話題:行くあてのない気持ち

何度もこの話で喧嘩になり、ぎこちなくなり、ふたりで暮らしてることを後悔する。結局、彼は自分の実家の近くに住んでいたくて、あたしのこと嫌になれば、実家に帰ると逃げるかお金を払って風俗に行く。お決まりのお前が実家に帰りたくさせたから、彼女が重い、やさしくない、癒しがないからお店に行きたくなるんだろうと風俗に行ったことは否定しながらも言い訳は行ったことを肯定させてしまうわけで。そういう抜けてるところがあるからうそがすべてバレてしまうのはいいところなのかもしれないけれど、なにかあれば、すべてあたしのせいで、お前がわるいと喧嘩の度に言われ、この間は、クズとまで罵られた。うそをつかれた日からなにも信じられなくて、不安でしかないことを伝えていたら泣いてしまったけれど、そんなあたしを見て、心底嫌そうな顔をして、実家に帰っていい?と荷物をまとめ、仲直りもせず、彼は次の日実家に泊まった。
あたしにも帰ればいいじゃん、電車あるよなんて嫌味を行ってきたけれど、次の日仕事もあるし、家事だってしなくちゃいけないとかやることがあるのにも関わらず、自分は実家から通勤するほうが近いし、キッチンも広くて、料理しやすくて、あたしが特売品とか安いのしか買わないのとはちかい、いいお肉とか材料の入った実家の冷蔵庫もなにもしなくても怒らない両親といる方がたのしいのだろう。そんなオアシスみたいな場所が車で30分のところにあるなんてうらやましい。車で行けば、高速道路を使っても2時間はかかり、電車ては2時間30分。彼よりも地元愛や家族愛がつよいあたしには、ただただ試練で、酷な生活。

せっかく、すきなひとと住んでいるのに悲しい気持ちになることが多く、彼の思いやりのなさにあたしは、ただの家政婦で性処理器なんだと思ったら虚しくなった。恋のツキというドラマのなかにもあったが、生活の一部でときめきはない。靴下脱ぎっぱなしやめてねとか台ふきんとぞうきんはちがうのも何回言っても直らないとか、生活費は折半が基本で俺が守ってやるよとは言ってくれないねとか、数々の主人公の気持ちが痛いほど突き刺さる。つよくなるのは、女ばかりか。理想を押しつけられ、母親と比べられ、捌けぐちにされるのはもうごめんなのに。知らぬ間に、大嫌いだった父親と似ていく彼を愛せなくなっていた。