(^O^)

「心の行方」エレリ

真夜中にすみません、お久しぶりですこんばんは、望です(O_O)
生きてますが体調崩してます;;
しかし相変わらず進撃に首ったけなのですが!
今さっきぺぺっと初めて進撃で文章打ったのでもってきてみました
好きなんだけどかけないんだよな…なんなんだろう。
とりあえずかいてみてしっくりきたりするのかな?
最初はそんなもんかなあ
自分の書いた文章でぴたりときたのは土沖だろうか。1番書きやすかったし、読み返しても読みやすいと思う
あリョ海じゃなくてすみません
進撃のエレリですエレリ
いやエレ→リです^ ^;
ちょっとまだ自分の中でエレンも兵長も消化できてない。まだ一人歩きしてくれないのでうまく動いてくれない
書きにくいです;;
でも好きです(^ω^)
そしてエンブロさんほんと書きにくい
日記かえたいけど、日記仕様が悪いんじゃなくてiPhoneさんが悪いのでなんとも…
いやしかし上部に広告いつの間にか入ってんじゃん
ちょっといじってどうにかならないかな
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『忘れてください』

久しぶりSS
生徒リョマ×教育実習生海堂
完全なるパラレルが目的だったので、テニス隠しましたが、無理っぽい。わけありみたいになってる(゚Д゚)
完全なるパラレルですよ!
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