話題:ふと思うこと。

GPSアプリをつけてから数日、常に互いの居場所を把握し合うというふしぎな関係性へと変化したあたしたちは、ステアップしているというより、ステップダウンしている気がした。これはいいことではない。はっきりとそうわかっていても、あたしたちはそれを見てみぬフリして咀嚼する。こんなアプリであたしたちは互いを監視し合いなにしてるのだろうっていうきもちになる。そしてもう、GPSアプリがない関係性にはもどれなくなっていることを深く実感した。彼が電源を切ったり、携帯をわすれたりすれば、居場所を把握することは困難になる。アプリを入れるまでは彼の言ったことをとりあえず信じたフリをし、言い聞かせていたのに、それさえもできなくなる。あたしたちはいまこのアプリだけが砦なのかもしれない、漠然とはっきりと自覚した。

信じることは祈りに似ているとなんかの小説に書いてあったがほんとうにそうだとおもう。あたしは彼を信じられないから代わりに祈っている。なんどもなんどもつよくつよく、行っていませんようにと願っている。なんともかっこわるい。そこまでして、あたしたちはいっしょにいたいのだろうか。離れてラクになりたい反面、いっしょにいてたのしい時間を知っているから治ることに賭けたいきもちもある。もう、なにも知らなかったころにはもどれない。GPSアプリを入れなかったころにもどれないように、あたしたちはどんどん破滅へと向かっているのかもしれない。そして、その破滅をいつ迎えるのか知らないあたしたちはいつでも爆発する爆弾を抱えながら生きているみたいだなって、自嘲気味におもった。