久々に時間通りにワンライ参加です。
書くネタ無くて暇だったので←
そんなこんなでノアールのお話です。
過去の話、虐待ネタ含むので苦手な方はご注意。
とはいえそんな細かい描写ないのですけどね←
今でこそあんな冷めた性格の彼ですがかつては普通の子供でした。
それがだんだん失われていった過程を思うと…何だかなぁ、って思いつつ←
でもそういうところが好きですハイ(笑)
あ、使わせていただいたお題は「朝と夜」
珍しく一つだけです。
シャンソンデアンジェも使いたかったのですがノアのネタでは出来なかったので←
ともあれ、追記からお話です!
しんと、静まり返った部屋。
目を覚ました漆黒の髪の青年……ノアールはゆっくりと瞬きをする。
体を起こしてみれば、少し体が痛い。
床に、寝てしまっていたらしい。
そう思いながら彼はぐっと伸びをした。
ぱきぱきと骨が鳴った。
「……あぁ、そうだった」
調べものをしていたんだったか。
そう思いながら彼は立ち上がる。
床に積み重なった本の山。
それを持ち上げて、本棚に戻しながら、彼は小さく息を吐き出した。
静かな部屋。
かつて、"仲間たち"と暮らしていた屋敷。
その部屋に何かが重なってノアールは顔をしかめた。
そして、ふっと息を吐き出す。
「あぁ……」
この状況が、"あの部屋"に似ているのか。
そう思いながら、彼は目を細めた。
思い出すのは、かつての部屋。
かつて、自分が暮らしていた家の、自分の部屋。
……普段は、出ることがなかった自分の部屋を、おもいだした。
***
殴られて、蹴られて。
散々罵倒されて、部屋に閉じ込められる。
それがいつもの事だった。
痛みに耐えて。
悲しみに耐えて。
それでも救いの手は差し伸べられず。
「……っ」
体を起こす。
よろりと立ち上がって、部屋の明かりをつけるスイッチを探した。
かちり。
ボタンを押す。
しかし……明かりが、つかなかった。
「……電球が、切れて……」
がくり、と肩を落とした。
既に今は夜で、部屋は暗いのだ。
部屋にランプや蝋燭なんかもない。
子供心に、暗闇は怖かった。
恐ろしい。
そう思いながら彼はベッドにもぐりこんだ。
どうせ暗い中ならばベッドの中に居た方がマシだ。
そう思いながら彼は布団にくるまって、震える。
小さく息を吐き出しただけで、体が軋むように痛かった。
ずきずきと痛む体。
打ち付けた体。
痛みを訴える場所を擦るが、なかなか痛みがひかない。
折れている、事はないと思うのだけれど……
そう思いながらノアールは溜息を吐き出した。
―― 母親から、父親から、暴力を振るわれるようになったのは一体いつの頃からだっただろうか。
思い出したところで、どうにもなりはしないのだけれど。
そう思いながら、ノアールは目を閉じる。
物心ついた頃は、幾分マシだったかもしれない。
いつの頃からか、この暴力が酷くなっていた。
多少酷い言葉をぶつけられる、食事を抜かれるだけ、くらいで……――
けれど気が付いたら、殴られたり、けられたり……
酷い痛みを感じることをされるようになっていた。
やめて。
痛い。
怖いよ、母さん。
そう悲鳴を上げても、無意味で。
やめてなどくれなくて。
父親も、仕事から帰ってくると酷い暴力を振るってきた。
男である分、痛みは酷かった。
泣いても叫んでもやまない暴力。
悲鳴を上げても母の金切り声に掻き消されて……――
思い出すだけで、恐怖を感じて体を震わせる。
ぎゅっと布団を握りしめて、耐える。
頬を涙が伝い落ちていった。
火傷の痕。
傷跡。
痣。
時に、魔術で傷つけられて。
その傷は体から消えなくなるのだ。
もう既に、色白な肌はぼろぼろに傷ついていて……
あぁ、駄目だ。
こんなことをしていては、寝付くことも出来ないし、休めなければ明日母の手伝いが出来ない。
手伝いが出来なければまた怒られる。
また、痛い目に遭わされる。
そう思いながら、ノアールは目を閉じた。
繰り返される、朝と夜。
醒めることの無い恐怖の夢。
いっそ、眠りについたまま、目が覚めなくなったら……
どれほど、良いだろうか。
そう思いながらノアールは眠りにつく。
つぅと頬を涙が伝い落ちて、枕を濡らしていった。
***
小さく息を吐き出す。
積み重なった本をそっと撫でる。
新しく手に取った本を見つめた。
幼い頃から、出来ていたのは読書だけ。
部屋に閉じ込められている間に見る事が出来るのは、部屋に大量にあった本だけなのだ。
中流貴族の家に生まれたノアール……否、ニース。
そのために教養だけはある。
読み書きは勿論、ダンスや歌、楽器なども出来る。
そんな彼にとって、閉じ込められた部屋での数少ない娯楽は、読書だったのだ。
―― こんなことを懐かしんでも無意味だ。
そう思いながらノアールは本を閉じて、本を見上げる。
そして目を細めた。
そろそろ、部屋に彼が戻ってくるだろう。
そう思いながらノアールは目を細めながら、想う。
もう少ししたら、主が帰ってくるだろう。
そうしたら、久しぶりにチェスの相手でもしてもらおう。
そう思いながら、ノアールは部屋を出ていったのだった。
―― 明けぬ夜、悲しみの朝 ――
(あぁ今日も目が覚めてしまった。
いつものように、目を覚ましてしまって…)
(明けない夜。消えることの無い痛み。
こんな朝ならば来なくていいと、そう思ってしまって…)
2016-1-23 22:56