ワルキューレコンビとペルのお話です。
一話で纏めるつもりがまとまらなかったので…おそらく続きます。
カッコいいワルキューレお二人が書きたかった、それだけなんです←おい
*attention*
ワルキューレコンビとペルのお話です
シリアスなお話です
前半はペルとモブキャラ
後半はワルキューレコンビです
ペルは結構珍しい生き物なのでこういう事態もありかなと…
モブはとかくゲスイ←こら
そしてペルを必死に探すお二人を書きたかった…←
大佐殿とヘフテンさんのやり取りをかけたので私は満足です(^q^)
恐らく続きます←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
ひやり、冷えた空間。
固い床を背に感じながら、ペルはゆっくりと目を開けた。
「う……」
頭が痛い。
体が痛い。
そして、寒い。
この状況は、一体何?
そう思いながら、ペルは周囲を見渡そうとした。
しかし、身体の自由が利かない。
あれ?
彼は小さく声を洩らした。
「目を覚ましたようだな」
聞こえたのは聞きなれない男の声。
ペルは大きく眼を見開いて、その声の方を見ようとした。
しかしそれより先、強く体を押される。
息苦しさに小さく呻けば、"おとなしくしてろ"とすごむ声が聞こえた。
「お前さんが普通の人間でないのは調べがついてんだよ。
下手に暴れられちゃ適わねぇからな……」
そういわれて、気が付いた。
腕は後ろで一つに纏められ、枷で留められている。
足もどうやら、同じのようだ。
芋虫のような、惨めな格好になっているであろうことが想像出来た。
「……誰」
ペルは掠れた声で問いかける。
その声に男は小さく笑った。
「誰でも関係ねぇだろう。
テメェは俺達の品物だ……おとなしくしてろよ」
「品物……?」
ペルは男の言葉に怪訝そうな顔をする。
男はにやり、と笑みを浮かべると、言った。
「そうさ、品物だ。
お前さんは見た目も良いし、おまけに魔術呪術も強いと来ている」
「……何処で、それを」
彼が言うことは事実だ。
しかし、それはそう知られる事ではないはず。
だって、自分は魔術を滅多に使わないようになった。
戦うことだって、なくなったのに……
そんなペルを見て、男はにやりと笑った。
「ちょっと調べればわかることさ。
数年前からずっと、その姿でいることもな」
探せば目撃者くらい幾らでも居るんだぞ。
男はそういうと、ペルの体を無理やり起こした。
そうすると漸く周囲が見えるようになる。
声をかけてきた男以外にも数人の男が居た。
恐らく、仲間なのだろう。
揃いのリングを嵌めている。
全ての男がにやにやと笑いながら、ペルを見つめていた。
「こりゃいい、見た目は女じゃないか」
「しかもこのまま見た目変わらないんだろう?
ガキ好きのおっさんたちには高く売れるぞ、きっと」
そんなことを言って笑う男達。
その品のない笑い声と、嫌な視線。
怯えた顔をしかけたペルだったが、すぐに顔を引き締める。
そして、険しい表情を浮かべながら、必死に逃げようとした。
―― しかし。
不意に響いた、銃声。
それを聞いてペルはびくりと体を強張らせた。
呼吸が乱れる。
「おとなしくしていろといったのがわからねぇのか」
凄む声。
それを聞いて、ペルは更に表情を強張らせる。
ペルは、銃声が苦手だ。
幼い頃、自分のすぐ後ろで母親が撃ち殺されたから。
その恐怖から、ペルは酷く銃声を恐れる。
そのこともおそらく、男たちは知っているのだろう。
ペルが怯えたように固まるのを見て、面白がるように立て続けに銃声を響かせた。
ペルは耳を覆って蹲る。
小さく体を震わせる彼を見て、男達は愉快そうに笑う。
「ははは、やっぱり唯のガキだな」
「この程度でビビるなんてなぁ」
そういって笑う、男達。
ペルの体を無理やり起こすと、部屋の隅の柱に彼の腕を止める。
動くことが出来ないように。
そして、"暴れるなよ"と言い聞かせた。
「傷物になられちゃ困るんだ、価値が落ちる」
―― 暴れたらどうなるか、わかるよな?
そういいながら、男はペルに拳銃を向ける。
正式にはペルのすぐ傍の柱を狙って、か。
売りたいだの、傷物にはしたくないだの言う以上、おそらく傷つけられることはない。
しかし、"精神的に"傷つけることは、幾らでも可能だ。
抵抗する気力も持たない"人形"ならば、都合がいい。
そう言いたげな男たちの視線。
それに怯えながら、ペルはぐっと唇を噛みしめたのだった。
***
ディアロ城から少し離れた、街の中。
そこをかける、黒髪の少年……シュタウフェンベルク。
彼が手に握りしめているのは、黒いリボン。
それは、彼が弟のように慈しんでいる少年のものだった。
彼に駆け寄ってくる、金髪の副官……ヘフテン。
彼はシュタウフェンベルクを見上げて、訊ねた。
「見つかりました?!」
「いや……でも、確かに気配は感じる……」
そういいながら、シュタウフェンベルクはやや苛立ったように視線を巡らせる。
その視線に見慣れた黒髪の少年が映ることはなかった。
彼……ペルが姿を消してから、もう三日になる。
いつものように少し散歩に出てくるといって出かけていったきり、帰ってこなかった彼。
心配して、周囲を探した結果に見つかったのは、この黒いリボンだけだった。
ペルがいつでも腕に巻いていた、黒いリボン。
色々な人に親愛の感情を込めてわけてしまったそれは元々の長さよりだいぶ短くなっていて……
見間違いようがない。
これは、ペルの……――
「……ペル」
一体何処に居る。
何が起きた。
無事なのか。
そんな想いを抱き、シュタウフェンベルクはヘフテンと一緒に彼を探していた。
漸く辿り着いた、この街。
そこから、ペルの気配を感じたのだ。
恐らく、何か事件に巻き込まれているのだろう。
だとしたら、彼はおそらく……
「何処か、古い廃墟とか……そういったものは、ないか?」
「探してみました……
裏路地に、幾らか。
一人で近づくのは危険かと思って……」
そういうヘフテンの表情も真剣そのものだ。
彼も、シュタウフェンベルク同様にペルのことを大切にしているから……――
シュタウフェンベルクはヘフテンの言葉に頷いた。
そして、少し考え込む顔をした後、言った。
「よし、いってみよう……
おそらく活動時間帯は夜だろう……
昼の間にいっても、同じ事件が起きかねない」
どうせならば、皆一網打尽に捕まえるべきだ。
そうしなくては、同じ事件が起きうるから……――
シュタウフェンベルクのその言葉にヘフテンは小さく頷いた。
そして、路地を指さしながら、言った。
「あの路地の裏に二つ、その向こうの路地に幾つか……
お願いですから一人で行かないでくださいよ、大佐」
僕一人で二人の救出は自信がないです、とヘフテンはいう。
それを聞いてシュタウフェンベルクは苦笑を洩らした。
「私は一人で行ったら捕まる前提なのか」
「そういう意味じゃなくて……
大佐も大概狙われやすいんですから、心配なんです。
とにかく、僕の目の届くところに居てください」
そういって頬を膨らませるヘフテン。
それを聞いてシュタウフェンベルクは小さく笑う。
わかっている。
今のヘフテンの言動は、ペルを心配するあまりに思考が狂いそうな自分を宥めるためのもの。
少し雰囲気を明るくしようとしていたのだ。
少し、心は晴れた。
否、弟を助け出すまでは終わらないけれど……――
「大丈夫だ。
ヘフテンも、私から離れるなよ」
シュタウフェンベルクはヘフテンにそういう。
ヘフテンは彼の言葉に力強く頷いたのだった。
―― Black … ――
(落ちていたのは黒いリボン
いつも彼が身に着けていた"仲間"の証)
(それを見つけた瞬間に足は動いていた。
微かに感じる、彼の気配の方へ…)