西さんとメイアンのお話です。
無茶をしようとする西さんとそれを叱るメイアンが書きたくて…←
*attention*
西さんとメイアンのお話です
ほのぼのなお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定でのお話です
風邪ネタなお話です
無茶をしようとする西さんを書きたくて…←
メイアンはそれに怒ると思います(笑)
そして大きな子供みたいな西さんが好きです
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
一体何をどうしたらこうなるのか。
そう思いながら、メイアンは無理矢理ベッドに寝かせた自分の恋人を見た。
そして、溜息を吐き出す。
当の本人……西はそんなメイアンを見上げる。
否、睨みつけるの方が正しいか。
西は金の瞳でメイアンを睨みつけながら、いった。
「何で、ベッドなんだよ、馬鹿メイアン……」
掠れた声でそういう西。
そんな彼の反応を見て、メイアンはすっと緑の瞳を細めた。
そしてベッドに寝かせた西の額を撫でながら、いう。
「西、そんな高熱でどこ行こうっていうのよ」
馬鹿なの?というメイアン。
彼が触れた西の額は尋常でなく熱かった。
普通に考えたら、身動きが取れるような状態ではない。
しかし。
「平気だっての……」
そう呟いてはベッドに体を起こそうとする西。
その呼吸は荒いというのに、彼はそのままベッドから降りようとする彼を見て、メイアンは盛大に顔を顰めた。
さっきからずっとこの調子だ。
もっとも、彼がそんな無茶をして起きようとしている原因は、メイアンも良く知っているのだけれど。
今日は、馬術大会。
西にとっては大切な日だった。
メイアンが応援に行くといえば、一緒にバイクで連れてってやるよと西に言われていたからこうして来たのだけれど……
いざ来てみればこの調子だ。
ふらふらで試合に行く準備をしていた西。
それを見つけてメイアンはそんな彼を慌ててベッドに寝かせたのだった。
それでも西はおとなしくしようとはしない。
意地でも試合に行くと言い張り、身体を起こそうとするのだ。
「無茶よ、そんな熱で何が出来るっていうのよ。
出たいのはわかるけど、今日はおとなしく寝てなさい」
「熱なんて、水風呂はいりゃ治る……
そしたら、すぐにでも支度して……」
そう言い出す彼。
メイアンはまた体を起こそうとする彼の頬をぱんっと軽くひっぱたいた。
そして、呆気にとられた顔をする彼を見つめて、いう。
「馬鹿いってるんじゃないの!
この前も無茶して倒れたの忘れたの?!」
いい加減にしなさい!といいながら、メイアンは西をベッドに押し倒す。
それから、ベッドの枕元にあった西の携帯を手に取った。
「な……メイアン、何するんだ、よ……」
西は掠れた声を上げる。
メイアンはそんな彼の言葉に反応することなしに携帯を操作する。
そして何やら電話をかけ始めた。
一体何をしているんだ。
西はそう思って、メイアンを見つめる。
「あ、遊佐さん?おはようございます、メイアンです」
歌うような声で紡いだのは、西の部活の人間。
その言葉に西ははっとする。
「メイアン待……っ」
「待たないわよ馬鹿、病人はおとなしく寝ていなさい」
『病人?』
電話の向こうから聞こえた、少し驚いたような声。
それに、メイアンは答える。
「えぇ、そうです。
西、どうにも風邪を引いちゃったみたいで……
本人は行きたがってますけどこの高熱じゃどうにもなりそうにないので……」
おやすみさせてもいいですか?とメイアンは言う。
西が電話口で"勝手なこと言うな馬鹿メイアン!"と掠れた声で叫んでいるのは遊佐にも聞こえていて……
『あー、寝かせといて、お大事になって』
あんまり騒ぐなと伝えておいてくれー、というと彼は電話を切る。
メイアンも、西に電話を奪い返される前に電話を切って、それを返した。
「おやすみしなさいって。
おとなしくしてなさいっていってたわよ?」
にっこりと微笑んでそういうメイアン。
西は彼の言葉に顔を顰めつつ、ぼやくように言った。
「勝手なことしやがって……馬鹿メイアン」
そう呟く西を見て、メイアンは溜息を一つ。
"勝手にいってなさい"といいながら、彼は西から離れようとした。
ドアの方へ向かおうとするメイアンの足。
そんな彼の姿を見て西は少し怯んだような顔をした。
「っ、何処行く……」
何処行くんだよ。
そう掠れた声で言うと、メイアンはぴたり、と足を止めた。
「私の勝手でしょ?」
さっきから勝手にしてるもの。
メイアンはそういいながら再び足を踏み出そうとする。
西はそんな彼の背を見つめ、顔を歪めた。
―― 行くな。
その一言は、口には出せない。
ぎゅ、と布団を握りしめて、部屋を出ようとするメイアンの背を見つめることしかできなかった。
と、その時。
ぴた、と足を止めるメイアン。
彼はふっと息を吐き出して、口元に笑みを浮かべた。
「……なんて、ね」
そう呟いて、メイアンはくるっと西の方を見る。
そして、ゆっくりと西の方へ足を向けた。
「嘘よ。置いていくはずないじゃない?」
こんな状態の貴方を。
そういいながら、メイアンはそっと西の額を撫でた。
「"恋人が大変な時には傍に居ろ"……そうでしょ?」
ね?といいながらメイアンは微笑む。
それから、ふと思いついたように悪戯っぽい表情を浮かべた。
そのまま彼に首を傾げて、"それでも……"と言葉を紡ぐ。
「これ以上西が暴れるようなら、貴方をベッドに括り付けたまま、私は帰るわよ?」
それでもいいの?
そう首を傾げるメイアン。
西はその言葉に唇をかみしめた。
「……そう、だよ……
ちゃんと、傍に居ろよ……」
―― こんな時なんだから。
西は掠れたような声でそういう。
メイアンはそんな彼を見て穏やかに微笑んだのだった。
***
それから、メイアンは西に付き添っていた。
あれほど試合に行くんだと騒いでいた西ではあったけれど、弱っていたのは事実のようでぐったりと眠っている。
そんな彼を見つめて、メイアンは心配そうな顔をする。
「医者は良いなんて言ってたけど……ほんとにいいのかしら」
メイアンはそう呟く。
一応前に貰った薬はあるし、問題はないはずなのだけれどやはり心配だ。
もしも前のように酷い状態になるようならやはり病院に……
そんなことを考える。
「ん……」
小さく、西が呻いた。
メイアンはそっと彼の頬を撫でる。
「大丈夫?」
目が覚めたのかと思ってそう問いかけたが、どうやらそうではなかったらしい。
彼は少し身じろぎすると、すぐにふっと息を吐き出して、力を抜いた。
大丈夫かしら。
そう思いながらメイアンはちらと時計を見る。
こうして傍についているようにしてからだいぶ時間が経つ。
水でも、持ってきてあげようか。
水分補給をさせないと。
彼がそんなことを思った、その時。
ぎゅ、と西の手がメイアンの服を掴んだ。
少し驚いてそちらを見れば、熱の所為か涙に潤んだ金の瞳とかち合う。
その瞳は揺れていて、意識ははっきりしていないようだった。
「西?」
どうしたの?
そう問えば、西はゆっくりと首を振る。
彼の表情はまるで、仕事に行こうとする親を引き留める子供のようだった。
行かないで。
口には出せない、その想い。
それを湛えた表情に、メイアンは緑の瞳を細める。
「どうしたの?此処にいるわよ」
大丈夫。
子供をあやすようにメイアンは言う。
冷たく華奢な指先で熱い頬を、額を撫でてやれば、彼はほっとしたように息を吐いて脱力した。
「もっと甘えていいのよ」
甘えべたな、なりだけ大人になってしまった、子供。
西を見ている時に頭をよぎるのはそんな言葉だった。
「私が、たくさん甘やかしてあげるから」
西に聞こえているかはわからない。
そう思いつつ、メイアンはふっと息を吐き出して、言ったのだった。
―― 上手な甘え方 ――
(ほんとは子供のころに出来ていたはずの甘え。
それが出来ないままに貴方は育ってしまったから…)
(わからないなら教えてあげる。
だからあなたは私の前では"子供"に戻っていいのよ…)