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憂鬱が吹き飛ぶ

夜中に雨音で目が覚めてしまう程の土砂降りだった。太陽が昇り、家を出る時間になっても雨足は一向に弱まる気配はない。気怠いなと思いながら傘を手に家を出た。歩き始めて5分も経たないうちに靴下が濡れ出した。会社までは徒歩30分だ。この調子だと着く頃には全身びしょ濡れだろう。
信号待ちをしている時だった。交差点の向かい側で、スラリと背の高い女性が同じように信号待ちをしていた。僕は彼女から目が離せなかった。不思議な空気を身に纏った人だった。酷い土砂降りにも関わらず、彼女は傘を差していなかった。ずぶ濡れのはずなのに、彼女の存在は優雅だった。綺麗にアイロン掛けされた白のブラウス、髪を耳にかけるしぐさ、信号を見つめる眼差し、歩くスピードに合わせてなびく長い黒髪や揺れる紺のスカート…それらは今日が土砂降りであることを忘れさせた。彼女のいるところだけ雨が降っていないようだった。彼女が視界から消えるまで僕は見送り続けた。はっと我に返って信号を見ると、赤に変わっていた。

あの日以来、雨が降る度に僕は少し浮かれた気分で家を出る。もしかしたらもう一度、彼女に会えるかもしれないと期待して…。
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君のとなり


君が僕の右隣にいない
右手が風をきる

それだけで
こんなにも不安になる
景色が色を無くしたように見える


いつもは君が右隣にいて
僕の右手は温かくて
笑顔になれるのに
幸せを感じるのに

今は不安と孤独を感じるだけ



やっぱり君が右隣にいないとダメみたいだ
無力で子どもな自分を恨むよ



僕の右隣にいて
僕に笑いかけていて?
ずっと一緒にいてよ

君に告げても
君はきっと笑うだけだろうね

僕はこういう時すごく寂しくなる


ちゃんとした答えが欲しい
でも欲しくない



僕は臆病だ
こんな僕の隣にいてくれる
君はとても大切な存在



大好きだよ…




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貴方の温もり

とても寒い


手足が冷えて
心まで凍えてる
やる気がなくなって
変温動物のように冬眠したくなる


こんな私を暖めてくれるのは
ちょっと熱めのお風呂じゃないし
湯気の立ち上るココアでもなく
居心地の良い布団の中でもない


私の心を暖めてくれるのは
貴方の優しさと
少し低めのその声


私の身体を暖めてくれるのは
貴方から伝わる温もり
少し高めのその体温


貴方が居てくれるから
苦手な寒さも
愛しく感じられる




だから傍に居てね
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俺のモノにするだけ

貴方はそう言いました。

私の初めては貴方に奪われました。

私の身体は貴方のモノになりました。

私の家は貴方との愛の巣になりました。

私の御腹には貴方の種が宿りました。

私の左手の薬指には貴方との関係が輝きました。

私の財産の後継者は貴方になりました。


私の命は貴方の手に委ねられました。



貴方は私のすべてを手に入れ、
自分のモノにしたとお思いでしょう。

それは違います。

まだ一つだけ残っています。
貴方のモノではなく、
私のモノ…

私の心。


これだけは渡しません。
永遠に私のモノです。


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貴方と私とあの人

「俺に甘えて」
そう貴方は私に言う。

でも、私にとって甘えると言うのは
相手の時間に侵入すること。
自分からメールを送ったり、
電話すること。
私の話や愚痴を聞いてもらうこと。

私は貴方に甘えれないの。


それに私が貴方の言う「甘える」をしたら
貴方は私の身体を欲しがるんでしょ?
いつも声を求めてくるように。


“ギブアンドテイク”


でも、私は貴方に何も求めていないの。
私が求めているのはあの人なの。
私が甘えているのはあの人なの。


貴方と電話するより
あの人とメールするほうが
私にとっては幸せなの。


でも、あの人には私は必要じゃないの。
あの人が私を求めることはないの。




まるで私と貴方は似てる者同士のように
思えるけれど実際は違うのよね。
だって貴方は女の子なら誰でもいいんですもの。
たまたま私が居ただけのこと。

私の代わりはいくらでもいるの。




そうしたら、
私なんていらないんじゃないかな。
私がいないほうが
みんな幸せそうだから
あの人も幸せになれるかもしれない。

貴方も私がいなければ
代わりを探すだけでしょ?




貴方と私とあの人の関係は
私が存在しているから
繋がっていて
繋ぎ止めている
そんな関係。



私がいなくなれば
ぷつりと切れてしまう。
儚いもの。





人生においての
繋がりなんてそんなもの。

そう:ふと思った。
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