ちょっと大人数のお話です。
ライニさんとブラン、ペルの絡みが書きたかったのです…←
*attention*
大人数目のお話です
あの海シリーズにリンク
ほのぼのなお話です
メインはライニさんとブラン、ペルのお話です?
ワルキューレお二人とカナリスさんもちらっと
子供にやさしい金髪の野獣さん
微笑ましいです、はい←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
賑やかな昼下がりのディアロ城。
その廊下をきょろきょろしながら歩いていくのは、金髪の少年……ヘフテン。
今日は仕事もなく、のんびりと過ごしていた彼だったが、お茶の時間になったからと最近自分に懐いている小さな少年を探しに来た次第である。
「あれ?何処行っちゃったんだろう」
そう呟きながらヘフテンはきょろきょろと周囲を見渡す。
と、当人ではないものの、自分が大好きな人間を見つけて、ぱぁっと顔を輝かせた。
「あ、大佐!」
ぱたぱたと彼は隻眼の少年の方へ駆け寄っていく。
傍に来た彼を見て、隻眼の少年……シュタウフェンベルクはあ、ヘフテン、と声を漏らす。
ヘフテンはそんな彼に向かって首を傾げて、訊ねた。
「ブランシュさん知りませんか?」
自分が探している幼い少年。
彼のことはシュタウフェンベルクもよく知っている。
だから彼に訊ねてみたのだが、ヘフテンの問いかけに彼はゆっくりと首を振った。
そして、苦笑混じりにいう。
「私もペルを探しているんだが……」
どうやら、彼もヘフテン同様に人探し。
彼が探しているのは彼が弟として可愛がっている少年……ペルの様だ。
ブランとも仲が良いし、もしかしたら二人で一緒に居るのかもしれない。
二人がそう思った、その時。
「おや……」
近くで聞こえた声。
それに二人が視線をそちらへ向けると、黒髪に金の瞳の青年……カナリスが立っていた。
それを見てヘフテンは瞬きをする。
「あ、提督」
こんにちは、とヘフテンは挨拶をする。
それにぺこり、と挨拶を返してから、カナリスは小さく首を傾げた。
「どうかしたんですか?」
二人して、というカナリス。
それを聞いて、シュタウフェンベルクは彼にこたえる。
「ペルとブランシュを探しているんだが……見ていないか?」
そう問いかけるシュタウフェンベルク。
それを聞いて、カナリスは幾度か瞬きをしてから、いった。
「あぁ……ライニのところにいましたよ?」
さっき見かけました、とカナリスは言う。
それを聞いて、ヘフテンとシュタウフェンベルクは少し驚いたような顔をした。
「え?」
「金髪の野獣のところに?」
予想外だった。
カナリス曰く二人とも金髪の野獣こと、ハイドリヒと一緒に居るらしい。
……いったいどういうことだ。
そんなヘフテンとシュタウフェンベルクの様子を見て、カナリスは小さく笑った。
彼らの反応がおかしかったらしい。
「なついたようですよ。
あれでいて、ライニは面倒見が良いですから。
ほら、この前の海の時も……」
カナリスは数日前に海に行った時の事を話す。
それを聞いてヘフテンとシュタウフェンベルクも"あぁ"と納得した顔をしていたのだった。
***
―― 数日前。
彼らは、海に行った。
その時にペルやブランも一緒に居たのだけれど……
その時のことだ。
「あの」
ブランはハイドリヒに近づいた。
パラソルの下で本を読んでいた彼は顔を上げて小さく首をかしげた。
「?なんですか?」
「あ、ありがと、ね……アイス美味しかった」
ブランは少し照れたようにそういう。
彼からアイスをもらって食べていたのである。
ヘフテンから受け取ったというのが正解なのだが、ちゃんとお礼を言うべきだと思ってきたようだった。
ハイドリヒは彼の言葉に目を細める。
それから、口調はそっけなく、しかし確かな優しさを込めていった。
「子供はそんな気を使わなくていいんですよ」
あっさりとそういう彼。
それを聞いてブランはぱちぱちと瞬きをする。
ハイドリヒは本を開きなおして視線を落としつつ、なおもいった。
「それから夏場はちゃんと水分補給はしなさい。
アイスでも良いですから体温を下げるように。
食べたかったらいいなさい」
いつでも渡しますよ。
そういうハイドリヒに、ブランは目を見開いた。
それから、嬉しそうに"ありがとう!"という。
そして、ふと何かを思いついたような顔をしてから、小さく首を傾げて、いった。
「ペルとか、他の人にもアイスあげたいなぁって……ある?」
そう問いかけるブラン。
それを聞いて、ハイドリヒは幾度か瞬きをした。
それから、"それもそうですね"小さく頷いた。
と、ちょうどそこにペルも来た。
それを見て、"これは丁度いいですね"と彼は呟いた。
そしてきょとんとするブランとペルにクーラーボックスを渡した。
「貴方も、手が空いてるならアイスキャンディー配ってくださいな。
私が差し入れなんてキャラじゃありませんし、可愛い子供に貰ったほうが皆さんいいでしょう」
そういうハイドリヒにブランとペルは瞬きをした。
それから、お手伝いが出来るというように嬉しそうに頷く。
「わかった、行ってくるね」
「ありがとー!」
そういうと、ブランとペルはクーラーボックスを支えててくてくと歩いていく。
ハイドリヒはそんな彼らを見送って、綺麗な青い瞳を細める。
それから視線を本に戻したのだった。
それから少しして、ブランとペルは帰ってきた。
"全部配り終わったよぉ"とブランが嬉しそうに言う。
ハイドリヒはそれを聞いてこっくりと頷いた。
それから、彼らに持たせたクーラーボックスとは別のクーラーボックスを示して、いった。
「お手伝いありがとうございました。
その中にパフェやアイスケーキ、なんでもありますよ。
好きなものを持って行きなさいな」
「うわぁっ、本当?」
ブランは嬉しそうな顔をした。
ペルも表情は然して変わらないものの、嬉しそうな顔をしている。
「ありがと」
「ペルどれにする?僕これにしーよぉっと!」
嬉しそうにいってあっさりと菓子を取るブラン。
ペルも暫く悩んだ末に小さなパフェを手に取った。
そして有り難う、ともう一度ハイドリヒに礼を言ってからシュタウフェンベルクの方へ駆け出していって……
転んだ。
べしゃっと音がしそうなほど、勢いよく。
「あーあー、おとしたぁ」
ブランがそう声をあげる。
ペルはむくりと体を起こす。
怪我はない様だが……肩が小さく震えていた。
……パフェを落としてショックなのだろう。
そう思いながら、ハイドリヒは彼の方へ歩み寄る。
そしてぽん、とペルの肩を叩きながら、言う。
「仕方ないですね……そこの貴方、早く片付けを。
ほら、新しくあげますから……そんなことで泣いていては英雄の弟は務まりませんよ」
英雄の弟。
そのワードにペルはぱっと顔を上げる。
その黒い瞳は涙に濡れているが、ペルはそれを慌てて拭う。
「うぅ……泣かない」
「良し。良い子ですね」
ハイドリヒはそういいながら、軽くペルの頭を撫でてやった。
ペルはそれに嬉しそうに頷きながら、片づけを始めたのだった。
***
その時の事を思い出しながら、シュタウフェンベルクとヘフテンはハイドリヒがいたという食堂に向かった。
まだ食事時ではないために食堂は空いている。
そんな一角に彼らはいた。
椅子に座っているハイドリヒ。
彼の傍にペルとブランがいた。
二人そろって彼の艶やかな金髪を指先で弄っている。
「これ、動物のお耳みたい」
そういいながらペルがハイドリヒの前髪を指先で撫でる。
確かに彼の前髪は少し跳ねていて、それがまるで獣の耳の様だ。
「すごい髪綺麗ー、長いし」
ブランは彼の後ろ髪を指先で弄っている。
ヘフテンと同じ色なのにぃ、といいつつ嬉しそうに彼の髪を弄るブラン。
ハイドリヒはそれに怒ったりすることなしに、"あまり引っ張らないでくださいね"とだけいっている。
「……何だか」
「楽しそう、ですね?」
顔を見合わせて、ヘフテンとシュタウフェンベルクは小さく笑った。
楽しそうにハイドリヒにじゃれついている小さな二人。
彼らの様子を見て笑い合うと二人はとりあえず、部屋に戻ることにした。
ああして楽しそうにしているのに、邪魔をすることはない。
「あとでお茶の支度が出来たら呼びましょうか」
「いっそ此処で皆で飲めばいいかもしれないな」
「あ、それもいいかもしれないですね!」
そういいながらヘフテンはぎゅっとシュタウフェンベルクに抱き付く。
そして驚いた顔をする彼に"久しぶりに大佐と一緒に居られるから甘えたいんです"と嬉しそうに微笑んだのだった。
―― 意外な一面? ――
(意外と子供好きらしい野獣様。
小さな操り人形たちに慕われる様子は何だか微笑ましくて…)
(楽しそうに笑う小さな二人と、それにされるがままの綺麗な人。
その構図は何だか美しい絵画のようでもあったりして)