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 中野:(前略)マクドナルド化された経営者はだいたい、東大か京大か一橋あたりで一緒にマクドナルド経済学を勉強しています。そう、マクロ経済学ならぬマクド経済学!(笑) マクド経済学を勉強してそのまま学者になる奴と、そのまま官僚になる奴と、大企業に入って幹部になる奴がいる。この三者が集まって会話をすると、マクド経済学の話になる。マクドのビッグマックとチースバーガーの話で盛り上がるんですよ。そうやって、『俺たちは経済学を知っている仲間だよ』と絆を確認し合うわけです。 もう一つはこうなんです。マクロで物事を判断するには、『見』の目でなく『観』の目がないといけない。ちょっと引いて全体を見ないといけない。かつての経団連の人たち、例えば石坂泰三や土光敏夫なら、たとえ自分の会社が損をすることがあっても、一歩引いて全体のために発言するような度量があったのではないか。そんなエリート経営者がいたと思うんです。 ところが今は、『見』の目でもって自分の会社と自分の利益のことばかりを考えている。今の瞬間、
株価を上げるにはどうすればよいか。終身雇用をやめて非正規雇用の派遣労働者を増やせばもっと楽になる。法人税を下げれはもっと負担が減る。そんなことばかり考えているんです。日本経済のためと言いながら、自分の都合しか考えていない。とてもエリート経営者、財界人とは言えません。
藤井:そうやってマクド経済学、マクド財界人、あるいはマクド官僚が80年代頃から大量に生産されるようになった。そして今、あちこちの世界で相当に厚い層をなしている。 その前の時代はどうだったかというと、そう易々とマクド化することはなかった。というのも、戦争に行って、『裟婆』というものの構造を、生き死にという次元まで十二分にリアルに感じ、考えていた教授や官僚、上司がいたからです。けれども、戦争で苦労した人たちが90年代に現場から消え去ったのを境に、日本社会は一気に中枢からマクド化していったのだと思うんですね。
中野:戦争は人間を大量に動員します。すると、食糧の調達はもちろん、息抜きの娯楽や性の処理もしないといけない。組織をマネージして、敵が迫る恐怖の中でも突進させねばならない。そのためには、どうやって勇気を奮い起こさせるか、敵からどう情報を取るか、トータルなマクロ人間が必要になるんです。(中略)土木に関する学問も典型的にマクロ的です。建国はインフラ整備から始まる。国土計画は、国全体を総合的に見ないといけない。戦国時代にも、各地の武将は築城の名人だった。信玄堤に見るように、堤防をつくるのもうまい。 つまり、土木はトータルな統治術と密接不可分なんですね。 今、そのようなものとしての学問が求められている。でも残念ながら、すべてがマクド化されてしまっている。そんなマクド化連中が、最近はインターネットという利器を得て、つまらないことで騒いでいるわけです。 逆に言えば、土木計画が衰退し、土木事業が世間から叩かれているのは、世間がマクド化し、国全体を統治するという観点を失ったからではないか。経済学者が公共事業を執拗に批判するのは、公共投資の背景にある国家という『観』の目が不愉快だからなのではないか。

特に前半部分は安倍ちゃんに聞かせてやりたいな。フジテレビに出てる場合じゃないですよ!(みのもんた口調で)