シュタウフェンベルク四兄弟のお話です。
さっきのがシリアスだったので今度はほのぼので…
如何せん初めてのおつかい感がするペル←
*attention*
シュタウフェンベルク四兄弟のお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定でのお話です
ほのぼのなお話です
はじめてのおつかいチックなペル
彼は一応中学生です(笑)
そんなペルを放っておけないお兄様たちをかきたくて…
こういう微笑ましい家族好きです(^q^)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
いつもより少し早く部屋に帰ったシュタウフェンベルク家の子供たち。
いつも通りに兄が取り込んだ洗濯物を畳んでいるのは、末っ子にあたる少年……ペル。
そんな彼の姿を見つめる、兄三人。
彼らは顔を見合わせると、小さく頷いた。
「ペルー、ちょっといいかな?」
そう声をかけるのは、長兄……ベルトルト。
彼の声にペルはぱっと顔をあげる。
そして、いったん洗濯物を置いて、彼が居るキッチンに向かった。
「なぁに、ベルトルト兄さん?」
首を傾げるペル。
そんな彼に、ベルトルトは困ったように言った。
「あのさ、今日の夕食の買い物に行ってくれないかな?
僕たちちょっと用事があって、買い物に行けないんだよ……
まさか、クラウスに行かせるわけにもいかないだろ?」
ベルトルトはそういいながらクラウスの方を見る。
片方しか腕が無い彼に、買い物は無理だ。
軽いものなら良いだろうが、ベルトルトが手にしているメモには何だか色々書いてある。
この量は流石に無理だろう。
「お買い物?」
「うん。大丈夫、近くで揃うものだからさ」
頼めるかな?と首を傾げるベルトルト。
彼の言葉にペルは張り切ったようにこくこくと頷いた。
「うん、僕、いってくる」
ペルは何度も頷いた。
そして、きちんとポケットに携帯を入れる。
先日の、迷子騒ぎ。
あれ以来兄達に口を酸っぱくして言われているのは、携帯を置き忘れるなということ。
充電が切れた状態にするのもやめてくれ、といわれていた。
「これお金ね、残った分はお小遣にしていいから好きなものを買いなね?
車には気を付けていくんだよ?」
ベルトルトはそういいながら財布をペルに渡す。
そしてペルはそのまま歩いて家を出て行った。
行ってきます、という声と一緒にドアが閉まる音。
それを聞いて、三人の兄達はふぅっと息を吐き出した。
「ちゃんと行かせられたな、クラウス」
アレクサンダーはそういう。
それを聞いて、クラウスは唇を尖らせる。
「……流石にそこまで過保護じゃない」
そう呟く彼。
それを見て、ベルトルトは苦笑した。
「だってクラウスが言い出したんだよ?
当分ペルを一人で出掛けさせない、って。
流石にそれはまずいだろってアレクサンダーが言い出さなかったら、
ペルが何処に出掛けてもずっと何処にでもついていくつもりでしょ、クラウス」
そういう彼。
クラウスは視線を彷徨わせた。
―― そう。
先日ペルが迷子になった後、クラウスは今まで以上にペルを心配するようになった。
学校の帰りはどんな時でも迎えに行く。
ペルが先に学校を終える時にはちゃんと図書館などでおとなしくしているように言ってあった。
それは、完全にこの前のことが原因。
一人で出掛けて行ってしまったペルがなかなか帰ってこなかったのが怖かったらしい。
しかし、ペルに全く出掛けさせない、というわけにはいかない。
そのために、今日はペルをお使いに行かせたのだった。
「まぁ、第一関門は突破だけど……
このまま放っておくのも確かに不安だよねぇ……」
「よっし、行くか」
ベルトルトとアレクサンダーはそういって鞄を手に取る。
クラウスもそれに頷いて、彼らと一緒に歩いていった。
***
そうして、三人の兄は弟に追いついた。
彼はゆっくりとお店に向かっている。
その視線はベルトルトに貰ったメモに向いていた。
「あんまり余所見してたら危ないのに……」
「流石に聞こえてるだろ、周りの音は」
少し心配そうな声を上げるベルトルト。
それにアレクサンダーはすかさずツッコミを入れる。
それを聞いて、ベルトルトは苦笑する。
「だと思うけどさぁ……」
そう呟くベルトルト。
クラウスはその言葉に小さく頷いた。
「まぁ、確かに不安だな……あ、躓いた」
「ほら言わんこっちゃない!」
クラウスの言葉にベルトルトはそう声を上げる。
アレクサンダーはペルに駆け寄っていきそうな兄を見て苦笑する。
「流石に大丈夫だろ、子供じゃないんだから」
「うん……まぁ、ね」
ベルトルトもとりあえずおとなしくペルを見守った。
そして少し距離を空けたままに、彼についていく。
そうしている間に、店についた。
ペルはもう一度メモを見て、店の中を歩き出す。
「ん、と……ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ……」
メモを読み上げるペル。
彼はきょろきょろと周囲を見渡して、品物を探す。
「何かお探し?坊や」
店の女性が彼に声をかける。
ペルは既に中学三年生。
坊や、なんて年ではないのだが……
年齢の割に見た目が幼く、言動もたどたどしい彼。
傍から見れば、小学生にも見えるらしい。
「お買い物?」
「ん……お手伝い……」
ペルはそういいながら、メモを差し出す。
女性はそれを見て、小さく笑った。
「なるほどね。
ニンジンに玉ねぎにジャガイモ……今日はカレーね」
そういって、女性は笑う。
そして、ペルにいった。
「野菜はあっちよ。
お肉はあっちで、調味料はそこね。
わからなくなったら近くに居る人に聞きなさい?」
「ん、ありがと……」
ペルはぎこちなくいうと、野菜売り場に歩いていく。
そんな彼を、兄達も見送る。
「うん……どうにか、大丈夫そうだね」
ほっとした声を上げるベルトルト。
クラウスもその隣で頷く。
アレクサンダーも目を細めると、ふと思いついたように言った。
「よし、じゃあ俺はちょっと別の買い物いってくるよ。
ペルにちゃんとご褒美をやらないといけないからな」
そういってアレクサンダーは店を出て行く。
アレクサンダーとクラウスはもう少し彼を追いかけたが、
メモを見ながら買い物をするペルを暫し見守った後、"僕たちも帰ろうか"という。
「ペルが帰ってきた時に家に誰も居なかったら可哀想だしね。
かえって待っていてやらないと」
「……そうだな」
クラウスはまだ少し心配そうにしていたが、兄の言葉に頷く。
そして、二人で一緒に家に向かったのだった。
***
ペルを尾行していた兄三人が全員部屋に戻ってから暫くして、
買い物を終えたペルが帰ってきた。
少し重たそうに荷物を抱えて。
「ただいま……」
そう声が聞こえると同時、ベルトルトはリビングからぱたぱたと駈け出して行った。
そして、玄関に立っていたペルをぎゅっと抱きしめる。
「お帰りペルー!」
「お買い物、いってきた……」
ペルはそういいながら得意げに荷物をかざす。
そんな彼を見て、ベルトルトは目を細める。
「そっか、ありがとうー!助かったよ」
「今日、カレー?」
ペルはベルトルトに問いかける。
その言葉にベルトルトはにっこりと笑って、頷いた。
「そうだよ。
今から作るから、手を洗っておやつにしよう」
そういって笑う兄。
それを見て、ペルはぱっと顔を輝かせた。
「うん」
「アレクサンダーがケーキ買ってきてくれたよ?
ちょっと出かけたところがケーキ屋の近くだったみたいでね」
そういいつつベルトルトはペルと一緒にリビングに帰る。
すると、クラウスとアレクサンダーが食卓に着いていた。
「お、お帰りペル」
アレクサンダーはひらひらと手を振る。
クラウスも"お帰り"と微笑んだ。
ペルはそんな彼らに笑って、いう。
「ただいま、アレクサンダー兄さん、クラウス兄さん……
お買い物、いってきたよ」
ちゃんと行けた、と嬉しそうに言う彼。
クラウスは目を細めて、優しく彼の頭を撫でてやった。
「偉いな、ペル。
迷わずに、いってこられたんだな?」
「……迷子、ならない」
少しむすっとした風のペル。
そんな彼を見てアレクサンダーは小さく笑う。
「はははっ、流石に迷わないよなぁ?」
そういって首を傾げるアレクサンダー。
ペルは憮然として頷く。
クラウスもそんな彼に笑って、いった。
「そうだな、すまない」
ぽんぽん、と頭を撫でてやれば、ペルは機嫌を直して笑う。
と、ちょうどそこにベルトルトが来た。
「はい、おやつのケーキ。
ペルへの御褒美だから、好きなもの選んでいいよ?」
そういって微笑むベルトルト。
ペルは嬉しそうに笑うと、チョコレートのケーキを選んだ。
それをミルクコーヒーと一緒に食べながら、ペルは"あ、そうだ"といった。
そしてポケットから小さな袋を取り出して、それを兄達に一つずつ渡す。
「?何だ、これは」
クラウスが問いかけると、ペルは自分の分の袋を開けた。
そして、それをかざす。
「貰った、おつりで、買ってきた……」
そんなペルの言葉に兄達もそれを開ける。
それは、可愛らしい小さなキーホルダーだった。
「わ、これお揃い?」
ベルトルトが問いかけると、ペルはこっくりと頷いた。
「そう……」
「これを買ってきたのか?」
ペルはこくんと頷く。
そして、いった。
「お揃い……みんなで、付けたくて買ってきた」
そういう彼。
それを見て、アレクサンダーは苦笑しつつ、いった。
「お使いのお駄賃なんだから好きに使えばいいのにさ」
「これが、好きな使い方……」
だから、良いの。
ペルはそういって、自分の携帯にキーホルダーを付ける。
そして嬉しそうに笑った。
そんな弟を見て、兄達は顔を見合わせる。
それから、ペルと同じようにキーホルダーを携帯に付けたのだった。
―― おつかいとプレゼント ――
(任されたお使い。
お小遣いで買ってきたのは、大好きなお兄ちゃん達へのプレゼント)
(心配だけどずっとくっついてるわけにはいかないからね。
そういいつつも放っておけないのも愛情故だよ)