学パロフォルスタ前提でフォルと東条さんの絡みメインなSSです。
何というか…妄想全開で済みません、東条さんが相変わらずエセで済みません;
*attention*
・フォルスタ&東条さんのSSです
・学パロ(Laurentia!)設定です
・ほのぼの、っぽいような…
・フォルは基本前、東条さんを目の敵にしてたから…←
・三人でならんでる姿が書きたかったラストシーン(ぇ)
・東条さんの口調やらなんやらがエセで済みません;
・相変わらず妄想クオリティ
・ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞー!
「暑い……」
亜麻色の髪の少年は小さく呟き、流れてきた汗を手の甲で軽く拭った。
焼け付くような暑さではないが、
湿気を帯びた梅雨時期独特の蒸し暑さを感じる。
夏服に衣替えしたは良いが、それでもやはり暑いものは暑い。
門に寄りかかりつつ、"早く来ないかな……"とつぶやくフォル。
そんな彼の様子を怪訝そうに見つめつつ、生徒たちは帰路につく。
フォルはそのさまを横目に眺めて小さく溜息を吐いた。
夏が近づくにつれて日はだいぶ長くなり、
こうして外で待っていても直ぐに暗くなるということはなくなった。
この国独特の気候らしい蒸し暑さにはフォルも少々辟易していたが、
待つことは決して苦ではない。
けれども、此処でひとり、なかなか来ない彼を思うのは、
何というか……寂しくて。
出来ることならば、ずっと彼の傍にいたい。
同じ学校ならば良いのにと今まで幾度思ったことか。
それが叶わぬことと、理解してはいるけれど。
と、その時。
「む?そなたは……」
不意に聞こえた声にフォルは振り返る。
そこには一人の男子生徒が立っていた。
スターリンの学校の制服とも、勿論フォルの学校の制服とも違う。
黒髪に、眼鏡をかけた少年の姿。
「フォル殿……であったか?」
「東条、さん……」
だったよね、とフォルは小さな声で以前聞いた彼の名を紡ぐ。
綺麗な藤色の瞳がレンズ越しにフォルを見ていた。
彼……東条と顔を合わせるのは久しぶりだった。
以前幾度か顔を合わせたことがあるものの、
あの時はスターリンと仲良さげに話す彼に嫉妬して、
そうそうに彼の前から走り去ってしまったフォル。
その時のことを思い出せば、少々決まり悪くはあるのだけれど……
東条はその時のことをさして気にしていないのか、
至って自然体のままに小さく首をかしげ、フォルに訊ねた。
「スターリン殿を待っておられるのか?」
「あぁ、うん」
フォルはこくんと頷く。
嘘をついてもしょうがない。
東条は"そうであったか"と言って柔和に笑った。
そして、彼自身もまたスターリンに用事があるのか、
"私も共に待たせていただいても宜しいか?"と訊ねる。
フォルはその言葉に少し怪訝そうな顔をした。
「別に構いはしないけれど……でも君は、此処の学校の生徒だろう?」
何で中に入っていかないの?とフォルは不思議そうな顔をする。
フォルが此処で待っているのは自分が"他校の生徒"だからだ。
もっと言うならば、スターリンやチャーチルらと違って、
フォルはフラグメントではない。
この前ルーズベルトに言われたとおり、彼が中に入ることは禁じられている。
もっとも、その規則を至って普通に破っていたのが彼なのだけれど。
けれど、東条は違うだろう、とフォルはいう。
世界史含め歴史にさして詳しくないフォルでも、
彼の名前……東条英機の名は知っている。
つまり彼もフラグメントであるはず。
フォルの言葉に東条は若干の苦笑を浮かべ、
"同じ学校には同じ学校だが……"と言う。
「私は分校の生徒。スターリン殿は本校の生徒だ。
ふむ……なんと説明したものか……色々と、制約があるのだ」
"その点そなたとあまり変わらぬ"と東条はいった。
若干、苦笑気味の表情。
出来ることならば自分も迎えに行きたいところだ、と言わんばかりの声に、
そっか、とフォルは声を漏らした。
一緒に居たくてもいられない、というのは同じか、と。
"恋敵"と見て警戒心しか抱いていなかったが、それも幾分薄れる。
フォルは穏やかに微笑んで"そうなんだね"といった。
と、東条は思い出したようにフォルに言った。
「以前も申したが……
また、私の屋敷にスターリン殿と共に遊びにこられよ。
そなたとももっと、話をしてみたい」
「そう?ふふ……ありがとう」
フォルは穏やかに微笑んで、サファイアの瞳を東条に向ける。
以前と違って、今度は笑顔でいうことが出来た。
と、その時。
「あれ……フォル、東条?」
聞こえたのは待ち人の声。
一緒にいる二人を見て、きょとんとしている琥珀の瞳の彼。
東条は笑顔で彼に手を振りつつ、言った。
「おぉ、スターリン殿。お勤め、お疲れ様ぞ」
「おぅ……何でお前ら一緒にいるんだ?」
フォルと東条を交互に見つつ、スターリンは不思議そうな顔をする。
彼らが仲良く話しているところは今まで見たことがない。
「偶然居合わせたんだ。……ねぇ、今日は、一緒に三人で帰らない?」
フォルの提案にスターリンは若干驚いた顔をする。
しかしそれ以上彼が何かいうより先に、
フォルはスターリンの手を優しく握っていた。
いくら以前のように東条のことを目の敵にすることはなくても、
彼の隣を譲るつもりはない、という無意識の意思表示か……
フォルはぎゅ、とスターリンの手を握る。
夕焼けが三人の影を長く、地面に落としていた。
―― 伸びて、重なる影 ――
(重なる影と重なる想いと…)
(彼の力になりたい傍にいたい。
その思いが同じであることに違いはないけれど彼の隣は僕のもの)
2013-5-30 23:30