ラヴェントとチェーザレさんのお話です。
ラヴェントは仕事の忙しさで体調崩しそうだなぁと(笑)
*attention*
ラヴェントとチェーザレさんのお話です
ほのぼのなお話です
看病ネタなお話です
ラヴェントは仕事の忙しさでバテてそう
看病とかしたことがないチェーザレさん
それでも一生懸命にしてくれてたら萌える
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
ふわふわする。
揺らぐ意識の中、ラヴェントは目を覚ました。
ゆっくりと瞬きをすれば、視界に入りこんでくる、少し長い黒髪の少年……チェーザレの姿。
眉を顰めた彼はチェーザレを覗き込んで、声をかける。
「おい」
呼びかけられて、ラヴェントは応じようとする。
しかし口を開こうとするが、口から洩れた声は微かな呻き声だった。
「う……」
けほ、と小さく咳き込む。
チェーザレはそんな彼を見て、溜め息を吐き出した。
「体調が悪いなら何故仕事を休まなかったんだ」
昨日からだろう。
チェーザレはそういう。
それを聞いて、ラヴェントは昨夜のことを思い出した。
昨夜、仕事を終えて帰ってきた。
その時から既に体調が少し悪かった。
しかしチェーザレに迷惑をかけたくなくて、黙っていたのだ。
そのままいつものように過ごして、いつものように眠りに着いたのだけれど……
目が覚めてみたら、この調子だ。
チェーザレはどうやらラヴェントが体調を崩しているのに気づいたらしい。
先にベッドから降りている。
「う……ごめん、お前にもうつしかねな……」
「そう言う問題でないだろう、非効率的だ」
体調悪いのに仕事したところで効率が悪いだけだ、とチェーザレは言う。
ラヴェントはその言葉に苦笑を漏らして、"わかったよ"といった。
「今日はおとなしく寝てる……ごめん、家のこと出来なくて」
そう詫びるラヴェント。
チェーザレはそれを聞いて首を振った。
「良い。適当に食べられるものもあるだろう。
どうにでもするからおとなしく寝ていろ」
そう言うと、彼はさっさと部屋から出ていった。
ラヴェントはその背を見送り小さく息を吐き出す。
「やれやれ……」
ゆっくり休むか。
そう呟いて、ラヴェントは目を閉じたのだった。
***
「……さて」
チェーザレはキッチンに居た。
少し考えるような顔をしつつ、冷蔵庫を開ける。
そうして、少し悩むように唸った。
体調を崩して寝ている、ラヴェント。
そんな彼の面倒を見てやりたいと、そう思った。
けれど……
家柄、境遇、その他から、チェーザレが他人の看病などをしたことはなかった。
だから、どうしたらいいのかわからないのである。
「とりあえず、水……か?いや、何か食べさせた方が……」
うぅん、と少し悩む声を上げる。
それから、そう言えばというように顔を上げた。
「熱……はかって、いなかったな」
とりあえず、寝ろと言って部屋から出てきた。
だから、彼に熱があったかは分からない。
否、正式に言えば……おそらく、熱はあっただろう。
目が覚めた時、隣で寝ている彼の体が熱くて驚いたのだから。
「まったく……馬鹿者が」
そう呟いて、チェーザレは一度部屋に戻った。
既にラヴェントは眠りについていた。
吐き出す呼吸はやや浅い。
今すぐに処置をしなければならないというほど酷そうではない。
とりあえずそのことにほっとした。
そっと、額に触れる。
やはり少し熱があるようだ。
そう思いながらチェーザレは目を細める。
「……とりあえず、出来る限りのことをしてみるとするか」
そう呟くと、チェーザレは一度彼から離れたのだった。
***
ひやりとしたものが、額に乗せられる。
つぅっと頬の辺りまで水が伝い落ちてきて、ラヴェントは目を開けた。
「……チェーザレ?」
眼前に居る少年を見て、ラヴェントは声を上げる。
先程より幾分マシになった声。
それを聞いてチェーザレは目を細めた。
「……起こしたか」
「あー……うん、頼む、もうちょっとタオル、絞ってくれ」
思わずそういった。
というのも額に乗せられたタオルの水が多すぎて、それが伝い落ちてくるのだ。
「あぁ、絞った方が良いのだな」
どの程度絞ったらいいのかわからなくて。
そういいながら、チェーザレはタオルをぎゅっと絞って、もう一度ラヴェントの額に乗せた。
それを感じて、ラヴェントは目を細める。
「……有り難う。気持ちいい」
例を言うラヴェント。
それを聞いて、チェーザレは小さく頷いた。
「……何か、してほしいことはあるか。
とはいえ……私は何をどうしたらいいかわからん。
まともに処置が出来る人間が欲しいなら呼びに行くが……」
チェーザレはそう言う。
一応、此処に水やタオルは用意してある。
けれど、どうしたらいいのかわからず、結局食べ物や飲み物の用意は出来ないままだった。
もう少しまともに処置をしてやろうと思ったら、人を呼ばなければならない。
「部下を呼べば、どうにかなるだろう。
……あぁ、あの桃色の髪の奴は嫌だぞ」
話さえしたくない。
チェーザレはそういいながら眉を寄せる。
ラヴェントは彼の言葉に小さく笑った。
「ははは、ライシスのことか」
そういって笑うラヴェント。
チェーザレはそれを聞いて更に眉を寄せて、小さく溜息を吐き出しながら、言った。
「その通りだ。あの喧しい奴とは一緒に居られない……いたくない」
やれやれ。
そう言いたげに肩を竦めるチェーザレ。
ラヴェントは彼の様子を見て、くつくつと笑っていた。
チェーザレが毛嫌いしているのはラヴェントの直属の部下である少年……ライシス。
酷く好色ですぐにちょっかいを仕掛けるライシスのことを、チェーザレは嫌っているのである。
……それも仕方のないことだと思っているし、ラヴェント自身も手を焼いているのだけれど。
「俺も、この隊長の時にライシスと一緒に居るのは遠慮したいな……
胃が痛くなりそうだからな」
彼はそういって、溜め息を吐き出した。
チェーザレはそれを聞いて、目を細める。
「……それは大変だな。
ゆっくり休ませてやりたいのに余計に疲れるのでは」
チェーザレはそういって肩を竦める。
そんな彼の反応を見て、ラヴェントは小さく笑った。
「そうだな。
でも、とりあえず、良いよ。
俺は、チェーザレと一緒に居られればいいから」
くすくすと笑うラヴェント。
チェーザレはそれを聞いてきょとんとしたような顔をする。
「?良いのか。私は本当に、上手い看病など知らないぞ」
そういって溜息を吐き出すチェーザレ。
ラヴェントはそんな彼を見て微笑みながら、言う。
「あぁ、良いんだよ。
風邪っていうよりは、ちょっと疲れただけだから……
薬も要らないよ、寝りゃあ治る。
……だから」
―― 此処にいてくれれば、良いんだよ。
ラヴェントはそういう。
きゅ、と服を引っ張られて、チェーザレは瞬きをする。
「……子供ではないのだから、そんなことをするな」
そういってからラヴェントの手を解いた。
それから、彼は近くにあった椅子をずるずると引きずって、ラヴェントのベッドの傍に置く。
「……何処かに行ったりはしないから」
此処にいればいいんだろう。
チェーザレはそういいながら椅子に腰かける。
ラヴェントはそんな彼を見て何処か嬉しそうに微笑んだのだった。
―― Nurse… ――
(誰かの看病なんて、したことがなかった。
けれど、今はしてやりたいと思って…)
(傍にいてくれればそれでいい。
それだけで、気持ちが落ち着いてゆっくり休めるから…)